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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 「第二の門 / 氷の炎の門」
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7 豪雪星のホテル

 

 午後七時。

 目的の町に入り、部屋を予約しているホテルに着いた。


「ホテルというよりアパートだな」

「マーティ!」


「田舎町、だから、我慢、して」

「すまん。悪いこと言った」

「いい。入る」バッグを持つと入り口に向かう。



 ホテルの部屋はまあまあだったが、料理はすごかった。


「この肉、何の肉だ? 見たことないぞ」(あぶら)の乗った分厚いステーキを見るマーティに「アザラシ、仲間」とアニスが答えるので「エッ?」耳を(うたが)う。


「アザラシの仲間って食べられるの?」ステーキを凝視(ぎょうし)するロイ。

「アイス、ゾーン。たくさん、いる。この星、肉、(ほとん)ど、これ。私たち、一緒、暮らす。これ、収入源、一つ」


「ヘェ、そうなんだ」

「口、合わない?」


「いや、初めてだから、ちょっと驚いただけだよ。アザラシだってネットか動物園でしか見たことないし、その仲間だといっても、食べるなんて聞いたことないから」


「ところ変われば食べ物変わるだな」気持ちを入れ替えてナイフを持つマーティ。


 しかし、ステーキに合わせた蒸留酒(じょうりゅうしゅ)はなかなかのものだった。寒い星だけあってアルコール度数は高かったが、(くせ)になりそうなコクと後味の良さがいい。


「シュール、かわいそう。みんな、食べてる、見てるだけ」

『しょうがないよ。もう()れた』


「全然、気付かなかった」ロイが、やばい、という顔をすると「鈍感」感情のない言い方で言われると、かなり冷たく感じる。


「申し訳ない」マーティが(あやま)ると『いいよ』そんなに気にしていないシュール。

「いいんだ」聞きとめるロイ。


『ロイはダメ』

「なんで」


(あやま)らないから』

「……悪かった」


「シュール、言うこと、すぐ折れる」

「機嫌を(そこ)ねるとあとが怖いからな」


「そう思うんだったら、ここで言うなよ。聞いてるんだぞ」ロイが小声で注意すると『くらげマァティ』ドスの入ったシュールの声が響く。


 食後のコーヒーはこんなものだろうという味だった。もちろん、チェックは(おこた)らない。

 その後、翌日の出発時間を確認すると、それぞれの部屋へ戻った。



 次の日も良い天気。

 そして、ツインズムーンフェスティバル当日でもある。


 三人は午前八時に朝食を取り、九時にホテルを出た。


 今度はマーティが運転する。

 外は相変わらず銀世界。


 目的地に着くまでの間、ロイとマーティがそれぞれ住んでいた星のことを話すと、氷の世界しか知らないアニスは、感情のない話し方を気にしながらも、あれこれ質問していた。



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