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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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1-3 独立戦争

 

「小さな系星の独立を阻止するためだけに出向いてくるなんて、普通では考えられないけど」


「支配星のミッド系統治者が管理局に泣きついたんだ」

「顔が利くのか」


「だから情報を集め、綿密に計画を練ったんだ。しかし、奴らの出現でアッという間に形勢は逆転。その後の抵抗は空しいものだった」


「……だろうな」


「同士たちはすっかり怖気づいてしまい、次々と降参していった」ここで大きく息を吐き「残ったのは俺たちメインメンバーと、(わず)かな仲間だけだった」と俯く。


「ブラックマルス相手じゃ、立ち向かうのは無謀としか言えない」


「……そうだな」苦笑すると「とにかく、俺たちに残された道は逃げることしかなかった。

 すぐ脱出する作戦に切り替えたんだが、奴らはそんな俺たちに気付き、あとを追ってきた。


 管理局の最新戦闘艦相手じゃ、とても逃げ切れるものじゃない。

 そこで俺たちは策を練った。


 何名かが(おとり)となって敵を引きつけ、その隙に仲間を脱出させることにした」



「死ぬ気だったのか?」

「数名の犠牲はやむを得ない。俺たちは全滅するわけにいかないんだ」


「仲間はうまく脱出できたのか?」

「わからない。逃げ切ってくれていればいいんだが」


「連絡する方法は?」

「ない」


「暗号は作ってなかったのか?」


「もちろん作った。しかし、寝返った者がいて、暗号を解読されたためにアジトが見付かり、潰されていった」


「敵にバレてしまったのか。それじゃ使えないな」

「恥かしい話だ」


「……辛いな」

「あとは、集合場所へ行くしかない」


「その場所は安全なのか?」

「たぶん。だが、裏切った仲間がいるから、見付かる可能性はないとは言えない」

「掛けだな」


「首謀者は見付けしだい銃殺だ。そうなる前になんとか手を打たないと。ここで全滅したら、ヴィラパス系は永久に植民系星のままだ。住民はいつまでも苦しい生活を強いられる」


「ブラックマルスは、独立派のメインメンバーを把握してるのか?」

「目星は付いてるだろう。メンバー全員、支局員だからな」


「そうか。いくら相手が身内といっても、容赦しないだろうな」

「当然だ。反旗を翻した俺たちは、鎮圧する敵でしかない」

「……そうだな」


「申し訳ないが、小型偵察機を一基、貸してくれないか?」

「一人で行く気か? その身体で操縦は無理だ」


「利き腕が動けばなんとかなる」

「なに言ってんだ。こちらでカムフラージュの船を用意する」


「バカなこと言うな。俺たちの仲間と間違えられて殺されるぞ」

「迷い込んでしまったと言えば大丈夫さ。登録してある所属の識別信号を出せば怪しまれない」


「しかし」

「ここで会ったのもなにかの縁さ。君を集合場所へ送るくらいなら問題ないだろう?」


「ブラックマルスが来てると言っただろう。奴らに見付かったら命の保証はないぞ」

「君一人で行ったらの場合は、だろう?」

「なんだと?」


「さっき君は、ブラックマルスは独立派のメインメンバーを把握してると言った。ということは、君の顔はバレてるわけだ。そんな君が、管理局の艦が集まってる星域に出てったらすぐに捕まってしまうだろう。その後、どうなるかは容易に想像がつく」


「たとえ捕まったとしても、俺は絶対、口を割らない」


「君の口を割らそうなんて、そんな時間の無駄はしない。君を餌にして、仲間をあぶり出しにかかるだろう」


「あ……」

「だが、僕たちの艦で、クルーの一人として変装して乗り込めば、見付かる確率はかなり低くなる」

「それは……」俯いて考える。


「迷ってる時間はないんじゃないか?」

「しかし、クルーが反対しないか?」


「しないと思うよ」

「なぜ?」

「まあ、いいじゃないか。とにかく、集合場所はどこなんだ?」


「それは……」

「ブラックマルスにしらみ潰しに捜索される前に、手を打たないと手遅れになるぞ」

「……わかった」腹を決め「集合場所は、第五惑星エルーカだ」


「ヴィラパス系から出てないのか?」

「逃げるときに受けた攻撃が予想以上にひどくて、系星域外へ脱出することができなかったんだ」


「それで(おとり)を出したのか」

「そうだ」


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