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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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25-1 尋ね人

 

「怒るのも無理はない。君の受けた仕打ちには、何と言って(わび)びたらいいか……」

「もう、いいです。あれは、私、運命。もう、気にしない」


「私を許してくれるというのか?」

「両親、亡くして、独りぼっち、私のこと、気遣って、いろいろ、してくれた。それで、十分」


「アニス……」

「おじ様、一人、苦しんでた。ごめん、なさい。でも、それ、過去。だから、もう、苦しまない」

「ありがとう。君は本当にやさしい子だよ」


 ロイとマーティは、二人の会話を後部座席で黙って聞いている。


「ロイ君とマーティ君だったね?」

「はい」ロイが返事をすると「君たちが来るのを待ってたよ。アニスのことを頼む」


「あの、お聞きしたいことがあります」

「何だね?」


「なぜ、僕らがあなたの言う待ち人だとわかるんですか? 彼女が無くした半身を取り戻して、表情が変わってきたのは確かですが、だからといって、僕たちが待ち人だとはかぎらないですよね?


 それに、門の中にはこれまでに人が入った痕跡(こんせき)がありました。僕らがその(たぐい)の者だと考えられるのではありませんか?」


「それは、アニスの言動と行動の変化が見られたからだよ」

「どういう事でしょうか?」


「アニスの役目は「(たず)ね人」を門の中へ案内すること。第三の門の鍵を所有すること。当然、「(たず)ね人」と一緒に第三の門へ行くことになる。


 その彼女が先日、星から出ることになると連絡してきた。彼女が星から出るということは「尋ね人」が来るということだ。


 その事を確認すると「尋ね人」と「第一の鏡の泉の門のキーマン」が夢に出てきたと話してくれた。


 そして今日、彼女と一緒にきた君たちは、アニスが話してくれた、夢に出てきた「尋ね人とキーマン」と同じ容姿をしてたからわかったんだよ」


「アニスの予知夢の内容を聞いてたんですか」


「ロイ君、君が「尋ね人」だ。君は金の彫刻が(ほど)された金青(こんじょう)(さや)の剣、ラディウス・ソリッシュを持ってるだろう?


 そしてマーティ君は、第二の門の鍵を所有する第一の門、鏡の泉の門のキーマン。

 君はアニス同様、第一の門の守護獣、一角獣を(かたど)ったペンダントを持ってるはずだよ。


 それと、君たちは第一の門を通過したとき、精霊からブレスレットもらってるはずだ。

 門を通過したときに、(あかし)として門の象徴(しょうちょう)である稀少石(きしょうせき)()まるものだよ」


「確かにもらいました。でも、これは、僕らのほかに二人、貰った者がいます。ですが、彼らは僕たちの旅に関係ありません」(そで)(めく)ってブレスレットを見せると「そんなことないだろう。関係ない者に渡すことはない。彼らも何らかの関わりがあるはずだよ」


「確かに、影の森の管理やミルたちのことを任せたが……」アルバルとセージの顔を思い出すマーティ。


「他に、ブレスレットについて知ってることがありますか?」

「いや、これだけだよ」


「そうですか」ロイは考えると「もう一つお聞きしたいことがあります。僕は、住んでた系星で大変なことが起こり、その解決方法を探すために旅に出ました。


 その事件を起こした犯人は、ここへ来る前にわかりました。起こした動機もです。でも、解決方法がわからなくて、こうして旅を続けてます。


 もしその事件が起きなければ、僕は旅に出ることはありませんでした。なのに、どうして僕が来ることが、そんな前から言い伝えられてきたんですか?」


「君は「尋ね人」として、旅に出なければならない、()せられた運命を持ってるからだよ」


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