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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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48-2 意外な助っ人

 

「一体、どこまで見てきたんですか?」ロイが聞くと『もちろん、君たちがこの星から脱出するまで見てきましたが、未来は未定。確実ではありません。なので、うまくいくように現場で調整する必要があるんです』


 3Ⅾモニターに映るエアポート内は、やはり亀裂や倒壊などの被害が出ていて、調査ロボットで被害状況を確認しなければならない事態になっている。


「隣に停泊してる宇宙管理局の艦のクルーが確認してるでしょうから、対応してくれるはずです」ロイが説明すると『そうですか。ひどくなければいいんですけど』


「とにかく、早くメインシェルターの取り外し作業を始めないと。電磁波もかなり強くなってきてるので、シールドで保護できる間に星から出ないと、メインシェルターが取り外されても、宇宙船が動かなければ意味がない」


『先ほど、その隣の宇宙管理局の艦に、四十分後にメインシェルターの取り外しが完了するので、離陸準備を始めるよう伝えておきました』


「まだ作業に取り掛かってないんだぞ! どうしてそんな無責任なことを言うんだ!」声を荒げるマーティを(なだ)めながら「あなたが見たのは、「復讐の女神」が取り外し作業をしてるところなんですよね?」クララに確認すると『そうです』と頷くので「でも、いまだに「復讐の女神」たちは姿を現してないんですよ。それでも「復讐の女神」たちが対応するというんですか?」


『「復讐の女神」たちは来てますよ。ほら』指をさす3Ⅾモニターに、松明を持つ黒いフード付きのマントを着た女神と、もう一体、魔女のような裾の長いローブを着て、タンクトップのような黒いシャツと脚にピッタリしたスパッツのようなものを履き、高いヒールの靴を履いた女神が、揃って離発着口へ向かって飛んでいくところが映っていた。


「確か、「復讐の女神」の一体は松明を持ってたな」思い出すロイ。

「では、もう一体は何者なんだ? やはりサチェルドス デイ(神の巫女)だよな」映像を凝視するマーティ。


『あの女神だけ、黒いフードとマントを着てないんだね。それに、モヤのようなものが見えるよ』とシュールが言うので「そういえば、サチェルドス デイ(神の巫女)は、召喚した者によって、身にまとうモヤの色が違うと言ってなかったか?」思い出すマーティ。


『でも、他の女神像たちにはモヤがないよ』


『ないのではなくて見えなんですよ。秘密は黒いマントです』説明を始めるクララ。『本来、サチェルドス デイ(神の巫女)は、初代古代神の力を移した()(しろ)として、所定の宮殿に奉納されているものなので、外へ出してはいけないんです。


 しかし、今回のような緊急時で、宇宙空間に出なければならないときは、宇宙線などの有害な紫外線から守るために、専用の黒いフードとマントを着せたり、異次元空間を作ってその中に入り、身を守っているんですよ』


『じゃあ、黒いマントを着てないあの女神は大丈夫なの?』


『急に来ることになったでしょうから、調達が間に合わなかったのかもしれませんね。その代わり、異次元空間の膜の中にいるので、大丈夫でしょう』


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