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Dragon Riese(ドラゴンリーゼン)  作者: 桜原 恵斗
第一章 神話の始まり
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第7話 無限の復活

俺たちは普通の方法では死ねない。例え銃弾に心臓を撃ち抜かれようとも俺たちが死ぬことはないだろう。俺たちが死ぬ方法はただ一つ、自らの寿命を迎えることだけであろう。

そう、二つの力を持つ神人(ヒト)達は…

俺は身の回りに起きた出来事について未だに整理がつかないでいた。

当然だ、どこの世界に街に現れたロボットの高エネルギー体によって死んだと思った次の瞬間、ファイナテインのコックピットに転移させらるなどという意味不明な体験をさせられるやつがいるというのか。


「あぁっもう、なんだこの状況?まるで意味がわからねえ…」


と、俺は若干自棄気味にそう呟いていた。まあ、今ここでそのことについて考えても拉致があかないだろう。

それより問題は、『こいつが動くか動か無いか』だ。

動くのであればそれに越した事は無い。だが、この化石化したこのコクピットを見る限りではとても動く様には見えない。


「ああ〜〜‼︎どうすれば良いんだよ‼︎」


俺のイライラは募るばかりである。それは、日名香やペインにも伝わっている事である。いつもの俺であれば一番把握して他の人を不安にさせ無いはずなのに、


「どうすれば良いんだよ‼︎俺にどうしろってんだよ‼︎」


「春間、落ち着けよお前が落ち着かなかったら俺たちも心配になるだろう。」


確かに、ペインの言う通りだ。ここで苛立って周りに当たっても何も変わらない。もう一度、話を整理をしよう…

俺がいまここで為すべきことはこの化石化したロボットを動かすことだろう。しかしだ…出来れば動かしたくは無い。というかそもそも関わり合いたく無い。それが本音だ。だがわがままを言ってどうにかなる状況ではないだろう。


「ペイン。俺を肩車してコクピットに近づいてくれ。」


と、俺はペインに肩車してもらい、この化石化したコクピットを見てみる事にした。すると、


「なんだコレ…。計器類は何にもない?」


そして、そこから俺は操縦席に座り操縦桿(そうじゅうかん)を握ろうとしたその瞬間、


『ファァァァァン…』


ガンッという鈍い音が辺りに響いた。


「あぁぁぁぁーー‼︎いってー!」


俺は臀部と後頭部を打った。痛みに悶えながらも周りを見てみると既に操縦席と操縦桿は砂塵となってしまった。


「あ、あぁ‼︎…どうすればいいんだ…。」


暫くは塵となったこれらをどうにかできないかと考えていたが諦め、下を向いて考えるのをやめた。

そうこうしていると、ペインがある事を言い始めた。


「…そうだ。春間‼︎俺を使え‼︎」


はあ?何を言っているんだこいつ?と、最初は思った。だがよく考えてみると、こいつにはあるモードがあった。それは、コクピットモードだ。

ペインを作って間もないときに戦闘機に興味を持った俺は自作で戦闘機を作り、そのコクピットと制御システムなどをこいつに組み込みこんだ。なら、ペインをこのロボットのプログラムに合わせればどうにかなるかもしれない。


「それだ‼︎よく思いついたなペイン。それじゃあ、今からコクピットモードのプログラム書き換えを行う。」


そう言うと、俺はサバイバルポーチから小さなタブレットを取り出し、プログラムを手早く再構築した後、ペインに接続し、コクピットモードの操縦プログラムをロボット用に書き換えた。


「これをこうで…よし、あんまし複雑じゃねえな。これならどうにかなりそうだ。」


ペインのコクピットモードのプログラムの調整を終えると直ぐに、


「ペイン、コクピットモード起動。」


ペインの身体はコクピットモードの変形をし、あっという間に椅子と操縦グリップになった。


「あとは、スイッチを押すだけ。」


俺は計器の画面の中央にあるスイッチを押したが何一つ動かなかった。


「やっぱり、システムもエンジンも動かないか…」


「ペイン。お前の方から無理やりシステムを起動をしてくれないか?」


「いや、そもそもシステム自体が立ち上がってないから、干渉する事ができない。」


はあ…面倒くさい。取り敢えず、自動的で駄目なら手動しかないだろう。もしかしたらここのコクピットに起動させるものがあるかもしれないし。


「取り敢えずなにか起動させられそうな、スイッチみたいなのを探すか…。ペイン、操縦席の所を下げてくれ。」


と、言うや否やコクピットは下がり足の付く所まで下がった。


「こういうのはできるのか…。さて探しますか。どこにあるかな…」


そう、探していると日名香が


「あの、何を探しているの?」


「そうだな…。分からないけどスイッチっぽいものを探しているのかな…。」


彼女の顔にはハテナマークが描かれているようだった。当然だ、探している俺ですらわかっていないのだから。まず最初に探したのは、俺の座っているコクピットの真後ろにあるもう一つのコクピットだ。恐らくそこはオペレーターの座る席だろう。そこにはモニターと複数のボタン、そしてキーボードなどがあった。


「押したら爆発とかしないだろうなこれ…。どのボタンなんだろうな…。」


そう、悩んでいると日名香がコレじゃないですか?と言いボタンを押した。するとモニターが動き始めた。そして、


「システム干渉成功、これより起動ウィザードを始める。」


ペインは干渉する事に成功したようだ。起動ウィザードを始めた。


「これで動き始めるだろう。しかし…どうしてこれだと思ったんだ?」


すると彼女はこう答えた。


「このボタンが光っているのが見えたから。」


返ってきたのは単純な答えであった。俺には見えなかったが、光っていたと言うのはおそらく本当であろう。何せ、そのボタンを押したらシステムが動き始めたのだから。そうしているうちに起動作業は終わっていた。


「エンジンの起動は出来ねえからあとはお前がやれよ、春間。」


俺は、下のコクピットに飛び移った。


「動いてくれ。頼む…。」


そして、中央にあるボタンをもう一回押した。すると、


『ウィィィィィーーー‼︎』


画面に電源が入ったようだ。エンジンの動き出した音がし、モニターも動き出した。すると、そこは俺がちょうど消えた所であった。


「今日はろくなことが起こらないな…」



「春間ぁぁぁぁぁぁ‼︎」


俺たちはロボットの高エネルギー体で灰になるはずだったが、春間のギア能力で俺、黄麻野、蒼馬の三人は助かった。だが、そのせいで春間は犠牲になってしまった。いいや、それは少し違うか…犠牲になったと『思い込んでいた。』

後ろを振り返ると、建物は全て破壊され、クレーターができていた。そしてもう一つの化石化した巨人(ロボット)がいた。

しかも、そのロボットは俺たちが見た事のあるものであった。


「…テイン。ファイナテイン。」


思わず声が出ていた。

それもそうだ。もう一生見る事のないと誓ったモノが目の前にあるのだから。


「テインがあるという事は、春間は…」


「多分、あれは封印が解けたんだ。あの野郎…勝手にやりやがって…‼︎」


頭を抱え、不機嫌そうに蒼馬は言った。


「はあ、封印?どういう事だ。蒼馬。」


と、蒼馬に問いただした。


「ファイナテイン自体は研究所の倉庫に厳重に保管されていた。しかも、この存在はある少数の人間しか知らされていなかった。その中にはあの馬鹿も知らされていなかった。だが、危機的状況となりやむなく封印を解いたんだろう。琴乃羽が。」


「琴乃羽さんが?あの人がどうして。春間にテインを…。」


俺はテインはとっくの昔に廃棄処分されていたものだと思っていた。だがそれらは嘘でずっと封印をされていたということか。だが、どうしても分からないことがあった。それはファイナテインを起動させた事だ。あれを乗らせるのは琴乃羽さんが一番反対していたはずなのにどうして今更…?

そう言っていると、高エネルギー体を撃ったあのロボットはテインに攻撃を始めた。

しかし、テインは動く気配が一向に感じなった。


「あいつは何をしてるんだ‼︎あれじゃ、10分も持たないぞ‼︎まさか…あいつ、動けないのか⁉︎」


そう言っても聞こえるわけでも無く、俺の言葉はただの独り言になっていた。


「どうにかできないか…。」


すると、ある通信が入った。


《俺がどうにかしてやるよ‼︎》


「紫山か⁉︎」


どうにか、紫山との回線は生きており、連絡が聞こえた。


《ペインの回線は生きているみたいだけど…プロテクトが多すぎる‼︎》


紫山がキーボードを急いで叩いている音が聞こえた。あいつがあそこまで急いでキーボードを叩く事は今までになかった。それ程難しいと言う事であろう。


《回線の接続を確認…プロテクト解除…ペインへのコネクト。オールグリーン。副、出来たぜ‼︎》


「そうか‼︎春間‼︎春間‼︎聞こえるか⁉︎」


そう聞くと、ノイズ混じりに


《…聞……え…る…。緑……奈…。》


どうにか聞こえているがノイズが酷く聞き取りずらかった。


「いいか⁉︎春間、詳細を教えてくれ。そうしないと俺たちもどうしようもない。」


《今……日……香。と…い………。》


「おい‼︎春間‼︎春間‼︎…紫山‼︎どうなってる‼︎」


《俺にも分から無いんだ‼︎くそー‼︎繋がんねえ‼︎》


「どうなったんだ…春間…。」


そう呟いていると、ロボットはまたあの体制に入った。


《ヤバい‼︎副‼︎エネルギー砲がまた撃つ気だ‼︎流石にあれは防ぎきれ無いぞ!》


しかし、俺たちに打つ手など無かった。そうして、エネルギー体がテインに向けて放たれた。


「春間…春間ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


『ファァァァァァァー‼︎』


突然の事だった。エネルギー体が放たれ爆発したところであのロボット

がなぜか飛ばされていた。そして、爆風の中からある物が出てきた。


「あれは…。」


出てきたのはテインであるが、それは俺の知っている形状ではなかった。全体が厚い外装で固められ、色はもともとの赤と白を基調としていたが、今は黒と白が基調となりその間に赤が出ていた。

すると、紫山から連絡が入った。


「どうした?紫山。」


あいつは、ゆっくりとある事を言った。


《テインの全機能が全てアップロードされている…》


「どういう事だ?アップロードされているってどういう事だ。」


紫山は俺が分かるぐらい動揺していた。


《テインはもともと…。エネルギー切れだったんだと思う…多分…。》


「どうしてそんな事が言えるんだ?エンジン自体が壊れていたって可能性も…」


違う。俺が思っているのと根本的に何が違う。俺が思っているのよりも俺が考えているのよりも何が違っていた。


《もともと、エンジンの回転はテインが現れてからずっと動いていた。

しかし、それはテイン自体を動かすには力が足りなかった。だけど、あの膨大なエネルギーを受けた事による限界突破(オーバードライブ)が起こってあんな風になったんよ。そして、封印されてから時間が経った事による、情報も総合して取り入れられ全ての機能を最適化したんだ。》


イかれてる。イかれ過ぎてる。常識を超え過ぎている。俺たち、プラスギアノーマルの存在もイかれいるがそれ以上に今の科学でも判明出来ない事が起こり過ぎている。

俺は初めてこの世界、世界の仕組み、そして俺たちギア能力者の存在意義に疑問に思った。


「こんなの。イかれ過ぎてる…。」



「今日はろくなことが起こらないな…。」


テインを起動する事は出来た。テインを動かそうとして操縦桿とべダルを動かしたが、


「動かない⁉︎…なんでだ⁈動け‼︎」


そうしていると、あのロボットはテインに攻撃をし始めた。


「機体の装甲のレベル3に突入。春間。これ以上受けると、完全にテインは破壊される。」


しかし、そんな状況はロボットは容赦無く攻撃を加える。そのため、コクピットは攻撃の度に揺れていた。


「そんな事言われても…ああああ‼︎どうしてだ⁉︎なんで動かないんだ。」


しかし、ロボットの攻撃は続き、俺と日名香は危機的状況に陥っていた。特に日名香は操縦席に座ってもいない為、特に危なかった。


「日名香‼︎早く俺の上に乗れ‼︎」


「けど、それじゃ春は操縦が…」


と、心配してくれていたがだがそんな事をなりふり構っていられなかった。


「いいから、俺に摘まれ‼︎死にたいのか‼︎」


していると、ある通信がペインの元に付いた。そこからある声が聞こえてきた。


《春間‼︎春間‼︎聞こえるか⁉︎》


「聞こえている‼︎緑瀬奈。」


《いいか⁉︎春間。詳細を教えてくれ。そうし無いと俺たちもどうしようもない。》


「今、日名香と一緒にいる。聞こえるか。」


すると、直ぐに雑音が入って聞こえなくなった。


「春間。緑瀬奈との通信が途切れた。」


「そうか。だが、生きている事が報告は出来た。」


それだけは良かったが、どうも俺には一息つく暇は無いらしい。コクピット内に突然サイレンが鳴り響いた。


「いちいち面倒くさい‼︎次は何だ‼︎」


「春間‼︎あのロボットから高エネルギー反応あり‼︎また打つ気だぞ‼︎」


俺は開いた口が塞がらなかった。そして、どうしよう無く絶望した。


「どうすればいいんだ…。こいつは動かない‼︎ここから出る事も出来ない‼︎俺にどうしろと言うんだ‼︎」


俺は何も出来ない…日名香さえ救う事が出来ない…。そうか、おれはここで死ぬのか…。ふざけるな‼︎そんな。そんな事は認めたく無い。

…俺の怒りが頂点に達した。


「…本当に…本当に俺を苛立たせやがる奴らばっかりだ‼︎どいつもこいつも‼︎俺に押しつけやがって‼︎何が守るだ‼︎自分自身を救えなければ意味が無いのと同じだろ‼︎何がお願いだ‼︎自分ができない事を押しっけやがって‼︎自分で少しはどうにかしゃがれ‼︎全てが理不尽過ぎてうざすぎるんだよ…!世界も力もすべて欲しくねえんだよーーーーーーーーーーー‼︎」


俺は危機的状況の中、愚痴を口に出して言った。それもここ最近の事や自分自身で起きた事それ以外の全てに対して。

それに驚いた日名香は驚いた顔をしていた。


「あの…春間くん…。それより…。」


止めようとしているようだったが意味が無かった。


「あーーーーーーーーーー‼︎本当に理不尽でとことんうざくて、俺を苛立たせるのが得意なようでな‼︎

なんだ。使えもし無い、こんなポンコツを動かせだってコントにも程があるんだよ。なんだ不思議な力でもあんのかよ。ねえ物に乗ったって意味が無さすぎるんだよ。それともなんだ。俺の力でどうにかしろか。馬鹿にするのも大外にしやがれクソやろが‼︎

ファイナテインさんよ。耳をかっぽじってよーく聞いておけ。俺は不良品に乗る気はね‼︎それに俺はお前とも心中を共にする気なんてねからな‼︎破壊されるなら勝手に一人でくたばりやがれ‼︎それが嫌なら…」


俺は大きく息を吸い、叫んだ。


『動きやがれ‼︎ファイナテインーーーーーーーー‼︎』


そして、エネルギー体が飛んできた。するとテインが


『ウォォォォォォォォォーーーーーー‼︎』


テイン全体が光り始めた。そして、自動でロボットを殴り返した。そして、


「全機能。アップロード完了。ファイナテインVer.Infiniti(バージョンインフィニティ)進撃開始(スタートアップ)。」


と、ペインは言い画面にその言葉が表示された。そして、周囲を見渡すと、化石化は全て消え新しく生まれ変わっていた。それを見て、俺はムカついていた頭がニヤつき操縦桿を強く握り、


「行くぞ…ブリキ野郎‼︎山田先生のお姉さんを助ける為に‼︎」


そして、べダルも全て全力で動かした。

そして、俺は進みだした。あのロボットを壊す事だけ考えなから…



また、あるロボットの中では、ファイナテインを壊す事を刷り込まれ、操り人形にされた者がいた。

そして、その者は狂気に満ちた表情でその手に操縦桿を握しめ、笑いと共にレバーを引いた。


「破壊シテやる…。」


以前にあったであろう荒々しい雰囲気は見る影もなく、その口からは、ただ一つの事柄についてのみ呟かれていた。


「ファイナテイン…赤九人春間…破壊シテやる…!」


そう呟くとその者はまた破壊のための行動に移った。


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