3人の科学者それぞれの思い
スタインとヒューストンの元に軍服姿の男たちがきた。スタインは
「いいですか。わざと捕まるんです。何故ここが。と言うような感じで。」
予想どうり男たちはスタインたちを脅してきた。スタインは演技で大げさに怯えながらヒューストンと共にわざと連行された。
基地内では司令官と側近らしき男が話していた。
「ボルトは忠実に部屋で開発を続けています。」
「ふん、どうせ奴隷にする予定の男だ。クリスタルエレメントが完成したら正式に奴隷にするが。」
「はい、そこそこ頭が良くても中身は屑の男ですし。」
別室に連れて行かれたモルフェスは怒っていた。
「どういう事です!」
眼帯の男がさらっと言った。
「我々とボルト博士が作った殺人用ロボットはコントロール方式、つまり自分の意思がありません。ですので人工知能の権威であるあなたにクリスタルエレメント用の脳を開発してほしいのです。」
「そんな簡単には作れん。」
男はやんわり脅迫するような口調で言った。
「ではすでに完成している、あなたの娘型のようなロボットの部品を使わせてもらうのはどうですか?」
「持ってきました。」
部下が少女型ロボットを持ってきた。
「やめろ!私の娘を悪事に利用するくらいなら死んだ方がましだ!」
手を抑えられながらモルフェスは怒鳴った。
しかしそこへボルトがやってきた。下を向き完全にあきらめたような表情だった。
「この人たちに従おう。それしか助かる手はない。」
「ダメだ!アルドの人工知能をこんなやつらに悪用されてたまるか!」
「痛い目に合いたいようですね、連れていけ。」
男が冷酷に指図するとモルフェスは連行されて行った。
モルフェスは逆さ吊りにされ、鞭で殴られていた。
「早く発明すると言え!」
「絶対に出来ん!」
しばらくしてモルフェスは解放された。部下は司令官に伝えた。
「しぶといです。言う事を聞きません。」
「よし、奴をボルトと同じ部屋に入れるんだ。」
モルフェスは連れてこられた。
「お前ら2人で共同作業をしろ、拒否したらもう1人を殺すぞ。」
2人は従い作業を続けた。
「科学を悪に使う事も許せんが、子供のいなかった私の為作ったロボットの脳が悪事に使われるなど死んだ方がましだ。」
「落ち着け。お前が死んではダメだ。おれに良い考えがある。人工知能を埋め込む際別の人間の脳波をプログラムするんだ。そうすればお前の息子のロボットの人格は利用されない。」
「そうか、すまない。だが結局クリスタルエレメントは起動するのか。しかし息子のデータを使われないだけ良かった。自分の息子さえよければと言う私の勝手なエゴだよ。」
隙を見て逃げ出したスタインとヒューストンは辺りをうろうろしていたがトラップに引っかかり部下に捕まった。
「逃げられると思ったのか?お前には開発の協力してもらうぞ。」
「人工頭脳を埋め込みます。」
ボルトに対し見張りはOKを出した。その時ボルトはデータファイルから盗んだフィルムを人工知能のそれと交換した。突然ロボットは反応し台の上で震えた。
「よし!クリスタルエレメントが動くぞ!」
しかし氷の巨人と呼ばれるロボットは上体を起こし立ち上がろうとした次の瞬間へたっと倒れた。
「どういう事だ!」
切れている部下に対しボルトはやけくそに怒鳴った。
「赤ん坊のデータを入れてやった!」
「おのれ!」
ヒューストンは逃げながら廊下にカプセルのようなものを拾った。
「なんだこれ?私にはわからない。」
しかし捕まってしまった。
ボルトは絶対冷凍ジェネレーター、鉄の拳、冷凍ガス発射装置などを取り付けていた。
「こうなったら最後の手段だ。このロボットを味方に。だが頭脳がない。」
そこへヒューストンが連れてこられた。部下はヒューストンに行った。
「しばらくじっとしてろ!」
その時ヒューストンのポケットからカプセルが落ちた。
「おお、これは、さっき落とした別の人間の脳波カプセルだ!いちかばちかこれを埋め込む!善人か悪人かわからんが!」
ついにボルトは頭脳にカプセルから拾ったプログラムを打ち込んだ。次の瞬間クリスタルエレメントは歯ぎしりのような音を立てゆっくり起き上がった。
「この、サイボーグはもはやクリスタルエレメントではない、スノーボルトじゃ!自分の意志で人間の心で動くんじゃ!
」