16-2 事件の詳細
「では、先にできることからお願いします。王女のところへは何時に行きますか?」
「いつも午後八時に行くわ」
「麻酔はどのくらいで切れますか?」
「一日あれば切れるわ」
「では、今日は麻酔を打たないでください。あと、王女を匿う場所がほしいな」
「隣の私の仮眠室なら誰もこないわ」
「大丈夫ですか?」
「ここには私のほかに数名の医者がいるけど、仮眠室は各個人に一部屋ずつ割り当てられてるの。自室と同じだから他の人は入ってこないわ。それに、いつもここにいるから、何かあったらすぐ対処できる」
「一番安全な場所ですね。ではお願いします。それと今夜、僕たちの仲間を一緒に行かせたいんですが」
「時間前に迎えにいくわ」
「その必要はありません。アニス!」声を掛けると部屋に入ってくる。
「どうして彼女の名前を知ってるの!」
「僕たちの仲間なんですよ。先に潜り込んでもらったんです」
「あなたが!」
「話は聞いてただろう? 作戦どおりに頼むよ」
「はい」
「あと、もう一つお願いがあります」先生を見ると「いつでも持ち出せるように、関係データをまとめといてください」
「すぐ始めるわ」
「アニスも手伝ってくれ」
「はい」
「最後にもう一つ」
「何かしら?」
「あなたの名前を伺ってませんでした」
「あら、そういえば自己紹介してなかったわね。バーネットよ。よろしく」
「ではバーネットさん、いや、ここでは先生と呼んだほうがいいですね。よろしくお願いします。では、僕は戻りますので、何かあったら連絡します」
牢へ戻るとき、アニスが付き添いとして付いてきた。
「どう?」
「殆どの、資料、ディスクに、ある」
「では、資料をまとめるのに時間はかからないね?」
「それは、大丈夫」
「何か気になることがあるの?」
「肺を、患ってる人、たくさん、入院してる」
「きっと精製室の人達だな。わかった。彼らの情報もまとめといて。かなり作戦を変更することになるけど、アニスはそのまま続けて」
「はい」
「それと、くれぐれも無茶はしないようにね」
「気を、付ける」
『一人で大丈夫?』シュールが声を掛けると「バーネット、味方だから」
「本当。彼女を味方にできて心強いよ」
「何か、わかったら、連絡する」
牢がある部屋へ戻ってくると、監視カメラがやってきて二人に合わせて動き、ロイが牢に入り、アニスが出ていくまで様子を見ていた。




