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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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17 暖かい部屋

 

 部屋の奥には不釣り合いな木製のドアがあり、ロイたちが来るとドアを開けて、先に入るよう手招きする。

 入った先は今までいた部屋と違い、ログハウスのような内装だった。


 木製の椅子にテーブル、食器棚が置かれ、床には毛足の短い毛皮が敷きつめられて、奥にある暖炉(だんろ)では炎が立ちのぼり、部屋を温かくしている。


 二人は暖炉の前に座り、テッセンが貸してくれた毛布を肩から掛けると、シュールとコストマリーも二人の隣に腰を下ろす。


 テッセンは食器棚から木製のスープ皿を取りだし、温めてあるスープを入れると『ほれ、飲みなさい』順番に渡していく。


「おいしい……」一口飲むロイがホッと息を()らすと「ものすごく濃厚(のうこう)な味だな」初めての味に少し戸惑うマーティ。


『トドのミルクで作ったスープじゃ。栄養満点。すぐに体も温まるじゃろう』



 ロイとマーティはスープをお替りして暖炉の火にあたっていると、しばらくして動けるようになってきた。


「それにしても、一時はどうなるかと思った」ロイが貸してもらった毛布を(たた)んでいると、コストマリーが『申し訳ないけど、テッセンに剣を見せてあげてもらえないかしら』と言うので「そうだった」毛布をシュールに渡し、防寒具の内ポケットから剣を出すとテッセンに見せる。


「短剣の大きさになってますけど、わかりますか?」

『確かにラディウス・ソリッシュじゃ。そうか。あんたが尋ね人か』


「俺のペンダントも見るか?」マーティが一角獣のペンダントヘッドを見せると『確かに、あんたが鏡の泉の門のキーマンじゃな』納得するように何回も(うなず)く。


 その後、テッセンはシュールから毛布を受け取ると『ところで、気になっとることがあるんじゃが』ロイを見て『あんたが尋ね人じゃろう?』次にマーティを見て『あんたが第一の鏡の泉の門のキーマン。では、第二の門、すなわち、この氷の炎の門のキーマンはどうしたんじゃね?』


『アーッ! あの部屋に置いてきたんだ!』シュールが思い出すと「どうして一緒に連れてこなかったんだよ!」ロイが言い返すので『それは無理よ』口を挟むコストマリー。『彼女を、あなたたちが落ちた穴に落とせばよかったと言うの?』


「何言ってんだよ。コストマリーたちも落ちてきただろう? いや、そうじゃない。急に現れたんだ」

『そう。私たちの本体はあなたたちが持ってるから、落ちる必要ないのよ』


「本体?」


『剣とペンダントよ。私たちはそれらの守護精霊。戻ろうと思えばいつでも戻れるわ。でも、彼女は違うでしょう?』


「そういうことか」納得すると「そうとなれば早く戻らないといけない。いつまでも一人にしておくのは危険だ」


(じい)さん。上にあがるにはどうしたらいいんだ?」マーティが聞くと『お前さんたちはどこから落ちてきたんじゃね?』


「カルブンクルスを持つ、シレーニの像がある部屋だ」

『ホウ、あそこにおったのか。ああ、ラディウス・ソリッシュを持っとったな』 


「そういえば、あなたもこの剣のことを知ってるんですよね?」ロイが改めて聞くと『門を守っとる者で、その剣を知らぬ者はおらんよ』


「では教えてください。この剣の持ち主は何者なんですか?」

『なんじゃって?』


「なぜ僕が「(たず)ね人」と呼ばれるんですか?」


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