〜序章〜出会い
このような内容の作品を書くのは初めてではありませんが、初めてみたいな状態です。稚拙な文章でまだまだ未熟ですが、温かい目で見守ってくれるとありがたいです。よろしくお願いします。
序章・出会い
ピピピピピピ…
ゴールデンウィーク初日、 嫌悪感しか抱けない目覚まし時計のアラームが誰もいない男子寮に鳴り響く。いや、誰もいない、という訳では無い。無印の 『橘早玖』だけが、静かな男子寮に取り残されていた。
「うるさいなぁ…」
手を伸ばし、時計のアラームを止めようと試みるが、手が届く位置に時計はない。仕方がない、といった感じで、早玖は布団からはい出てきた。時刻は10時。二度寝をするには遅すぎる時間だ。かといって起きてもやることは無い。
「誰もいないしなぁ…」
遊び仲間である『霧隠大和』や『小泉勇』らはゴールデンウイークにも関わらず帰省している。そんな中、早玖が帰省しないのには訳がある。その理由は単純明快である。『家族がいない』それだけだ。正確に言えば、いるのだ。だが早玖は、縁を切っていた。いや、切られていた、と言う方が正しい。早玖の親族は人類が『バディ』を組めるようになってから、その名を世界中に轟かせた。しかし、早玖にはバディがいない。それだけの理由である。
『バディ』。それは本来、地球上には存在しない生命体であるはずだった。神様や、幻獣、神獣など、例えにだしても有り余るほどその種類は豊富である。人々は彼らをアビスと呼んだ。そして、彼らを形あるものにしたのは、1人の人間だった。
本来、バディとは幼少の頃から青年になるまでできるものである。しかし、高校に入学したにも関わらず、早玖にはバディがいない。検査上は、才能はある、という部類であるのに関わらず、だ。ちなみに、バディがいない人間のことを、無印という。
「ま、気晴らしに買い物でも行くか」
1度決めたら行動は早い。朝食は食べない。顔を洗い、外用の服に着替える。支度を済ませるのに30秒程度。先程までの遅さが信じられない速さだ。
ピンポーン…ピンポーン
ドアノブに手を掛けた瞬間、チャイムがなった。早玖は驚きのあまり、手を思わず引っ込める。恐る恐る覗き穴からチャイムを鳴らした犯人を確認しようと覗くが、何も見えない。幻聴だったのかと思い直し、再び早玖はドアノブに手を掛ける。
ピンポーン…ピンポーン
早玖が手を掛けた瞬間、再びチャイムがなった。覗き見穴からは何も見えない。開けるか、開けないか。早玖は決断を迫られた。好奇心と、恐怖心。
ガチャ
好奇心が勝ち、早玖はドアを開けた。そこにいた者の姿に、早玖は目を疑った。年齢は10より上ぐらいに見え、黄色のミディアムショート。アホ毛が一本、ぴょこっと立っている。着ている服は傷つき、破れ、焦げている。
「た…すけ、て……」
その一言を発すると、少女は意識を失った。早玖は辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、少女を抱き抱え、部屋に戻り、鍵を閉めた。
「助けてって言われてもな…」
人間、のように見えないこともないが、きっと、人間ではないのだろう。
「そうだ、委員長なら何かわかるかもしれない」
幼馴染でクラス委員の『藤堂楓』に早玖は電話をかけた。1年生にも関わらず、学園1位であり『流血の魔導師』という異名も持つ幼馴染。無印の早玖を助けてくれる人。
『どうしたの?』
「一大事かもしれない」
『それで、どうしたの?』
「怪我をしてる女の子が部屋にいるんだ」
『ちょっと待ってなさい!すぐ行くから!影!行くよ!』
『了解した』
委員長は話を最後まで聞かずに電話を切った。あの様子なら10分後に来そうだ。
「早玖ー!開けなさい!」
一息付いた瞬間、ドアが叩かれた。
「ちょっと待って!」
慌てて鍵を開けに行く。鍵を開けた瞬間、委員長と影が雪崩のように玄関に入ってきた。
「女の子は?!」
「今は寝てる」
「変なことしてないでしょうね!」
「してねぇよ!」
藤堂楓。黒髪のロングヘアーで胸は失礼だがないに等しい。更に、バディとの相性も良く、『共鳴』していることにより、彼女自身も異能力を使うことが出来る。
『暁響影』。委員長のバディであり、吸血鬼でもある。『共鳴』したことにより太陽下での活動が可能になった。異能力は防御特化型で耐久性が高い。
「この子ね」
委員長がそう言った瞬間、少女が目を覚ました。何も覚えていないのか、キョロキョロと辺りを見回している。その目線は、影と委員長を素通りし、俺と目が会うと、少女は一言。
「ご主人…?」
「は…?」
数秒の沈黙。1番最初に口を開いたのは委員長だった。
「手を出してんじゃねぇかぁぁぁぁー!!」
「俺は何もしてねぇぇー!」
数秒後、委員長にボコボコにされた早玖が転がっていた。
「…今回は早玖が悪い」
「いやだから何もしてねぇって」
「…ご主人は、ロタを助けてれた。ご主人はなにもしてない」
ジッと、委員長とロタと名乗った少女は見つめあった。
「あなたがそういうならそうなんでしょう」
「俺はなんで殴られたんだ…?」
「ご主人、大丈夫?」
ロタは、自分の方がダメージを受けているにも関わらず、早玖の心配をした。早玖はそれが無性に気恥しく感じ、慌てて一言。
「大丈夫だ。ロタは大丈夫か?」
「うん」
見れば、ロタの怪我は完全にではないが回復している。その回復力の以上さは誰の目にも明らかだ。
「ロタちゃん。あなたは、人間?それとも、アビス?」
「ロタは…ロタって名前しか…」
「そう。無理に思い出さなくていいわ。ね?早玖」
「ああ。ゆっくり思い出せばいい」
「わかった。ご主人と女」
………
「早玖。まだ自己紹介してなかったね」
「今更?!」
そうして、無印の早玖と正体不明の少女、ロタとの生活が始まった。
最後までありがとうございます。まだ序章ですので終章までお付き合い頂けたら幸いです。意見、ご指摘ありましたらコメント下さると嬉しいです。