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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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33-1 問題の確認

 

 落ち着くために(ぬる)くなったコーヒーを飲むと「現段階でわかってる情報を頭から検証してみるか」マーティが提案するので「そうだな。どういう状況なのか、少しでもわかったほうがいいからな」同意するロイが話しだす。


「まず、シュールがもらった母親からの手紙の内容を分析すると、お師匠様たちがアミークスに会いに行った百年前……」


「どうした?」


「お師匠様たちがアミークスに会いに行くことになったのは、原因不明の疫病(えきびょう)が流行り、治療法がわからなかったからだ」


「おい、それって」

「そう。今回の石化現象と同じシチュエーションなんだ」


「では……」

「あの疫病も、もしかしたら、仕組まれたことだと考えられるんだ」


「……なんてことだ。何か起きる予兆(よちょう)は、その時すでに起きていたというのか?」


「そうるな。アミークスはお師匠様たちが会いに行ったとき、これから起こるであろう(わざわい)について気付いてたんだ。しかし、禍を起こすであろう何かを特定することができなかった」


「なぜそんな事がわかる」


「この剣をお師匠様に渡し、中にいるシュールに詳細を話さなかったからだよ。原因がわかっていたのなら、その原因が現れたときに(つぶ)せばいいはず。しかし、そこまで確認することができなかった。だから、禍の原因が動くだろうその時に、尋ね人として動く予定になってる僕の近くに剣を保管することにしたんだ」


「……一体、何者なんだ? 何者が何を起こそうとしてるんだ?」

「敵の姿がまったく見えないから、それはまだ分からない」


「そんな前から禍を起こそうとしていたのなら、敵は人ではないだろう?」

「それはそうだよ。なんと言っても、精霊界に禍をもたらすんだから」


「ああ、そうだったな。じゃあ! 俺たちが対峙(たいじ)できるかわからないじゃないか!」

「問題はそこだよ」


「……俺たちで太刀打ちできるのか?」

「できるから呼ばれてるんじゃないか?」


「……ロイには古代神の聖剣だというその剣があるが、キーマンである俺たちには何もないんだぞ!」

「キーマンにはペンダントの守護獣がいるじゃないか」


「ああ。そうだな。あのコストマリーなら、何か必殺技でも持ってそうだ」

「彼女だけじゃない。これから行く各門の守護獣たちも加わる」


「無事にたどり着けたら、だろう?」


「……そうだった。行く先に何やら危険な落とし穴らしきものがあるらしいな。この点は、次の門へ行ったとき、コストマリーに聞くしか手はなさそうだ」


「大分先になりそうだな」

「このことはシュールも知らないんだろう?」

『……うん』


「何か知ってるのか?」

『……うん』


「言いにくいことだということはわかった。どんな事なんだ?」

『……うん』


「シュール」

『……うん……実は……進んでいくほど、難しくなるって、言われた』


「例の誰かさんに?」

『……うん』


「どんなふうに言ってたんだ?」

『……辿(たど)り着くのも、門を通るのも、難しく、なっていくって』


「旅を辞めていいか?」

「ロイ」マーティが声を掛けると「こんなこと聞いたら(へこ)むだろう?」

「……まあな」


『だから、言いたくなかったの』

「……わかった」


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