48-3 意外な助っ人
「そういえばあのローブ、どこかで見たことがあるぞ」思い出そうと頑張るマーティ。
「確か、グリークが召喚したサチェルドス デイ(神の巫女)じゃないか?」うろ覚えなロイ。
『そうです。「時の宮殿」の「南の塔」の管理者であるグリークが召喚した「残虐の女神」で、「燃える手」という名前のエストゥアヌス・マヌスですよ』説明するクララ。
「「残虐の女神」だって! 確か、ルーが「守護の女神」と一緒に連れてくると言ってなかったか?」
「コモンがそう話してたけど、ルーたちは来てるのか?」
『彼女ならここに居ますよ』クララが3Ⅾモニターの映像を切り替えると、レジーナ マリス号の後ろに立つエアポートの屋上に、レモンイエローのモヤをまとう、金の刺繍が施された若草色のマントを羽織り、鎖の網を持つ「守護の女神」のホーモ・コストディレと、黒いフード付きのマントを羽織ったルーが立っていた。
「艦の外は空気が薄くなってる上に電磁波が強いんだぞ! あんなところにいたら、脳神経が壊れて酸欠で倒れるだろう! 早く艦に入るよう連絡しろ!」マーティが大声を出すと『その心配はいりませんよ。彼女たちの周りを見てください。異次元空間の中にいます』
ホーモ・コストディレとルー、それぞれの周りに、うっすらと取り囲むような膜が掛かっている。
「それを先に言え!」イラつくマーティに『クララだから、言葉に気を付けたほうがいいよ』注意するシュール。
「俺は、コモンにも同じような話し方をしてる」
「それがマーティのいいところなんだよ」褒めるロイが「「守護の女神」と「残虐の女神」は二体ずついるはずなのに、それぞれ一体足らないが、どこに行ったんだ?」
『このエアポートに停泊してる宇宙船に危害が加わらないよう、見回ってるようですね』またしても切り替わる3Ⅾモニターに小さく動く人影が映り、拡大すると二体の女神像だとわかる。
「そういえば、奴と残りの「復讐の女神」たちはどこにいるんだ?」ロイが3Ⅾモニターを見ると『それが、彼女たちは水鏡に映らなかったんですよ』首を傾げるクララ。『あと、私が管理する「水の宮殿」を破壊した「破壊の女神」とその召喚者も、最後まで居場所がわかりませんでした』
『姿が見えなかったのに、どうして「復讐の女神」たちや「破壊の女神」と召喚者がいるとわかったの?』不思議に思うシュール。
『それは、「復讐の女神」と「破壊の女神」たちの叫び声を聞いたからです。サチェルドス デイ(神の巫女)は声に特徴があるのを知ってますか?』
『そういえば、デセプトルたちはヒイイイイイッて言うね』
『水鏡を見ていたとき、それぞれの声が聞こえてきたんですよ。なのでわかったんです』
『そうなんだ』なるほど、と納得するシュール。




