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写真の中のキミ達へ

作者: しいたけ

 妻が亡くなってから五年が経った。

 花柄の写真立てに写るキミが僕に微笑みかける。

 チョコミントが好きだったキミ。

 アイスを握り、満開の桜の下でそっと、僕達は愛を語り合っていたね。


 妻が息を引き取ってから四年になる。

 アクリルフォトフレームの中で踊るキミは、最高に魅力的な存在だった。

 踊れない僕に優しく教えてくれたあの夏の日のことを、僕は生涯忘れないだろう。


 妻が帰らぬ人となり三年が過ぎようとしている。

 画鋲で留めた壁の写真。

 揺れる観覧車から見える都会の街並みを指差して、キミは僕に笑いかけている。


 妻が他界して二年目の春。

 料理が趣味でよく僕に沢山料理を作ってくれたキミ。

 映画を観ながら一緒に食べる料理は、格別に美味しかったのを覚えている。


 妻が倒れて一時間が経過した。

 脈は無く、既に事切れている。

 ドジで間抜けなキミだったけれど、僕の中でキミはずっと生き続けるんだ。

 受話器を取り、ゆっくりと119を押す。


「すみません。妻が倒れて動かないのですが──」


 救急車が来るまでに、飾る写真を決めておこう。

 新しいスタンドも買わないといけない。

 綺麗な想い出をありがとう。

 さようなら。 

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― 新着の感想 ―
[一言] トリカブト保険金殺人事件の夫を思い出してしまいました。
2021/07/31 22:21 退会済み
管理
[良い点] なるほど、写真を見る度に「キミ」と呼び直していたのは、全員別人だったからなのですね。 最も輝かしいタイミングで撮影した写真だけを残せば、夫の記憶の中の妻は永遠に美しいままという事ですか。 …
[良い点] わああああ!!!!ぞくりとしました……!!!!! ホラーな病み(つω`*) すごくドキドキする作りでした……!!すごい……!!! [一言] 企画へのご参加、ありがとうございました♪
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