表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
122/1020

21 お咎めは

 

 行きの(ばい)の時間をかけて門の入り口まで戻ってくると「まるで、過酷(かこく)なオリエンテーリングでもしたみたいだ」マーティが壁際(かべぎわ)に座り込むので「それを言うならトライアスロンだろう」ロイも座り込み「腹減った」と(つぶや)く。


『運動不足は解消されたか?』扉の右横にある水龍の彫刻が光りだす。


「運動不足と言われるほど(にぶ)ってませんよ」ロイがムッとすると『そのわりにはバテてるようだが』

「よほどのアスリートでないかぎりバテるでしょう。あの氷の階段、何階分くらいあった?」マーティに聞くと「ゆうに三十階分はあった」やけ気味に答える。


『それは、忠告を守らなかった君たちの(ばつ)だろう?』

姑息(こそく)な仕掛けに引っ掛ったんだ」空腹なので余計イラつくマーティ。


『水龍』声を掛けるコストマリー。『テッセンに(ばつ)を与えないでもらえるかしら』

『ああ、その件があったね』


 嫌な予感がロイとマーティの脳裏(のうり)を横切る。


『彼が受ける(ばつ)を、誰かが代わりに受けるようなことを言ってたようだが』


 しばらく沈黙が続く。


『さて、どんな罰がいいだろうか』


 ロイとマーティは(うつむ)いたまま動かない。


『また、あの階段上りでもやってもらおうか』

「絶対に断る!」


「ロイ! 返事をするな!」

「あ、しまった!」


『そうか。君たちが代わりに罰を受けてくれるか』

「そんなこと言ってない!」

『今、返事しただろう』


 言い返せないロイに「心配するな。もし、また氷漬けになって落とされても、テッセンを(つか)まえて、元の場所に戻れる別の方法を聞きだせばいい」


『おや、また彼に会えると思ってるのか?』

「マーティ、それは言っちゃダメだろう」

「……すまん」


『さて、罰だが』


『水龍』黙っていたシュールが話に入ってくる。『あんまり(いじ)めないで許してあげて』


『これは困った。ラディウス・ソリッシュの守護精霊から言われたのであれば、見逃さざるを得ないな』


「マジで? やった!」

「シュール、あとでなんでも買ってやるぞ!」


『ずいぶんと現金だな』

「何とでも」聞き流すロイ。罰を受けなくて済むので、どう言われてもいいらしい。

「これで帰れる」ホッとするマーティ。


『まったく、いいコンビだな』


『水龍、ごめんなさい』(あやま)るコストマリーに『大丈夫かい? 君もあの階段を上がってきたんだろう?』

『ええ、大丈夫よ』


『では、名残惜(なごりお)しいが、これ以上引き留めておくわけにいかないからな』すると扉が開き『これからいろいろなことがあるだろう。気を引き()めて行きなさい』


「お世話になりました!」だるい体にカツを入れて立ち上がると『筋肉痛に気を付けろ』と言われ「大丈夫ですよ。(すで)になってますから」ぎこちなく歩きだす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ