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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
1008/1021

45-1 使者

 

『ほかに敵が潜り込んでるかもしれないよ。どうするの?』焦るシュール。

「今の状態じゃ、どうすることもできない」


『爆弾仕掛けられてるかもしれないよ!』

「それはないよ」

『どうして?』


「この艦には爆発物感知センサーが付いてるからだよ」

『爆発物感知センサー?』


「そう。爆発物を持ち込もうとしたら、センサーが反応して、エルのところにあるアラームが鳴るんだ」


『あれ? 前に爆発物が紛れ込んだことがなかった?』


「よく覚えてるな。アニスがいたファイヤーブリザード星で、僕たちを足止めするために、クラシックドール、元宇宙管理局ゲリラ部隊の隊長たちが送り込んだ爆発物が爆発して、電気室が黒焦げになっただろう?」


『あった!』


「元々この艦には搭載されてるんだけど、あの事件後、急遽、宇宙管理局が採用してるという高性能の爆弾感知センサーを購入して、取り付けたんだ」


『それはマーティ推薦の?』


「そうだよ。本部にいる同僚に購入先を聞いてくれて、すぐに注文したんだ」

『そうなんだ。じゃあ大丈夫だね』


「さて、マーティと一緒に来るかな?」ドアを見るロイ。


『逃げ出してるかもしれないよ』とシュールが言うので「そんなことしたら、尚さら自分は怪しい者ですということになるだろう? そうしたら、折角マーティを信用させて話した夢の話が、というより、向こうの作戦が失敗に終わるじゃないか」


『あらま』

「……わかったから、その「あらま」はもういいよ」


『あらま、そうなの?』

「……どんな映画で覚えたのか、なんとなくわかった」



 ナオと名乗る人物が来るか来ないかをシュールと話していると、マーティがナオを連れて戻ってきた。


『来たよ……来ないと思ってたのに……』ビックリするシュール。


「やあ、仕事中に呼び出してごめん」立ち上がるロイがにこやかに隣の席を勧めると、ロイを見たナオは緊張してギクシャク歩いてくる。


 なんとなく雰囲気がエルに似ているナオが、ぎこちなくロイが進めた椅子の横に立つと「失礼します!」大声で言い九十度頭を下げ、ロボットのような動きで椅子に座る。


 いつものシュールなら、ここでナオの動きに大笑いするところだが、絶対に来ないと思っていた彼が来たことで、怪しいそぶりを見せないか、固唾(かたず)()んで見ているようだった。


「俺、いえ、僕に、お、お話とは、は、どんなこと、で、でしょうか!」


「プッ!」ロイの隣に椅子を持ってきて座っているマーティが、吹き笑いする。「普通にしゃべれるだろう?」


「僕たちの前で、演技しなくてもいいよ」ロイがにこやかに言うと「エッ?」キョトンとするナオ。


 一番キョトンとしたのは『なに?』シュールだった。『どういうこと?』


「君は何者なんだ?」相変わらずにこやかな笑顔を崩さすロイが聞く。「緊張してるフリをしてるようだけど、僕たちの目は誤魔化せないよ」隣にいるマーティを見ると「どんなことが目的で俺に近づいたんだ?」と聞く。


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