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魔法と交わる現代武術  作者: ゆたなるい
第一章 邂逅の姫君
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第03話 幸先への不安




 その日の夜。

 マルタが空腹を訴え、色々ありすぎて和輝自身も昼飯を抜いていたことを思い出し、部屋の小狭いキッチンで何か適当に作ろうと冷蔵庫の中身を覗いたのだが。

 レンジで温めるだけのパスタやピラフなどのお手軽冷凍食品しか見つからず、『こちらの世界の食事は初めてです!』なんて言いながらワクワクしている呑気なお姫様に、初日からこれを与えるのは……と流石に逡巡した和輝は、結局マルタを外へ連れ出した。

 彼女の服装が目立つという不安はあったが、ジャケットだけ脱いでもらうことで妥協。まあギリギリ、『フリフリしたゴスロリファッションが好きだけど周りの目の気もなるからちょっと派手めのカジュアルな服にしてみました』感を感じられなくもない。とてもギリギリだが。


 そして連れて来たのが……学生寮近くにある、チェーンの牛丼店だった。

 おいおい女の子連れて入る店がよりによってそこかよ童貞野郎! と自分で自分を戒めたいところであったが、あまり遠出は避けたいのと、そもそも財布に大した金額が入っていなかったため、結局こうなった。

 女の子と付き合ったら絶対初デートで振られるやつだこれ、なんて自分に呆れながら自己評価を下す純情少年である。


「おぉ……か、カズキさん! これは何という食べ物なのですか?」


「牛丼」


「ギュードン? 不思議な響きですが……とても食欲をそそられる香りがします」


 とはいえ。

 当の本人はというと、注文した牛丼並盛りが目の前に届いてきた時から随分とご機嫌だったので、まあ別にいいかと心の中で胸をなでおろす。

 ……なぜか無垢な少女を騙してるみたいで若干心が痛む気がするが、背に腹はかえられないのでとりあえず笑顔だけ浮かべておく和輝である。

 どちらかというと、周囲の客や店員からの視線がチクチクと痛い。


「あれ? カズキさん、これは何で食べるんですか?」


「ああ、箸だよ。これをこう持ってだな……」


 カウンター席に等間隔で並べられた箸要れのボックスから四本取り出し、うち二本をマルタに渡しつつ右手でいつも通り箸を握ってみせる。自分の牛丼を掬い上げて頬張ってみせた。


「んむ……、この先端で食べ物を摘まんで口まで運ぶんだ。こっちの世界……っていうか、日本ではスプーンやフォークよりこいつの方が主流なんだよ」


「なるほど……でしたら、わたしも慣れなければなりませんね」


 和輝の右手をチラチラと見ながら、覚束ない動きで箸の持ち方を真似するマルタ。しかし指先がプルプルと震えており、やたら力も篭っている。表情は真剣そのものだ。

 さきほどの和輝の動きをトレースするようにして牛肉とつゆが染み込んだご飯を僅かながら掬い上げ……それ以上はもう手を動かせないらしい。最早自分から食いつくようにして、パクッと口に入れた。

 何度か咀嚼し呑み込んだマルタは……輝かせた瞳でこちらに振り向いた。


「カズキさんカズキさん! おいしい! おいしいです! 肉の甘みと主張しすぎないタレの風味がとても絶品です! この下にある白い粒々もシンプルながら奥深い味わいが……!」


「お、おう。気に入ってもらえたならよかった、うん」


 かつてチェーン店の牛丼をここまで褒め称えた奴がいただろうか。きっと会社のお偉いさんの前でこいつに牛丼食わせたら泣いて喜んでくれるんだろうな、なんてしみじみ思う。

 しかしどうやら、箸の扱いだけは中々上手くいかないらしい。勢いよく箸で掬ってはボロボロとご飯を丼の中へ落としている。表情だけなら大食いチャレンジでもしてるんじゃないかってぐらい真剣だ。

 マルタ自身指先は器用なのだろう、持ち方はとても綺麗なのだが、あまりにも力み過ぎている。そのまま握力で箸を握りつぶすんじゃないかってぐらいである。


「あー……店員さんに頼んでスプーン持ってきてもらおうか?」


「いえ! 結構です! 少しでも早くハシに慣れてみせます!」


「そ、そうっすか」


 とんでもない熱気にこちらが気圧されてしまう。まあ、本人が頑張るつもりなら見守るしかないだろう。

 一人牛丼と奮闘する姫を横に、和輝はすっと視線を自分の牛丼に移すと、いつもの癖でカウンター目の前に置かれた紅生姜をドバドバと乗せ始めた。

 ……当然、隣に座る好奇心旺盛な少女がそれに食いつかないわけがない。


「! カズキさん! それはなんですか!?」


「え? ああこれは、紅生姜っていって、生姜の塊根を梅酢に数日漬けた……漬物? なのかな。牛丼の薬味に合うんだよ」


「そうなんですか? ならわたしのにも乗せてください!」


「お、おお……」


 テンション高く自分の丼を和輝の方へ寄せてくるマルタ。

 牛丼への紅生姜。和輝は寧ろ好きな方なのでいつも肉が隠れるぐらい大量に乗っけるのだが、好みが分かれるのも確かだ。マルタのことを気遣って、トング一つまみぶんだけ軽く乗せてあげる。

 しかし頑固なお姫様はブンブンと首を振ってみせた。


「カズキさんと同じぐらいにしてください!」


「え? いやでも、これぐらい乗せると最早肉を食ってるのか紅生姜を食ってるのか分からなくなるから牛丼初心者にはあまりオススメできないんだけど……」


「どのような味になるのか知りたいんです! 経験です!!」


 圧が凄い。

 もうこれだけ言い出したらこちらの意見は聞く気がないらしい。

 仕方ないので、言われた通りに和輝の牛丼と同じぐらい紅生姜を乗っけてあげる。もう牛丼というより紅生姜丼である。一面ピンク色に染まった丼を前にカウンター席に座る男女ペア。我ながらシュールな光景だった。

 マルタは自身の丼を見下ろして満足気に頷くと、改めてぎこちない手付きで箸を動かした。

 パクリと一口。

 ゴホッ! ゴホッ! と初手でおっさんみたいに(むせ)るマルタである。


「な……なんですか、これは……!? 妙な辛さがっ……!」


「い、言わんこちゃない……ってあれ、普通に二口目行くんだな。苦手じゃないか?」


「はい……んむっ、というか、なんだか癖になるというか……はむ。……辛いですが、なかなかイケますね」


「お前も紅生姜ニストだったか……」


 明らかにお嬢様な見た目の金髪少女が紅生姜モリモリの牛丼を頬張る光景はなかなか珍妙であったが、それが知り合いとなると何とも言い難い気分でる。

 とはいえ、とりあえずマルタは満足いっているようなので安堵する。和輝は苦笑いを浮かべつつも箸を持ち直し、改めて自分の晩飯にありついた。






     ◇






『桐嶋。あんた休み前のテストで赤点あったから明日は補習なー』


 少し訛った喋りの担任の先生からそういった内容のラブコールを受け取ったのは寮に帰って30分ほどしてからのことだった。


「えぇ!? ちょっと勘弁してくださいよ! 明日からはその……そう! 大事な用事があるんです!」


『ほう、なんや用事って?』


「え、ええっと……親戚の女の子が、ちょっと、泊めてくれって……それで色々買い足しとか……」


『だっはっはっは!! あんたもおもろいギャグ言うようになったなー! 桐嶋にそんな女できるわけないやろー!!』


「ちょっと待てーい! あんたそれでも担任か!? 生徒の言うことぐらい少しは信用しろよ!!」


『無理無理! 桐嶋に女ができるなんて日本から白米なくなるぐらいありえへんわ!』


「ひどくない!?」


『とにかく明日は補習! 朝9時には教室くるんやで!』


「ちょっ、」


 完全に言いたい放題言われて、向こうからブツリと通話を着られた。

 耳に当てるスマホから、プー、プー、と虚しい音だけが響いてくる。とんだクソ教師である。


「どうかしたんですか?」


 興味深げに部屋の本棚を物色していたマルタが、背中から問い掛けてきた。

 どうもこうも、完全に予定が瓦解してしまった。マルタという居候が増えた以上、色々と足りないものを買いに行こうと考えていたのに。予想外の妨害で早速頓挫である。


「……明日から長期休暇だったんだけど、補習が入った」


「補習……ということは、自業自得ということですか?」


「やめて! 言わないで! 確かにそうだけれども!」


 実際、2教科ぐらい赤点を取ったのは事実だ。補習を入れられてしまうのは仕方ないのかもしれないが、それならそれでもっと早く言っておいてほしいものである。


「明日はお前の服とか日用品とか買いに行くつもりだったんだけどなぁ……うーん」


「わたしは居候の身です。別に有り合わせで構いませんが」


「こっちが気になるんだよ。洗濯の手間も増えるし」


 生真面目なマルタのことだ。おそらく必要最低限のものすら買い与えなくとも、『住まわせてもらう以上文句は言いません!』とか言って気にしないのだろう。

 しかし相手は女性。和輝からすると、一切気を遣わないというのは無理な話である。


「補習終わりは……面倒だし。仕方ない、買い物は明後日にするか。悪いけどそれまでは今着てるやつで我慢してくれ。寝間着は……そうだな。ジャージだったら女性でも着れるか」


「……なんだか、色々と考えてくれているようですみません」


 マルタは申し訳なさそうに肩をすくめる。別に謝ってもらうほどのことではないのだが、どこまでも彼女は心配性らしい。

 和輝はわざとらしくあっけらかんと笑いながら手を振った。


「別に気にしちゃいないよ。ここに居ればいいって言ったのは、そもそもこっちだしな」


「……ありがとうございます」


 嬉しそうに微笑むマルタ。素直すぎる面が目立つ奴ではあるが、いちいちこうして喜んでくれるなら多少気を遣うのもやぶさかではない和輝である。

 マルタは再び本棚へ視線を移すと、乱雑に並べられた漫画やら文庫本を物色し始めた。


「……」


 暇なときはその辺のもの勝手に見ていいぞといったのは和輝なのだが、よくよく考えれば彼女は日本語を読むことができない。何が面白いのだろうかと疑問に感じる和輝。

 思わず口に出して聞いていた。


「お前、こっちの文字読めないだろ? 見てて分かるの?」


「いえ、まったく分かりませんが……異世界の文化なのでとても興味深いです。特にこの、マンガと言ったでしょうか? 連なる絵画で物事を表現する書籍は、わたしの世界にはなかったもので」


「ふーん。漫画なら確かに文字読めなくても何となく内容は想像できるのかな」


 何気なくそこまで話して、ふと気になることが脳裏に浮上してきた。

 寧ろなぜ、今まで一切気にしなかったのだろうか。マルタへ向けて改めて問いを向ける。


「なあ、不思議に思ったんだけどさ。どうして俺達言葉が通じるんだ? 文字文化が違うなら喋る言語だって違うはずだよな。こっちの世界の言葉……それも日本語が通じてるのはおかしくないか?」


 初めて会った時からマルタとは特に不自由なく会話できていたが、よくよく考えればおかしなことである。

 和輝の疑問にマルタは顔を上げると、


「『ワールド・ゲート』の副次効果ですね」


 迷うことなくさらりと言った。


「ゲートを潜る際に、行く先の世界に体が適合する魔法が掛かるんです。実際にはこちらとサンクカタリスでは、話す言語はもちろんのこと、もしかすると重力の重さなども違うかもしれません。そういった"ズレ"を修正する力が魔法の効力に含まれています」


「へぇー……便利だな、魔法って」


「そうですね。だからこそサンクカタリスは技術レベルがあまり進歩していないのですが」


 あまり現実味のないことを当然のように語られて漠然と聞くしかない和輝だが、それならこちらが気にすることでもないかと思考を打ち切る。

 相変わらず何でも有りな魔法の力に圧巻されるばかりである。

 ふと自身のスマホに視線を落として時間を確認する。もうそこそこいい時間だ。

 そろそろ風呂入るか、なんて考えかけて……ハッと重大なことに気付いてしまった。

 そーっと伺うようにマルタへ視線を配る。彼女は変わらずスポーツ物の漫画を興味津々でページを捲っている。

 和輝は、コホン! とわざとらしく咳払いを挟んだ。


「あー、マルタくん? 風呂は先がいいかね? それとも後?」


「? ふろ?」


「む、そうか。何て言ったらいいんだ? バスルーム? 浴室?」


 どうにかこうにか説明して、こちらでいう体を洗う場所だという意味は何とか伝える。マルタは漫画を閉じて本棚へ戻し、納得したように頷いた。


「どちらでも構いませんよ」


「うん、そう言うと思った。……じゃあ先に入ってくれ。綺麗なうちに使った方がお前も気分いいだろ」


「いいのですか? ありがとうございます」


 小さくお辞儀するマルタ。

 和輝は立ち上がると、彼女を案内するように浴室へ向かった。シャワーの使い方や、脱いだ服は洗濯機に入れておいてほしいということ、体を拭くタオルなどを簡潔に説明する。こちらの世界のテクノロジーを目の当たりにするたびに目を輝かせるマルタを見て、見た目相応に子供っぽいとこもあるんだなと納得する。

 そんなこんなで浴室周りの使い方だけ説明した和輝はそそくさと洗面所を後にした。

 居間に戻り、クローゼットを開けてマルタが着れそうな服がないかとゴソゴソ漁っていると……やがて浴室の方向から、シャワーの水が流れ出る音が微かに響いてきた。

 思わず手が止まる。

 自らの心に精神統一するように、スッと瞼を閉じる。


(…………、深く考えちゃいけない。居候とはいえ女の子と同居する以上、いずれこういう状況になることは少し考えれば分かったはずだ。心を菩薩にするのです和輝。決して妄想してはいけない。人としての善良な心を大切にするのです)


 正しくこれは無我の境地。

 扉を数枚隔てた先には、間違いなく美人に部類されるであろうマルタが。ついさっきまで目の前で笑顔で喋っていたあのマルタが。一糸纏わぬ姿でシャワーを浴びている姿なんて絶対に想像してはいけない。絶対にだ!

 かれこれ17年生きてきて、女性との付き合いはゼロに等しい和輝。

 しかしこの状況、あくまでも紳士に振舞わなければならないということは流石に分かる。


 あらゆる感情を殺した顔で改めて手を動かし、今は着なくなっていた黒のジャージを取り出した。男物なのでマルタが着るとブカブカだろうが、これ以外に丁度いい服が手持ちにないので仕方ない。

 下に着る用の無地のTシャツも共に取り出し、クローゼットを閉める。

 改めて洗面所へ足を向けた。

 ドアノブに手を掛けて一瞬動きが止まるが、


(…………、着替えを届けるだけだもんな。仕方ない。うん、これは仕方ない!)


 特に迷うこともなく中へ踏み込んだ。

 聞き取れるシャワーの音がより近くになり、なぜか物凄く緊張してしまう。

 特に意味はない。特に意味はないのだが、浴室と洗面所を隔てるドアへ視線を向けた。

 浴室扉は中央をくり抜き、マット板というガラスを張っていることが多い。この部屋のもまさしくそれなのだが、通常のガラス板と違うのは曇った白色で完全に透けさせないという点。

 よって。

 完璧に見えるわけではないが、肌色のシルエットだけが確かに映っていた。


「……」


 ガン見する。無我の境地はいとも簡単に崩れさった。とりあえずガン見する。だって男の子なんだもん。

 たっぷり10秒程度じーっと見つめていたが、ようやく我に返る和輝。

 慌てて持ってきた着替えを洗面所用のランドリーカートに置いて、控えめに声を掛けた。


「ま、マルタ。着替えここに置いとくから」


『え? あ、はい! あ、ありがとうございます』


 扉越しにちょっと反響した声で返答が返ってくる。

 マルタの声色からも少し驚いた様子が感じ取れた。当然である。この薄い扉一枚挟んだ先に異性がいるのだから意識しないわけがない。


「じゃ、じゃあごゆっくり~……」


 別に言わんでもいいことをなぜか口走りながら、これ以上邪なことは考えないためにさっさと洗面所から出ようと身を翻す。

 しかし、


『あっ、カズキさん。ちょっと待ってください!』


 浴室の方からなぜかマルタに呼び止められる。

 反射的に振り返ったのとほぼ同時―――、ガシャ、と。

 浴室の引き戸が唐突に開いた。


(エーーーーーーーーッ!!!!)


 心の中で絶叫。

 半分ほど開いたそこから中の湯気が漏れ出ると共に、体を隠すようにするマルタが顔と手だけを覗かせてこちらを見つめてきた。

 熱で紅潮した肌に、艶かしく張り付く濡れた金髪と水滴。

 体はほとんど見えないながらも……スケベだ。童貞小僧はド直球な感想だけ頭に思い浮かべた。


「あ、あの……このボトルが押せないのですが……」


 恥じらいも含めて頬を赤く染めるマルタは、おずおずとシャンプーのボトルを見せてくる。そうだ、と思い出す。新品に買い換えたばかりだから、まだキャップ部分を上げていなかったのだ。

 実際のところ上の部分を捻るだけなのだが、異世界人のマルタにその発想がある訳がない。


「そ、それはだな、こうして……」


 ボトルを受け取ると、キャップを回転させて上げて見せる。それを見たマルタは、おぉ、と僅かに感嘆の声をもらしたのだが、そんなもの和輝は見ていない。

 手を動かしながら、視線は完全にマルタの紅潮した顔や華奢な手、チラチラと覗く肩や膝に釘付けである。

 ガン見しながら改めてボトルをマルタに返した。


「ありがとうございます」


「うむ」


「似たような容器はわたしの世界にもありましたが、この螺旋状の凹凸の仕組みは素晴らしいですね」


「うむ」


 マルタはどこか縮こまるように顔を引っ込めると、上目遣いで和輝の視線を受け止めた。


「……あの、カズキさん?」


「うむ」


「さすがに、その……隠れてるとはいえ、それだけ見られると恥ずかしいです……」


 あっ、気付いてたんですね。気付くわボケ。と脳内でノリツッコミを繰り広げつつ、ピシッと固まる現行犯。


「で、では」


 それだけ言ってマルタは扉を閉めてしまった。

 本来であれば、この変態!! とか叫ばれながらドギツイ一発でも飛んでくるところだが、さすがは心優しきお姫様。恥らうだけで、こちらを一切攻めなかった。なんという慈悲。

 ……逆に罪悪感で心が痛い和輝であった。


「……、」


 なんとも言えない感情を抱きつつ、沈黙のまま洗面所をあとにする。

 後ろ手にドアを閉めて、背中を預ける。ぼーっとした視線で照明を眺めて、ポツリと呟いた。


「……これから大丈夫かな、俺」


 桐嶋和輝。何度も言うが女性経験皆無の健全な男子高校生。

 主に自分の精神的な面で、今後の生活に懸念を抱かずにはいられなかった。






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