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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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35-1 おやつ抜き期間だけど

 

 翌日の午前十時。

 作戦会議室に、ロイたち三人と、エル、物資管理部のベルガモットが集まって、これからの打ち合わせを行った。


「今回の補給物資についてなんだが」ベルガモットが、タブレットに表示されているリストを見て「俺たちは宝石のことなんかまったくわからないから、クラリー夫人たちに検品してもらいたいんだ」


「いいんじゃないですか。管理も夫人たちにお願いして、使用数と在庫数を報告してもらう形式にすればいいと思いますよ」


「そうだな。検品のときは立ち合って、一緒に確認すればいいか」

「それで、プロジェクトのほうはどうなってますか?」


「順調だよ。ブランド名もマークも決まった。HPも立ち上げたし、大手のショッピングサイトにも出店したよ。商品も大分できたから、まずは、次に降りる星の店に売り込もうと、みんな張り切ってるよ」


 楽しそうに話すので「そうですか。うまくいくといいな」


「まあ、評価するのは相手側だから、どうなるかわからないがね」

「初仕事か。なんか気合入るな」


「初心者だから、(あせ)らずに行かないといけないよ」エルが話に入る。

「わかってるよ。何事も最初は勉強さ」


「向こうがどのくらいの評価を出すかによって、今後の方針が決まる。いい値を出してくれるといいんだがね」


「みんなで神頼みするか」



 午後三時。

 リビングでのティータイム。


「お菓子のないティータイムが地獄に感じる」ロイが元気なくコーヒーを飲むと「こんなに辛いティータイムは初めてだ」覇気(はき)のない声を出すマーティ。


『エルを悪者にするからだよ』シュールが(たしな)めると「あれはマズった」反省するロイ。


 結局、エルの「おやつ抜き期間」回避作戦はどれも失敗に終わっていた。


「エルのことを甘く見てた……」

「艦長はロイなんだから、言うこと聞く必要ないだろう?」


「……本気で言ってるのか?」

「……いや。言ってみただけだ」


「冗談に聞こえないから……」

「……気を付ける」


 また黙ってコーヒーを飲むと「そういえばアニスがいないが、どこ行ったんだ?」

「さあ。そろそろ来るんじゃないか?」


 (たましい)が抜けたような顔の二人に『お菓子がないだけなのに、どうして()えられないくらい辛いって顔するんだろう?』シュールには理解できないらしい。


 そこへ、アニスがトレーを持って入ってきた。


「アニス。どこ行ってたんだ?」ロイが間の抜けたような声で聞くと「あの、ケーキ、焼いた」と言うので二人の顔付きが突然変わる。


「今、ケーキって言った?」

「そういえば、チョコの匂いがするぞ」


 アニスがテーブルまで来るとトレーを乗せ「チョコレート、ケーキ、だけど、いい?」


「もちろん!」二人とも即答。


「今、切る」ナイフで均等に切り分けると、一切れずつお皿に乗せて二人に渡す。



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