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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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22 疑問の行方

 

 外に出て振り返ると扉が閉まり、描かれている水龍の彫刻が光りだすと『ソレルから貰ったブレスレットを見てみろ』


「なんでブレスレットのことを知ってるんですか?」

『尋ね人が、第一の鏡の泉の門を通過したときに貰うものだからだよ』


「そうなんですか」防寒具の(そで)(めく)ると『この門の象徴(しょうちょう)であるミルキーブルーの石が(はま)まってるはずだ』


「アッ!」ブレスレットをよく見ると、模様だと思っていた(くぼ)みの(いく)つかに、例のミルキーブルーの石が()まっている。


『これが、門を通過したという(あかし)だ』

「高価なスタンプラリー表みたいだな」ブレスレットを見るマーティ。


「では、残りの(くぼ)みに、これから行く門の象徴(しょうちょう)の石が()まるんですね?」

『そうだ』


 ロイは少しの間ブレスレットを見ると「水龍……聞きたいことがあるんですが、答えてもらえるでしょうか」

『……なんだね?』


「なぜ僕が、(たず)ね人と呼ばれるんでしょうか」

『……やはり、気になるか』


「はい」

『テッセンに聞いていたから、私にも聞いてくるだろうと思ってたよ』


「教えてもらえるでしょうか?」

『……テッセン同様、私からも具体的なことは言えないんだ』


「……そうですか」

『しかし、説明に近いことをこの先で聞くことができるだろう』


「この先とは、どういうことですか?」

『言葉どおりだよ。進めばわかる』


「それも教えてくれないんですか?」

『我々にはそれぞれ役目があるんだよ。その事を伝えるのは私の役目ではないんだ』


「……そうですか」

『では、気を付けて進みなさい』

「……そう、ですね」


『ラディウス・ソリッシュの精霊を頼んだよ』と言うと光が消え、元の氷の山肌に戻ると、ロイとマーティは消えてしまった門の場所をしばらく見ていた。



「さて、行くか」マーティがジープに向かって歩きだすので、ロイも後から付いていく。


 見上げると満天の星が(きら)めいていて、海に目を向けると、重なった二つの月に照らされて、彫刻の人魚が命を吹き込まれて動いているように見える。


「シュール、コストマリー。あれ? どこだ?」ロイが辺りを見回すと『門から出たから、剣の中に戻った』

「そうか。出ていられるのは門の中だけだったね。コストマリーとは話せないのか?」

『門の中でしか話せないみたい』


「なんで?」

『わからない』


「しかたないな。何はともあれ、彼女のお陰で助かったからね。ちゃんとお礼を言いたかった」

『第三の門に行けば、また会えるよ』

「そうだな」


 ジープに乗り込むと、エンジンをかけるアニスが別のポットを出してきて、カップにコーヒーを入れる。


「今ほど、コーヒーの香りが嬉しいときはないよ」カップを受け取るとおいしそうに飲み「ホッとする、とはこういう状態を言うんだろうな」後部座席のマーティがゆっくり飲む。


 アニスも運転席で飲むと「エンジン、温まった、帰る」カップをしまい、ハンドルを握るとジープをUターンさせ、海の精の休息地をあとにする。


 ロイとマーティは、何も言わずに窓から見える光景を見ていた。


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