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その五「生け贄」

次の日僕たちは呼び出された。

100を超える数の僕たちを一度に収容出来るのは保管していたカプセルのある場所以外に使える場所も無かったのだろう大きな実験場を説明の場所とし僕たちの前には昨日の統括管理者であるクロードがいた。


集められた内容は自我を持った僕たちの処遇。

意思を持ってしまった以上、倫理の観点からこれまでのような実験は本人の合意がなければ行えないことの説明。

処分するには事件として大きすぎるためというのもありその辺を包み隠さず説明し、Z区画に行くかこちらの研究を引き続き手伝うかの選択権を特例として与えると約束した。


そして問題のZ区がどういった区画なのかの説明である。


そもそも、この施設は我々が一から作り上げた物ではない。


所謂オーパーツ、とある国の遺跡調査で発見された超古代文明の施設を発掘、開拓して利用するために研究しているのがこの施設の目的である。


当然、危険でない物のほうが最初は少なかった。

人や既存の動物の形を成していない化け物、施設の防衛システムによる弊害、おおよそ人の暮らす事すらできない環境。

そしてG区と呼ばれる現在も人間では到底相手に出来ないような怪物の数々が収容されている区間。


現代科学に似通っているもののこちらのロジックなど通じない遺跡の機械相手では普通にしても対処も出来ないと判断し当時のクローン技術や遺伝子組み換えの技術を応用し秘密裏に造り上げた人工生命体たち。


その活躍により我々は施設にある人間に有害な機能を無効化、封印し今ここに至る。


その区画内でもまだ未開拓のエリアがいくつかある。

その中でも特に危険だと言われているのがZ区。


Z(おわり)の字が使われているのはそれ以上先に進むことが出来なかったためZという字が充てがわれた。

当時の問題として難航した理由というのがマザーがまだ対応出来ていなかったがための迎撃システム、奥地に棲息する敵性生物、そして環境の悪さ。

その全てが我々に対してのみ牙を剥く。

ソナーなどを使用しても妨害電波などで阻害され、地道なマッピングのみが頼みの綱となった。

レーザー銃などを使用は効果が薄く、実弾の必要数は増え荷物が嵩張り、探索速度は低迷していた。

そして日の届かない施設内で日も夜も無く、時間の感覚もなくなりいつ襲われるかもわからない極限状態を永遠と行進させられる恐怖。

結果、一月も経たず部隊は半壊し撤退を余儀なくさせられた。


ファンタジー作品に出てくるダンジョンのようだと誰かが言っていたがまさにそんなイメージに相応しい場所だ。


もちろんその事について、こちらも事細かに彼らには伝えていく。

強制をするつもりはないがそこを開拓し人の住める場所にしろなど、そんなことを好き好んでしに行くような個体はほとんどいないと思っている。


それしJ-05という個体だ。

彼は優秀ではあるがしかし、個体としての価値は年齢にしても精神にしても幼すぎる。

自分よりも下にしか見えない相手に着いていこうと考える人間はいないものだ。


マザーもその事はわかっているだろう。

だからかこの場に彼女は居合わせていない。

出発までの間、システムに接続しZ区の情報収集や協力者を検索などして無駄な足掻きをしていると連絡を受け取っている。


「──、以上となる。どうするかは君たち次第だ。」


必要な事は全て述べ話を切り上げる。

戸惑う彼らの反応もこれからの事も私には関係ない。


全員を集めていると言ったが必要なメインユニットは逃亡時確保済み。

残り必要な個体は精査の上順次確保していく予定だ。


後はJ-05の努力に期待するとしよう。

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