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四代トラブルメーカー  作者: かいり
#受け入れるということ
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13話―①『職業体験』

「なんでアタシがやんなきゃいけないのよ!」

「しょうがないでしょ。指名されちゃったんだから」

「女の子いるって本当⁉」



 皆さんこんにちは。鎖金槍耶です。そして本日は、まだ学校が始まる前の、残り少ない休日です。そんな日に、俺はとある場所にいます。



「こういうのはマイの仕事でしょ⁉ なんでアタシまで駆り出されたのよ!」

「カヤ、暇そうにしてたから……」

「ワタシはなんでー? なんで呼んだのー?」

「女の子がいるならクウは手伝ってくれると思って……」

「さすがマイ! 卑怯な手を使うね~!」

「こんなのアタシの仕事じゃなーい!」



 ………もうお分かり頂けただろうか。

 そう。目の前にいるこの女性三人は 、かつて俺達と相対した『魔警察』の三人。そしてこの人達がいるということは、ここが何処だかもすぐに理解してもらえただろう。

 そう。ここは、魔警察のてっぺん。

 つまり―――警察庁である。


 時は、魔力者大会の直後へと遡る。

 あの大会で、魔力者としての人生を歩むことに決めた俺は、第一に将来の職業について悩んだ。しかしそれは、案外簡単に決めることが出来た。



「魔警察に……なりたいな」



 それは母が就いていた職。憧れていた職。色々と魔力者の職業について調べてみても、やはり魔警察に終始心惹かれていた。だから俺は魔警察を目指す。



「とは言ってもなあ……」



 実際、魔警察になるのは物凄く大変なことだろう。しかも俺は今、進学校に通っている。そこでの勉強が役に立たないとは言わないが、勉強のせいで皆よりも戦闘面で遅れがちになるのは事実。

 どうにかその差を埋めたい―――でもどうすれば?



「これ、行ってみれば?」



 考え抜いた挙げ句、海斗に相談してみた。すると、携帯の画面を見せられた。まじまじとそれを見る。そこに映し出されていたのは、トップに『職業体験者募集』の文字があるページだった。



「何だこれ………一日職業体験?」

「ああ。マスリ学園って魔法学校が募集してるんだとさ」



 魔法学校? なんで魔法学校が、わざわざ外部から募集してるんだ? 自分の学校の生徒はどうするんだよ。



「海斗、これ本当なのか?」

「どうやら本当らしい。上から指示されてるのか何なのか、毎年どっかの魔法学校はこの手の募集をやってる。魔力者不足なのかもな」

「へぇー………」



 俺の父さんみたいに、魔力者でも普通の職業に就く人もいるもんな。逆に一般人は魔力者の職業には就けないし……そうか。そうすると、減っていくのは最早必至ってことか……。

 俺は、映されてるページをちゃんと読む。その中で、ある一点に目が留まった。



「魔警察もあるんだ……」

「ああ。だから勧めた」

「そっか。やってみようかな」

「ちゃんと話聞けることなんてそうそうないだろうし、いいと思う」

「だよな。サンキュー。海斗」



 というわけで、今に至る。



「鎖金さん」



 呼ばれて、ハッと我に返った。修道女は深緑の瞳で穏やかに笑っていた。



「改めまして、風峰マイです。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「敵にそんな改める必要無いんじゃないの~?」



 風峰さんの隣にいる、ワインレッドのポニーテールの女が、ギロリと俺を見た。



「それより影縫直人呼びなさいよ。アタシアイツに復讐しないと気が済まないわ!」

「こちらは飛炎カヤです。カヤ、復讐なんて物騒な言葉使わないで」

「使うわよ! 復讐復讐! 復讐させなさいよ!」

「そーだそーだ! ワタシも復讐しないと気が済まない!」

「こちらは河東クウです」



 風峰さんが紹介する、黒髪の巫女。魔力者大会にも特別ゲストで呼ばれていた人だ。河東さんは俺を見ると、嫌そうな顔をした。



「一緒にいた女の子達の方がよかったなー」

「そんなこと言われても……」

「いいよねーあの子達! ロリっ子とボーイッシュと美少女! 三タイプを同時に堪能出来るなんて……!」

「クウ、気持ち悪い」



 飛炎さんに頭を叩かれる河東さん。それでも河東さんはにやけ顔を続けていた。呆れたように溜め息を吐いた風峰さんは、辺りをキョロキョロと見回す。



「あと二人、参加者がいるはずなんだけど……」

「集合時間はまだだし、待ってりゃ来るでしょ」

「ねえ! 女の子いるの⁈」

「一人は女性ですよ」

「やったー!」



 この体験では、一人の魔警察に対して三人の参加者が割り振られる。会話から察するに、恐らく風峰さんの手伝いとして、飛炎さんと河東さんがついてきたのだろう。

 それは良いのだけど………まさか見知ったこの人達が担当になるなんて、予想だにもしなかった。やり辛いったらありゃしないぞ。何事も起きないと良いけど……。



「Cグループってここで合ってるか?」



 ポンと、背後から肩を叩かれた。振り向くと、癖毛が目立つ茶髪の男子がニカッと笑っていた。濃藤色のベストと黒いズボンに身を包み、見た目俺と同い年くらいに思える。

 小さく頷くと、風峰さんが俺の隣に立った。



「合ってますよ。橘海豚さんですか?」

「ああ! 今日はよろしく!」



 橘海豚……? どこかで聞いたことがあるような………気のせいか?

 風峰さんは、先程のように飛炎さんや河東さんを紹介した。



「三人に見てもらえるなんて、運がいいな! オレ達!」

「えっ?」



 馴れ馴れしく肩に手を回してくる橘。そのまま、風峰さんと親しげに話し始める。嫌じゃないけど、こういうタイプには慣れてないから苦手だ……。



「こんちはー。ここ、Cグループですよね?」



 前方から歩いてくる、一人の女性。片手を振って、茶色いセミロングの髪を揺らしている。橙色の瞳で俺達を見回した。すかさず風峰さんが前に出た。



「こんにちは。天神彗さんですか?」

「そうでーす。よろしくー」

「よろしくお願いします」



 ――――――ん? 聞き間違いか? 今、「天神」って聞こえたような……。



「やあやあ、鎖金槍耶君?」



 ハッと我に返ると、目の前にその女性が立っていた。俺とほぼ同じ身長で、橙の目には戸惑う俺の顔が映っていた。



「初めまして。天神彗だよ」



『天神彗』は、不敵に笑った。



「――――――いつも妹がお世話になってるね」


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