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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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23-1 第二の門 通過

 

 午前零時すぎにアニスの家に着いたが、二人は出発してすぐに眠ってしまっていた。


「起きて。家、着いた」

「ン? ああ、寝ちゃったのか」目を(こす)りながらジープから降りると、寒さで一気に目が覚める。


「顔が凍る!」顔を(おお)うロイ。

「空気が痛いぞ!」口を(ふさ)ぐマーティ。


「早く! 入る!」玄関から呼ばれて、雪に足を取られながら歩いていく。

「夜、一気、気温、下がる」


 玄関に入ると服についた雪を払い、部屋に入ると部屋の電気を点ける。


「眠気が吹っ飛んだ」目を見開くロイ。

「肺が痛い」(せき)こむマーティ。


「今、暖房、入れる。もう少し、我慢(がまん)」スイッチを入れるとゴォッと音がする。


 部屋が温まるまで時間が掛かるので、寒くてジッとしていられないロイとマーティは、部屋の中をウロウロと歩き回る。


「何か、食べる物、作る。お風呂、入って」場所を教えると「温泉、引いて、ある。いつでも、入れる」と言われ「温泉か。先にいいか?」マーティに聞くと「早く出てこい」仕方ない、という顔をするので「悪いな」着替えを持って風呂場へ急ぐ。


 少しすると部屋が暖かくなってきたので、コートを脱いで椅子に座ると、アニスがホットウィスキーを持ってきた。


「前に、お父さん、貰った、もの」

「ああ、助かる」早速、口を付ける。


 キッチンへ戻ったアニスがしばらくしてお皿を持ってくるとテーブルのセッティングを始め「マーティ。これから、どうする?」手を動かしながら「あなた、役目、終わった。故郷、帰る?」


「いや。このままロイと一緒にいく。どうやら、裏で俺たちの知らないことが動いてるらしい。それが何か突き止めたい」


「そう」セッティングが終わり、椅子に座る彼女に「一緒に来てくれるだろう?」と聞くと「ええ」軽く(うなず)く。


「荷物は?」

「街の、アパート、運んで、ある」

「そうか」


「第三の門、どんな所、ある?」

「そうだ。第三の門の場所について、それらしいことを聞いてないか?」


「いえ、何も」

「そうか。口伝にあったことだけでは、(しぼ)り込むのが難しいんだ」


「……ごめん、なさい」

「謝らなくていい。前回はたまたま俺が知ってただけだ」


 そこへ、サッパリした顔をしてロイがお風呂から上がってきた。


「こんな所で温泉に入れるなんて思わなかったよ。いい湯だった」

「この辺、広範囲、湧きでてる」

「では、俺もその温泉に入ってくるか」マーティが着替えを持ってお風呂場へ向かう。


「何か、飲む?」立ち上がるので「そうだな。冷たいものがいいな」

「ちょっと、待ってて」キッチンへ行き、(びん)ビールを持ってくると、(せん)を抜いてグラスに注ぐ。


「ありがとう」一気に飲むと「風呂上がりの一杯はやめられないな!」

「飲める人、みんな、そう言う」


「ここのビールはアルコール度数が高いね」と言いつつグラスに(そそ)ぐと「この星、お酒、みんな、アルコール度数、高い。寒さ、よけ」


「なるほど。そういえば、一昨日飲んだワインも度数が高かったな」おいしそうに二杯目を飲むと「そういえば、聞きたいことがあるんだ」


「アッ。第三、門の場所、聞いて、ない。ごめん、なさい」


「エッ? ああ、そうなんだ。別に(あやま)らなくていいよ。そうすんなりいくとは思ってないから。聞きたいのはその事じゃないんだ」


「……なに?」

「ここら辺で、マルジェス市へ行く配送車か何か出てないかな?」


「配送車? 知り合い、一つ手前、町、運送業、してる。確か、マルジェス市、物資、運んでる」

「本当? その人に連絡取れないかな?」

「取れる。なぜ?」


「追っ手だよ。今頃、君が流した情報がデマだと気付いてるころだと思う。だから、このまま帰ったら、途中で襲撃(しゅうげき)される可能性があるんだ。今は応戦できるだけの武器を持ってないから、気付かれないように戻りたいんだ」


「便乗、させて、もらう?」

「それが一番いい方法だと思うんだ」

「明日、朝一番、連絡する」


「ありがとう」残りのビールをグラスに(そそ)ぐと「君には申し訳ないけど、ここは苦手だな」

「よそから、来た人、みんな、同じこと、言う」


「まあ、住めば(みやこ)だけどね」

「……そう、ね」


「次の第三の門は、かなり暑そうな所らしい」

「私、想像、できない」


「だろうね。君は暑さを知らないから。体調を崩さないように、暑さに()れる訓練をしないといけないね。途中で倒れでもしたら大変だ」


「迷惑、掛けない、よう、気を、付ける」

「無理をしなければいいよ。僕たちも気を付けるから」


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