写真の中のキミ達へ
妻が亡くなってから五年が経った。
花柄の写真立てに写るキミが僕に微笑みかける。
チョコミントが好きだったキミ。
アイスを握り、満開の桜の下でそっと、僕達は愛を語り合っていたね。
妻が息を引き取ってから四年になる。
アクリルフォトフレームの中で踊るキミは、最高に魅力的な存在だった。
踊れない僕に優しく教えてくれたあの夏の日のことを、僕は生涯忘れないだろう。
妻が帰らぬ人となり三年が過ぎようとしている。
画鋲で留めた壁の写真。
揺れる観覧車から見える都会の街並みを指差して、キミは僕に笑いかけている。
妻が他界して二年目の春。
料理が趣味でよく僕に沢山料理を作ってくれたキミ。
映画を観ながら一緒に食べる料理は、格別に美味しかったのを覚えている。
妻が倒れて一時間が経過した。
脈は無く、既に事切れている。
ドジで間抜けなキミだったけれど、僕の中でキミはずっと生き続けるんだ。
受話器を取り、ゆっくりと119を押す。
「すみません。妻が倒れて動かないのですが──」
救急車が来るまでに、飾る写真を決めておこう。
新しいスタンドも買わないといけない。
綺麗な想い出をありがとう。
さようなら。