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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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27-1 追っ手の正体

 

 ゴーツリーの仕事の関係で別の町に寄ったとき、もう一つの問題と遭遇(そうぐう)することになった。


 それは、打ち合わせに時間が掛かると言われ、待っている間、コーヒーでも飲んで時間を(つぶ)そうと、近くのカフェに入ったときだった。


「ウワッ! クラシック人形だ!」

「ハ? ロイ、何言って……ロサ・アルバ!」

「あの人、知り合い?」目を丸くするアニス。


「あら、どうしてここにいらっしゃるの? 確か、南のほうへ行ってらっしゃるとお聞きしてましたのに」


 窓際のテーブルに座ってお茶を飲んでいたが、二人に気付くと満面の笑みを浮かべて立ち上がり「そうですの。あの情報はガセでしたのね。あたくしとしたことが、そんなことに気付かないなんて」(なげ)かわしいと、フリルの付いたハンカチを(にぎ)りしめ「ですから、いくらお(さが)ししてもお会いできなかったんですのね」悲しみを前面に押しだす。


『気候が変わっても、あの服装は変わらないんだね』自分のポリシーを(つらぬ)いていることに感心するシュール。


「今日もすごい()()ちだな。羽根の付いたベレー帽をかぶれば、中世風お嬢様学校の制服だぞ」


「あれが奴の制服だからな。その分析はあながち間違ってはいない」

「分析の分析をするなよ」


「ロイが変な分析をするからだろう」

「あれに関しては変だと思わないぞ!」クラシック人形を指すと「まあな」納得する。


「それにしても、あんな爆発に巻き込まれてケガをしてる様子すらないなんて、サイボークかアンドロイドだと言われても驚かないぞ。クラシックアンドロイド」


「あのくらいの爆発でどうにかなる奴らじゃない。管理局内でも、スイッチの壊れた破壊人形と呼ばれてたからな」


「……やっぱり人形と言われてたんだ」


 その時、クラシック人形が黙って見ていることに気付き、話を止めると「お話は終わりましたの?」にこやかに声を掛けてくる。


「なぜ僕の艦に爆弾を送りつけたんだ?」ロイが理由を聞くと「それは、お会いできるチャンスを作りたかったからですわ」


「ハ?」


「艦が修理のためにドックへ入れば、直るまでお時間ができますでしょう? そうすれば、お会いできる時間がたくさんできますもの」


「……言ってる意味がわからない」


「やっと追いつきましたのに、偽の情報を(つか)まされて違う場所を捜してしまいましたけれど、こうしてお会いできたということは、やっぱり運命なんですわ!」


 ゾゾゾゾゾゾーッ、ロイの背筋(せすじ)を冷たいものが走り抜ける。


「なんか、今、聞きたくない言葉が、あのクラシック人形から聞こえた気がする」


「あたくしたち、運命の糸がつながっ……」


「マーティ、店を変えよう」アニスの腕を(つか)み、(きびす)を返して出口に向かうと「お姉さま。どうなさいましたの?」向かいから黒いクラシック人形が歩いてくる。



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