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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
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23 資料室

 

 マーティはポケットからパスカードを取り出すとキーボックスへ差し込み、再びドアを開けると、先に入ったロイに気付いた警備員が手を止め「どうしたんですか?」と聞いてくるので「まだ仕事が残ってたのを思い出したんだ」手に持つファイルを見せる。


 三人の警備員たちは、どこから持ち出したのか、掃除機でガラスの細かい破片を吸い取っている。


「おい。さっきの事、忘れるなよ」打ち合わせどおり、マーティが(から)んできた。

「まったく、まだ言ってるのか? しつこいぞ」


「しつこいとは何だ、しつこいとは」

「何回も同じことを聞くからだよ」


「当たり前だろう」

(うるさ)いな」

「何だと!」


「二人とも止めてください」先ほど仲裁(ちゅうさい)に入った無謀(むぼう)な警備員がまた仲裁に入ってくる。


「悪いけど、資料室のドアを開けてくれないか? こいつを黙らせるから」

「こいつとは何だ! こいつとは!」

「さっきケリが付いたろう。蒸し返すなよ」


 またケンカを始めそうな雰囲気になってきたので、とばっちりを食う前に追い出そうと、仲裁に入ってきた警備員がポケットから掌大(てのひらだい)のリモコンを取りだすと、スイッチを押す。


 すると、左奥の壁の一角が音もなく開いた。


『そういう仕掛けになってるのか』なるほどと(うなず)くシュール。


「開けましたよ」


「ああ、ありがとう」ロイが歩きだすと「約束、忘れるなよ」マーティが背中を突き飛ばすので掃除機に足が引っ掛かり、近くにいた警備員にぶつかる。


「おっと、大丈夫ですか?」

「ワザと押しただろう」マーティを(にら)むと「コケたロイが悪い」


「何だと!」(つか)みかかろうとすると「まあまあ、押さえて、押さえて」ロイがぶつかった警備員が止めに入る。


「後ろから突き飛ばすなんて、卑怯(ひきょう)な奴だ」

「まだやる気か?」今度はマーティが突っかかって行こうとする。


 警備員たちはいくら言っても無駄だと(さと)り、リモコンで開けた用具入れに掃除機をしまうと、パスカードをキーボックスに差し込み「とにかく、()めごとはご法度(はっと)ですからね」と言い残し、リモコンのスイッチを押してドアを開けると、パスカードを抜き取って出ていった。


「ああいう仕組みになってたのか」ドアの絡繰(からく)りがわかってロイがホッとすると「疲れた」肩を落とし、大きく息を吐くマーティ。


『一時はどうなるかと思ったけど、何とか上手くいったね』一番疲れているシュール。


「さあ、リストを探すぞ」ロイが資料室へ入る。


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