42-3 久しぶりの全員集合
「なにがあった?」マーティが隣の席に座るロイに聞くと「先ほど、文献に書いてあった、「破壊の女神」によって壊された宇宙船の確認依頼をした技術部から、現場で確認作業を行った部員から、エンジン部分の修復は不可能だが、牽引して星外へ出るための改修は可能だと連絡がきたそうだ。
だから、エルから宇宙管理局の艦に連絡してもらって、牽引する宇宙船の選考と、セイボリーに、万が一、天井が崩れてきたときの対応として、ブリッジで天井を支える準備をしておくように話してきたんだ」
「しかし、このエアポートの天井すべてを支えることはできないだろう?」
「確かにな。でも、メインシェルターまでの離着陸口をカバーできれば、なんとかなるだろう?」
「……そうだが、その前に、宇宙船に深刻なダメージが起きたら、宇宙に出られないぞ」
「マーティ。僕たちが考えなければならないのは、この星からの脱出だ。
星の周りには宇宙管理局の宇宙船が取り巻いてるだろう。当然、彼らは正常な状態で出てくるとは思ってないはずだ。
なぜなら、爆発寸前の星が発する強力な電磁波の影響を長時間受けてるからだ。だから、出てきた宇宙船には即座に保護シールドを張るはず。
すでにゲートナンバー五・十・十五の三ヶ所のメインシェルターが取り外されて、停泊してた宇宙船が順次離陸してる。
各ゲートから離陸した先頭の宇宙船には、中の状況を伝えるためのデータを渡してあるから、星から出てきた宇宙船は、個別に対応してくれているはずだ。
だったら、僕たちが対応することは、いかにしてこの星から出るか、この一点だ」
アニスとバーネットは、初めて、どうしてロイがレジーナ マリス号の艦長として任命されたのか、悟ることとなった。
(統治者の息子だから艦長の座に着いたと思ってたけど、それだけじゃなかったのね。ただのボンボンじゃないことはわかってたけど、すごい。こんなロイ、初めて見た)驚くバーネット。
(夢に、出てきた、ロイだ)冷静にロイを見るアニス。(マーティ、一緒、対応、ついて、話してた)
艦長として、真剣に現状とこの先の状況を予測して話すロイは、普段の面白いロイとは別人だった。
そして、そんなロイと対等に話すマーティも、普段見ることのない表情と口調になっている。
「他のゲートに停泊してた宇宙船が順調に離陸してるのであれば、「破壊の女神」と召喚者がいるこのゲートの宇宙船の安否を考えないといけないだろう? そのために、「破壊の女神」を操る召喚者の動きを把握する必要がある」言い返すマーティ。「そうなると、コモンかバリエガータの援助が不可欠だ」
「そのことだが、バリエガータが召喚者にやられて、コモンが「冥府の宮殿」に戻ってるんだ」
「なんだって! では、あの後、エアポートの屋上で召喚者と対峙したのか?」バリエガータと「漆黒の狼」たちを追いかけ、エアポートの下から屋上を見上げたときの光景を思い出す。




