兵器実験 スノーボルトの人格は
一旦4人はスタイン博士の家に避難していた。
「どうにか脱出できたが、これからだ。我々は奴らの兵器を奪った上に基地で暴れたからな。」
ヒューストンは言った。そわそわしている。
「あいつらは国の「真の軍隊」なんでしょう。兵器を奪った事で国家反逆罪とか?」
モルフェスは言った
「いや、奴らは真の姿を国民に隠している。もちろん兵器の存在もだ。だから捕まるよりこっそり消されるだろう。」
みな戦慄し、少し黙ってしまった。ボルトは少しして申し訳なさそうに切り出した。
「儂のせいじゃ。儂が兵器を作ったからじゃ。」
しかしスタインはボルトの自責の念から来るつらさを察しかばった。
「いや、だがそれが奴らに対抗する手段となっている。後はこれをいかに使うかだ。リモコンや口で指示するタイプか自分の意思を持ったものか改造するのにこれから考えねばならん。」
「操作するか、心や頭脳がある自主的ロボットかと言う事か。」
モルフェスが言うとスタインがいった。
「私はコントロール式がいいと思う。いざと言う時ストップ出来るからだ。」
しかしヒューストンは言った。あえて科学者たちの前でわきまえながら主張した。そこには科学に対するわくわく感も見てとれた。
「僕は自主式の方がいいと思います。心によって強さを引き出し、逆に抑える事も出来る。心で自分をコントロール出きるからです。」
どこか3人には、素人の癖にと言う雰囲気があった。しかしかばうようにボルトが同調した。
「ワシも同じ事を考えていたよ。」
ボルトは言った。
「今のスノーボルトの人格では我々の理解出来ない部分が多い。ひとりの人間を理解するのは難しい。そして変える事も。」
スタインは同調しながら意見を言った。
「まず我々の言う事を聞くかだけでなく、戦闘に向いているか、状況判断や知識なども問われる。そうなるとランダムに引っ張りだした今の人間のデータではだめだ。スノーボルトの性能を引き出せる人間の脳波プログラムが必要だ。」
モルフェスは言った。
「私にそれを作れと言うのか?」
しかしボルトは答えた。
「いや、わしの作ったプログラムを使うんじゃ。」
一行はボルト博士の研究所に移動した。途中ふいにスノーボルトが草むらにアイビームを撃った。すると草むらに隠れていた兵士が倒れた。
「あいつら待ち伏せしてたのか!」
一行は連れていかれたため開け放された研究所にいった。
「ここはあいつらに盗聴機までつけられた場所だ。」
スタインは見回した。
「あいつらいないだろうな。」
確認した後ボルトがいった。
「ここに私の極秘開発したロボットがある。」
そう言うと物置から標本のように保存されていたロボットを出していた。スタインはきいた。
「このロボットは私が作った戦闘専門ロボットだ。」
そのロボットは全身が真っ黒の肌で服は着ておらず若干猫背、目が白目で、冷たく光っていた。手にはライフルを持っている。
「これを使って戦闘テストをする。」
「戦わせるのか?」
「そうだ、スノーボルトに入っているどこかの人間の脳波が戦いに向いているかためすんじゃ。」
「もし向いてなかったら?」
「あの戦闘ロボットのデータを移す。スノーボルトは戦いだけのロボットになる。」
しかしモルフェスは言った。
「また兵器を作る気か?わかった、私が人工頭脳を作ろう。平和を愛するロボットを。」
「いやワシがやる。これは罪の償いだからだ。」
ヒューストンは言った。
「待ってください。もしスノーボルトが負けて戦闘ロボットのプログラムを移したら、正しい心もない戦うだけのロボットになってしまう。」
「モルフェス、ヒューストンさん、平和を愛するロボットはすばらしい、だが今はむしろ力の方が大事だ。戦うだけになったとしても。優しくても弱くてはやつらに勝てん。」
そこにはボルトの力のためには優しさを捨てるのもやむなしという悲しみと強い決意があった。
一行は外の誰もいない野原へ移動した。昨日1晩で調整を受けたスノーボルトの体は人間の肉体とダイヤモンド素材がうまく調和した皮膚となり、顔が口がない般若のような鋭い白目でこの顔にパーカーのフードのように猿の川がかけられていた。腕は筋肉とダイヤモンドの他に猿の強化皮膚がところどころについていた。氷のようなまなざしとやせたゴリラの様な体格が印象的でダイヤモンドと筋肉のコントラストが人間ぽさと冷たさを両方出していた。
研究所が他の家と離れているため場所を見つけるのは苦労しなかった。そして2体をそろえ皆が見守りテストは始まった。二機がにらみあった。緊張感に皆は唾を飲んだ。それを遮断するようにボルトがさけんだ。
「はじめ!」
合図後戦闘ロボットはさっそくライフルを構えスノーボルトに向け撃った。食らったスノーボルトはのけぞったが反撃をしない。ボルトは言った。
「うーん。戸惑っておる。戦闘には向かないか。」
しかしヒューストンは叫んだ。
「いけ、スノーボルト!戦うんだ!」
その声にわずかにスノーボルトが反応し機械音をうなずくように出した。




