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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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1-4 独立戦争

 

「エル」腕時計に付いている通信機で話し掛けると「惑星エルーカの状況を至急調べてくれ。それと、小型偵察機と輸送船の用意もだ」


“了解”


「会話をオープンにしてたのか?」

「まさか。通信担当にだけ聞かせてたんだ。説明する手間を(はぶ)くためにね」


「まるで、こちらの内情を知ってるようだな」再び(うたが)いはじめるので「ちょっと推理しただけだよ」


「推理だと?」


「宇宙管理局から、進行方向にある系星の独立制圧のための通行規制がでてる星域で、意味ありげな戦闘跡が残る流星群に壊れた小型機があり、そこから微弱(びじゃく)なSOS信号が発信されてた。


 これはもう、独立側の誰かが脱出に失敗して、撃ち落とされたと予測がつく。


 そして、パイロットの君は生きていた。そうなると、君はきっと仲間を助けにいくと言いだすだろう。

 そこで、僕たちはどうしたらいいか考えた。

 答えを出すために、まず、独立運動を起こしてる系星を調ることにした。


 植民系星になったのは大分前だが、統治側のミッド系との関係は良好だったのに、七年前に突然、豹変(ひょうへん)している。


 現統治者が急に変な規則を作って住民に過重(かじゅう)を着せるようになり、理不尽な条約を一方的に発令して、ヴィラパス系の住民が苦しい生活を強いられるようになった。


 その反面、統治系星のミッド系は、ヴィラパス系から吸いとった利益を受けて裕福になっていってる」


 マーティは黙って聞いている。


「まあ、独立戦争を起こす背景は、理不尽な環境下に置かれてることへの反発が理由となることが多い。

 ここもその事例の一つだと思う。


 ここまで調べた結果、ミッド系の統治者がなぜ、急に豹変(ひょうへん)したのか理由はわからないが、明らかな差別行為が行われてることがわかった。


 そのため、僕たちは独立側のサポートに付こうということになったんだ」


「統治者が突然豹変(ひょうへん)した理由はわかってない。だからこそ、俺たちはさらに怒りを強めたんだ」


「そうなのか。あとは、君の役目がどんなものなのか。また、どういう経緯(いきさつ)で流星群に突っ込んだのかを確認して、最終決断することにしたんだ」


「すごい読みだな。いや、プロの現状分析家だ」


「とにかく、ここは一旦引いたほうがいい。残りのメンバーを集め、再度作戦を練り直すべきだ。ブラックマルスの役割は、たぶん独立派の弱体化だろう。あれほどの部隊が最後までこの任務には()かないはずだ。残党狩りは他のチームが当たるだろう」


「まあ、そうだろうな」


 そこへ、エルから出発準備ができたと連絡がきた。


「君には道案内してもらわないといけない。動けるか?」

「大丈夫だ。()ってでも行く」


 マーティを動けるようにしてほしいと担当医師に相談すると即答で反対されたが、緊急事態だと説明すると、足裏にバネの付いた足首に負担が掛からないギブスに付け替えてくれた。


 歩き慣れないため、ぎこちなく歩くマーティを連れて格納庫へ行くと、同行するクルー数名が出発準備を整えて待機していたので、先頭の小型機に乗りこむ。


「エル。現在のエルーカの情報を教えてくれ」


“今は管理局の偵察機が数機、見回ってるよ”


「偵察機の隙ついて着陸したい。偵察機の行動パターンを探ってくれ」


“了解。エルーカの近くに着いたら教えて”


「わかった」


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