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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
168/1020

16-2 事件の詳細

 

「では、先にできることからお願いします。王女のところへは何時に行きますか?」

「いつも午後八時に行くわ」


「麻酔はどのくらいで切れますか?」

「一日あれば切れるわ」


「では、今日は麻酔を打たないでください。あと、王女を(かくま)う場所がほしいな」

「隣の私の仮眠室なら誰もこないわ」

「大丈夫ですか?」


「ここには私のほかに数名の医者がいるけど、仮眠室は各個人に一部屋ずつ割り当てられてるの。自室と同じだから他の人は入ってこないわ。それに、いつもここにいるから、何かあったらすぐ対処できる」


「一番安全な場所ですね。ではお願いします。それと今夜、僕たちの仲間を一緒に行かせたいんですが」

「時間前に迎えにいくわ」


「その必要はありません。アニス!」声を掛けると部屋に入ってくる。

「どうして彼女の名前を知ってるの!」


「僕たちの仲間なんですよ。先に(もぐ)り込んでもらったんです」

「あなたが!」


「話は聞いてただろう? 作戦どおりに頼むよ」

「はい」


「あと、もう一つお願いがあります」先生を見ると「いつでも持ち出せるように、関係データをまとめといてください」

「すぐ始めるわ」


「アニスも手伝ってくれ」

「はい」


「最後にもう一つ」

「何かしら?」


「あなたの名前を(うかが)ってませんでした」

「あら、そういえば自己紹介してなかったわね。バーネットよ。よろしく」


「ではバーネットさん、いや、ここでは先生と呼んだほうがいいですね。よろしくお願いします。では、僕は戻りますので、何かあったら連絡します」



 牢へ戻るとき、アニスが付き添いとして付いてきた。


「どう?」

「殆どの、資料、ディスクに、ある」


「では、資料をまとめるのに時間はかからないね?」

「それは、大丈夫」


「何か気になることがあるの?」

「肺を、患ってる人、たくさん、入院してる」


「きっと精製室の人達だな。わかった。彼らの情報もまとめといて。かなり作戦を変更することになるけど、アニスはそのまま続けて」

「はい」


「それと、くれぐれも無茶はしないようにね」

「気を、付ける」


『一人で大丈夫?』シュールが声を掛けると「バーネット、味方だから」

「本当。彼女を味方にできて心強いよ」

「何か、わかったら、連絡する」


 牢がある部屋へ戻ってくると、監視カメラがやってきて二人に合わせて動き、ロイが牢に入り、アニスが出ていくまで様子を見ていた。


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