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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
1005/1020

44-1 開戦前の分析

 

『お兄ちゃん。どうして「お医者のお姉ちゃん」たちをいじめる悪い奴を捕まえたらいけないの?』


 ロゼアが不機嫌そうにそっぽを向く「復讐の女神」のアエムルスを見るので「さっき捕まえに行かせたら、「破壊の女神」たちと戦闘になりそうだったからね。ここでお互いの武器を振り回したら、星の爆発を誘発することになって、みんな爆発に巻き込まれてしまうから止めたんだよ」


『アエムルス。星を壊そうとしたらダメよ』


『ヒャアアアア(そんなこと言われても……)』小声で文句を言って、持っている(むち)をペチペチ鳴らす。


『プロディトーリとクゥインヴィデェットも、周りを壊さないで悪い奴を捕まえるようにするのよ』


 松明を持つプロディトーリが『ヒャア?(ダメ?)』と言うと、斧を持つクゥインヴィデェットが『ヒャアア、アア(つまんなーい)』とふてくされたように呟く。


 三体とも黒いフードを目深にかぶって、抗議しているように見える。


「まったく、仕方ないな」苦笑するリシェルが「これから難しいミッションをこなさないといけないから、文句を言ってる暇はないぞ」


『お兄ちゃん。これから悪い奴を捕まえに行くんでしょう?』


「それができれば一番いいんだけど、今は、「お医者のお姉ちゃん」たちをこの星から脱出させることが優先だよ」


『わかってる。みんなもわかってるよね?』後ろにいる三体の「復讐の女神」たちに声を掛けると『ヒャ(うん)』と、一言返ってくる。



 一方、チョコクッキーをおいしそうに食べるマーティが「そうだ。ナオがもう一つ言ってたことがある」コーヒーを一口飲んで「夢の最後のほうで、「復讐の女神」が出てきたそうだ」


「やっぱり来てるのか」と言うロイだが「どうしてナオは、「復讐の女神」だとわかったんだ?」


「話してくれたときは、黒いフード付きのマントを着た三人の背の高い女性だと言ったんだ。持ってるものを聞いていくうち、「復讐の女神」だとわかった」


「そうなのか」納得して頷く。


「そういえばさっき、やっぱりと言ったが、「復讐の女神」を見たのか?」


「いや、文献に来てると書いてあるんだ」中央テーブルに置いてある文献を人差し指でトントンと叩くと「新しい文章が出てるのか?」


「ああ」追記されているページを開き、見せると読んでいく。


「相変わらず、ロイが触ってないと文字が浮かんでこないな」


「僕以外は読めないというルールは、撤廃してほしいね。何かの理由で文献を読めない状態になったら、道案内なんてできなくなるぞ」


「仕方ないだろう? 「尋ね人」にしか読めないようになってるんだから」苦笑して読み終わると「なるほど。本当に不思議な本だな。一体、どこで俺たちのことを見てるんだ?」


『マーティもおかしいと思うでしょう?』話に入るシュール。『どうやって、この文献に文字を書いてるんだろうね?』


「そうだな。書くというより、文字を浮き上がらせてるのかもしれない」

『どうやって?』理解できないシュール。


「俺にわかるか」

『なにそれ!』


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