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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
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22-1 アクシデント発生!

 

 しばらくの間、案を模索(もさく)していたが『なにも浮かばないよお!』シュールが音を上げたとき「これしかないか」ロイが(つぶ)くので「何か思い付いたのか?」詰め寄るマーティ。


『それにしよう! 何をすればいいの?』聞き急ぐシュール。


「一か八か、これに掛けてみよう」マーティに「ここで僕とケンカするんだ」


「ハ? ケンカ?」意外なことを言われて困惑(こんわく)すると「電灯をいくつか壊すんだ。そうすれば感知センサーが反応して、警備室に通報がいく」


「警備員にドアを開けさせるのか? しかし、ケンカとどう繋がるんだ?」

「ケンカして壊したことにするんだよ。それしか壊した理由を思い付かないんだ」


『危険だよ! バレたらどうするの?』

「うまく演技しろよ」

「出られるのなら何でもやる」


「じゃあ、壊すぞ」ブーツを脱ぐと近くの電灯をいくつか壊し「どのくらいで来るかな?」

「場所が場所だ。すぐに来るだろう」


「じゃあ、すぐに始めたほうがいいな」

「で、何に付いてケンカするんだ?」


「そうだな……この前、リビングの冷蔵庫に入ってたマーティ分のケーキを、僕が食べてしまった、というのでどうだ?」


「何だと! ロイが犯人だったのか!」

『ちょっと待ってよ。あれは』


「いやあ、いいもん見付けたと思って食べたら、マーティの分だったとあとから聞いて、言えなかったんだ」シュールの言葉を(さえぎ)って話を続ける。


「食い物の恨みは恐ろしいという言葉、聞いたことあるだろう?」

『マーティ、ちょっと待って!』


「知ってるよ。だから言えなかったんだ」

『ロイ!』


「そういう奴だったのか」

『マーティ!』

「反省してるよ。悪かった」


 シュールを無視して話が進む。


「怒った?」

「当たり前だろう! あれは、仕事が忙しくて休憩が取れなかった俺のために、わざわざアニスが取っといてくれたものなんだぞ!」


「聞いたよ、あとから。本当に悪かった」

「謝って済むことか!」


「じゃあ、どうすればいいんだよ」

「どうもこうもないだろう!」


「それじゃ、どうしようもできないよ」

「勝手に食っといて、その態度はないだろう!」


「どう謝ればいいのか聞いてんのに、答えないからだろう!」

 とうとう怒鳴り合いのケンカになってしまった。


『わああああ! どうしたらいいの?』混乱するシュール。


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