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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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46-2 「水の宮殿」のクララ

 

「「水の宮殿」の本殿の床に張られてる水が、真実の姿を映す水鏡だからだろう? きちんと指名を受けた「尋ね人」しか、第四の門の「宴の間」の鍵を手に取ることができないと、「時の宮殿」の管理者から説明を受けたよ」


『おっしゃるとおりです。そして、その水鏡の上を歩くとき必要なものは、水の上を歩くことができる能力です』


「それは、出発する前にお師匠様から貰った能力だ」


『そうです。最初から持っていたというより、持たされていたと言ったほうがいいでしょうか』


「それは、「水の宮殿」の特殊な状態に対応するためだと理解してたけど、違うのか?」


『すみません。その質問に答える権利が私にありませんので、詳しくお話しできませんが、あとあと関係してくるとだけ、申し上げておきます』


「なんか、久しぶりに聞いたセリフだな」


『その質問に答えるのは私ではない、とか、コモンも言ってたっけ?』思い出すシュールに「モスカールや主たちにも言われたよ」苦笑するロイが「それで?」ナオを見る。


『率直に話すよう先ほど言われたので、クララ様が狙われる理由の一つをお答えします。「水の宮殿」が襲撃されたとき、襲撃者の真の姿が水鏡に映ったのを、クララ様が目撃されたのでございます』


「見たのか!」

「映ったのか!」

『見たんだ!』

 興奮する三名。


『クララすごい! これで捕まえることができるじゃん!』両手を上げて喜ぶシュール。


『襲撃者は本殿内に張られている水を抜けば大丈夫だと思っていたようで、クララ様のお部屋に通じる通路の壁にはめ込まれた中の数枚の鏡も、水鏡で作られたものだと知らなかったようだとおっしゃってました』


「それで!」と言うマーティを止め「ごめん。話の腰を折る」

「なんだ? どうした?」


「マーティが管理者となってる、第一の「大地の門」の出入り口である「鏡の泉の門」、どんな門だったか覚えてるか?」


「急にどうしたんだ?」

「いいから」


「もちろん、覚えてるに決まってるだろう? あんな、気持ち悪い、入り、方を……まさか!」


「ナオは知ってるかな? 「大地の門」にある「鏡の泉の門」を」


『はい、存じてます。なぜなら、あの門の管理者であり、製作者がクララ様なのですから』

「そうなのか!」驚くマーティ。


 鬱蒼としげる深い森の中、太い石柱の間に立つと突然鏡が現れ、その鏡に触ると波紋が広がり、自分の顔にのめり込むように鏡の中に入っていったことを思い出す。


「あの鏡に映った僕たちが、今度の「尋ね人」だと知ったとか?」


『エッ? すごいですね。そのとおりです。最初の「大地の門」に影の森の精霊と一緒に入り、「ディア・マレ(海の女神)のラクリマ」を手にされたとき、今回の「尋ね人」として認定するんです』


 そう聞いて頷くロイが「三枚目の鍵を取りに、グリークたちと「水の宮殿」に行ってクララと会ったとき、『だいぶ時間が掛かったようだね。お疲れ様』と言ったんだ。初対面なのに、変なこと言うなと思ってたんだけど、向こうは僕の顔を知ってたのか」


『ロイたちが水鏡にのめり込んだとき、どう見えたんだろうね』

「シュール! 余計なこと言わない!」


『あらま』


「もう一回言ったら、三日間、クローゼットの中で反省させるぞ」マーティが眉間にしわを寄せるので『もう言いません』静かに答える。


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