22-1 アクシデント発生!
しばらくの間、案を模索していたが『なにも浮かばないよお!』シュールが音を上げたとき「これしかないか」ロイが呟くので「何か思い付いたのか?」詰め寄るマーティ。
『それにしよう! 何をすればいいの?』聞き急ぐシュール。
「一か八か、これに掛けてみよう」マーティに「ここで僕とケンカするんだ」
「ハ? ケンカ?」意外なことを言われて困惑すると「電灯をいくつか壊すんだ。そうすれば感知センサーが反応して、警備室に通報がいく」
「警備員にドアを開けさせるのか? しかし、ケンカとどう繋がるんだ?」
「ケンカして壊したことにするんだよ。それしか壊した理由を思い付かないんだ」
『危険だよ! バレたらどうするの?』
「うまく演技しろよ」
「出られるのなら何でもやる」
「じゃあ、壊すぞ」ブーツを脱ぐと近くの電灯をいくつか壊し「どのくらいで来るかな?」
「場所が場所だ。すぐに来るだろう」
「じゃあ、すぐに始めたほうがいいな」
「で、何に付いてケンカするんだ?」
「そうだな……この前、リビングの冷蔵庫に入ってたマーティ分のケーキを、僕が食べてしまった、というのでどうだ?」
「何だと! ロイが犯人だったのか!」
『ちょっと待ってよ。あれは』
「いやあ、いいもん見付けたと思って食べたら、マーティの分だったとあとから聞いて、言えなかったんだ」シュールの言葉を遮って話を続ける。
「食い物の恨みは恐ろしいという言葉、聞いたことあるだろう?」
『マーティ、ちょっと待って!』
「知ってるよ。だから言えなかったんだ」
『ロイ!』
「そういう奴だったのか」
『マーティ!』
「反省してるよ。悪かった」
シュールを無視して話が進む。
「怒った?」
「当たり前だろう! あれは、仕事が忙しくて休憩が取れなかった俺のために、わざわざアニスが取っといてくれたものなんだぞ!」
「聞いたよ、あとから。本当に悪かった」
「謝って済むことか!」
「じゃあ、どうすればいいんだよ」
「どうもこうもないだろう!」
「それじゃ、どうしようもできないよ」
「勝手に食っといて、その態度はないだろう!」
「どう謝ればいいのか聞いてんのに、答えないからだろう!」
とうとう怒鳴り合いのケンカになってしまった。
『わああああ! どうしたらいいの?』混乱するシュール。




