第6話 部隊
《現時刻をもって、特殊保安維持特務部隊。0Zwei特務部隊は活動凍結の解除を言い渡す。異議、反論などは一切受け付けない。そして各員、人に害をなす者を倒せ。倒し方は各員の自由とする。しかし、誰一人として殺すな。以上だ。》
この言葉を聞いた5人の男女がいた。
「そうか…。春間、お前はやっぱり強いよ、俺よりも。」
そう言う彼は、ビルの屋上にいた。
そして、彼は覚悟を決めたように
「なら、俺はその命令に通りに守る。」
その男はアタッシュケースを開け、03の番号が付いた緑色のジャケットを着、銃などをホルスターに収めると、彼はメガネとヘッドホンを外し、
「さあ、俺のショータイムだ。」
と言い、ビルから飛び降りて行った。
ある所では、
「リーダーらしいな。それにジャケットに裾を通すのは久しぶりだな。」
と、言う彼のいる所は薄暗く、パソコンや作業用道具などが、ある所であり、そして、彼は、05の番号が付いた紫色のジャケットが掛かっている方を見て、
「これはこれで良いか…リーダー。勝手に英雄になってやるよ。」
またある所では、
「姉さん。自分自身は前に進めるか分からないけどさ…けど、だからこそ春間を守るよ。家族だも。」
すると彼女は着ている04の番号が付いた黄色のジャケットに手で握り、大きく息を吸い
「姉さん。じゃ、行くね。」
彼女はその言葉を残し、その場から消えた。そして、そこには花が置いてあった。
そして、またある所では、
「そう、この時が来たんだ…」
彼女は、学校の教室の机に座ってこう言った。そして、その近くには06の番号が付いた桃色のジャケットが置いてあり、
「けどまあ、私は私の出来ることをするだけよ。だから死なないでね。春間。」
そして、彼も
「ふざけた演説だ。けど嫌いじゃない。」
彼は、そのまま、02の番号が付いた青色のジャケットを羽織り、刀を下げ
「自由に倒す。」
と、言い放ち町へ繰り出した。
この5人はまだ、運命を知る由もなかった。一人の男と女を守る守護者になるとは、誰一人も知る由もなかった…
・
「貴方に見て欲しい物があるの。」
この言葉で、私はなぜか、春の家に行かずに研究所にいた。
「えっと、何を…?」
正直、彼女の説明では私がなにをするべきか簡潔とし過ぎていて分からなかった。それもそうだ、ペインが居なくなってから突然研究所に行くと言われたのだから。そして、
「日名香ちゃん。ここよ…」
春のお母さんに連れられ研究所のある倉庫にやって来た。
「ここですか。あの、ここに何があるんですか?」
「それわね。私が車の中で言った物よ。」
車の中で言った物?言っていた物て…。
「分かったようね。そうよこれよ。」
そう言うと、倉庫の扉は開いた。そして、出てきた物は
「これが、IDVS-1 ファイナテイン。正式名称はInfiniti drive vitality system(インフィニティドライブバイタリティーシステム)1号機。これが春間の専用機であり、人類に残された唯一の希望でもある兵器よ。」
「はあ、そうなんですか…」
別に私を連れて来なくても良いんじゃないのかと思うが、だが、しかし理由はあるのであった。
「どうしてここに連れて来られたんだろうと思ったでしょう。それわね…」
「それは、何なんですか?」
と、聞き返すと思わぬ答えが返ってきた。
「それは、貴方が私だから。」
「え?何なんですかそれ?」
私は、こうやって事件に関与する事となった。
・
「はあ、逃げられたのか。まあいいや。彼とはまた戦う気がするから。デザートはまた今度でいい…」
そう言うと、彼は固定されて眠っている彼女の方を向きその体を躊躇なく手で突き刺した。彼は彼女の体から手を抜くと、その傷は何も無かったかのように消えていた。
「仕事おしまい。それじゃ君は今から僕の操り人形だよ。今から俺の言う事をよく聞いて実行してね。 “君は今から俺たちの組織の事を世界に発信し、東京を壊してきてくれ。”
分かったね?」
すると彼は一瞬で居なくなった。彼がいなくなってから直ぐに彼女は目を覚ました。しかし、彼女の目は死んだ目をしていた。そして、
「Yes,my lord。」
と、言い彼女も彼と同じように闇へと消えた。
・
「あと少しで、現場だ。」
と、ビークルモードのペインが俺に言った。
「分かっている。ロボットも見えてきた。」
そう、ちょうど俺の目の前に見えているからだ。そして、進んで行くとロボットに壊されて炎が上がっている戦車。ビルなども倒壊していた。それに戦闘に巻き込まれた兵士や一般人などの人々。そう見ていると、5歳ぐらいの子供が泣いてそこにいる事に気づいてた。
そして、俺はペインから降り、彼に近づいて言葉を掛けた。
「おい‼︎君、大丈夫か⁉︎」
すると、彼は俺を見るなり抱きつき大泣きをし始めた。
「あぁーーーーーーー‼︎」
「大丈夫。大丈夫だから。もう怖くないよ。」
まあ、そう言っているがこんな所でこんな事を言って泣き止めれば、落ち着かせてる俺の苦労が無駄である。そうして、少し落ち着いたところで、彼に質問をした。
「ぼく。名前なんていうの?」
彼は泣きながら、
「そうた…。」
「そうか。そうたくんて言うんだ。あのね。そうたくん。これから言う事をよく聞いてね。」
そう言うと、彼はうんと強く頷いた。そして、俺は喋り始めた。
「あのね。そうたくん。お兄ちゃんはね。あのロボットを倒さなくちゃいけないんだ。だから、一緒に居てあげられないんだ。」
そうすると彼は、泣き出しそうな顔をしていた。そこで俺は、
「そうだ、あるお話をしてあげるよ。」
こんな時にお話をすると言うのも、おかしいのだが、それでも、俺は自分の思い出した事を言い聞かせた。
「お兄ちゃんね。そうたくんぐらいの時にね、大きいロボットに乗ってたことがあるんだ。それも世界最強のね。けど、他人は救えたけど、家族は救えなかった。そして、自分に残されたのは、救えなかった罪と傷だらけの心だけだった…。けどね。俺は最後に戦いを選んだ。」
「どうして。お兄ちゃんは、たたかったの?」
そう言われると俺は笑顔で彼の頭を撫でながら言った。
「それは。まだ俺には守る人がいるて気づいたんだ。最初は俺にはもう何も無いと思っていたんだ、そんな俺にも、お袋や妹、友達、先生…色々な人が俺の前にいたんだよ。だから、戦おうと思えた。だから、そうたくんも、家族や友達の事を思い出せばいいんだよ。」
俺は彼の目の涙を手で取ると、笑顔で俺に向いた。
「お兄ちゃん。まだ僕怖いけど。それでも、頑張るよ。」
「その意気だ。あ、そうだ。これをそうたくんにあげるよ。」
俺は、そう言うとおもむろに、ジャケットのポケットにあるお守り用のロザリオのネックレスを、ある言葉を吹き込み彼の首に着けてあげた。
「これはね。ある人から貰った物だけど。そうたくんにあげる。ずっと持っていれば、そうたくんをずっと守ってくれるお守りだよ。大切にしてあげてね。」
彼は大きく頷き、ネックレスを見たり触ったりを繰り返した。そして俺が、
「そうたくん。さよならみたいだ。だから、俺が言った事を忘れないでくれ。」
そう言い、俺は彼を手を繋ぎ、アブソリュートコネクトを起動し彼を安全な所に転送した。
「春間良かったのか?俺にはあれで良かったようには見えなかったけどな。」
そう言い、ペインはバイク状態で俺の近くに来た。
「どうだろうな。けれど、何だか良いように思えるよ。それに、彼は強い子だと思った。だから、俺に起きた事を言い聞かせた。ただ、それだけの話だ。」
そう、自分にも言い聞かせるように言うと、ペインは俺にそれ以上、理由を聞こうとしなかった。ただ、一言こう言った。
「お前は正しいと少なくとも俺はそう思う。」
そう言われると俺はヘルメットを持ち、
「そうか。だったら正しいと思う事をしょう。彼女を止めよ…『ブ〜〜‼︎』」
突然、携帯が鳴った。そのかけて来た人は、本物の……であった。電話を取ってみると、
「はい。赤九人です。」
《春間くん‼︎お姉ちゃんを…私の姉を助けて‼︎》
・
「それは、貴方が私だから。」
私はこの言葉をよく理解出来なかった。そもそもヒントが無さ過ぎて、理解しようにもできない状況だった。そのため私は
「え?何なんですかそれ?」
と言うなんとも返答に困るであろう中途半端な返しをしてしまった。
その事を若干後悔してると、突然、研究所のサイレンが鳴り始めた。
『第1主警戒警報‼︎侵入者あり。繰り返す…』
誰かがこの研究所に侵入したらしい。それも、招かれざる客として。
「やっぱり来たのね…」
春のお母さんの態度は明らかに何かを知っているようであった。しかし今はそれを聞きただすより何か行動する方が良いだろう。が、そう思った私が動きだす前に春のお母さんは私の腕を掴んで、ファイナテインのある格納庫の方へ歩き始めた。
「今から言う事を忘れないで。ここに入って来た侵入者は、ファイナテインを狙っている。そして、その鍵を握っているのは、あなたと春間よ。私の鍵はもう開いている。だから次はあなたの番よ。」
春のお母さんの話はまるで意味が分からなかった。分かった事があるとすれば私と春は何かの鍵である事ぐらいであった。そんなことを考えていると格納庫側では無い隔壁から銃声の音そして叫び声が聞こえてきたのである。
すると突然、春のお母さんはこんな事を言った。
「日名香ちゃん。春間をよろしくね…」
そう言うや否や春のお母さんは私の手をファイナテインに触れさせた。すると突然、ファイナテインの周りが輝き、私は格納庫から暗いどこかへ移動したみたいであり。そして、また上から何かが落ちてきた。
「うあーーーーーーーー‼︎落ちてる‼︎『ぐっは…‼︎』いってえな‼︎なんだよここは⁈おい、いるか?」
「ああ、いるぞ‼︎」
二人、ここから落ちたらしい。そして、私は彼に声をかけた。
「あの…。あなた誰ですか?」
すると彼は一瞬にして、銃のような物を私に突きつけた。
そうして彼は、私に尋問を始めた。
「お前は誰だ‼︎ここはどこだ⁉︎」
正直、私も分からないことを聞かれたので
「あの…。私も分からないです。それよりも銃を下ろしてもらえませんか?」
すると彼は、
「ペイン。明かりをつけてくれ。」
と、頭の部分の明かりを点けたロボットは、命令した人の方を向いた。
「日名香、お前だったんだな。」
どうにか分かってもらえたようだがその物騒な物はおろしてほしい。このままではいくら相手が春でもビビってまともに会話も出来ないのである。彼はそんな私の様子に気づいたようで
「あ…悪い。銃を向けてて。」
彼はそう言って銃を下ろした。私はやっと一息つくことができた。ひと段落してから、春が話し始めた。
「日名香。お前はここが分からないと言ったな。」
と、彼はそう聞いてきた。そして私も
「はい。ファイナテインを触ったらこんな所にいたから。」
そう言って、私は研究所であった事を言おうとした瞬間、一瞬にしてこの暗闇の中に光が生まれた。そして近くを見てみると、
「化石化したコクピット?しかも、二人席?」
どうやら私は悪運を呼び込む体質みたい…
・
「あとは。お願いね…」
と、呟いて彼女が行くの見送った。
そして、扉は壊れ。その中から男が出てきた。その男に話を掛けた。
「あなたが来るとはね。斎斗いいえ、今はルルーシュ・ライトて呼べばいいの?」
その男は驚いた顔をしていた。どうやら今の言葉は正解のようだ。彼が悲しい顔をしているのが雰囲気で分かった。
「母さん。気づいていたんだ…『グサッッ‼︎』」
斎斗は一瞬で私の目の前に現れ、泣きながら、刃物を私の腹に刺さした。
「母さん…。母さん…。ごめん。」
私は笑顔で顔を触り涙を拭いた。そうして、眠るように私は倒れた。
・
「撃て!!これ以上の進行を防ぐのだ‼︎」
彼がそう指示するたび戦車の大砲やミサイルが飛び交うがあの敵には傷一つ付いていなかった。
「撃て‼︎撃て‼︎撃てーーーーー‼︎」
大砲などを撃つも止める事さえ出来ていなかった。
彼らの攻撃にロボットも苛立ったのかロボットら彼らに攻撃を始めた。ガトリング砲などで、威嚇をしつつビルなどを殴り瓦礫を彼らに向け落とし始めた。
「た、退却‼︎退却‼︎」
だが時すでに遅く、瓦礫が直ぐ目の前にあった。彼はその瞬間死ぬ事を覚悟した。だが、後ろからバイクの急ブレーキの音がし、救世主は現れた。
「伏せて、防御体制をとっておけ。」
そう言うと、彼は腕に力を溜めるようにして、次の瞬間、腕を真っ直ぐに突き出した。だがそれだけでは無かった。疾風の如き風も起こり、瓦礫をロボットに押し返した。そして、彼は戦車の上に乗り座りこう言った。
「…おいおい、ロボットに乗っているパイロットさんよ?今の、俺がいたから良かったものの俺が居無かったら『どうしてたんだ』?」
彼は笑顔でそう言った。
だが、そう言った彼の内心は彼の表情とは裏腹にどこまでも冷たく冷えきっていた。
・
「おいおい。あれ、ヤバいんじゃないか⁉︎」
と、ペインの差したと思われる方を見るとビルなどの瓦礫が戦車に当たりそうになっていた。
「行くぞ‼︎ペイン。全開フルスロットルだ。」
そう言うと、俺はブレーキをかけながらアクセルを全開にし、勢いよくブレーキを外すと一気にスピードを上げながら、戦車の所まで来てペインをドリフト体制に持って行き俺はクリップから手を離し、その遠心力で技を打つには最適な場所にまで飛んだ。そして、
「伏せて、防御体制をとっておけ。」
と、言い放ち、俺は腕を後ろに下げ力を溜めるような体制をとった。次の瞬間、腕を勢いよく前に突き出した。そして、疾風が後ろから起き、瓦礫を飛ばし、そしてロボットに当たり倒れた。そして、俺は戦車の上に行き座り、こう言い放った。
「…おいおい、ロボットに乗っているパイロットさんよ?今の、俺がいたから良かったものの俺が居無かったら『どうしてたんだ』?」
そうして言うと、ロボットは起き上がり攻撃を始めた。
「そうか…なら、手加減はしない。アブソリュートコネクト。モードハリケーン。」
そうすると俺は両手でドアを閉めるような動きをした。そうすると、嵐の壁が出来、攻撃を防いだ。
「次はこちらから行くぞ。」
そう言いながら腕を前に出した。すると嵐は進路上にあるもの全てをなぎ払い、地面をも削りながらロボットに直撃する様に前進を始めた。だが、ロボットはすでに防御体制を取っていた。多分、かすり傷程度ならば付けられるとは思うが、奴の機能が停止するほどのダメージにはならないであろう。けれど、かすり傷程度でもやらないよりはマシである。しかし、どうやらその考えは甘かったようだ。かすり傷どころか、ギアノーマルの力を吸収し、エネルギーにしているようであった。
「(なかなか、硬いようだな…。どうした物かな。けど、今は時間稼ぎが重要だな。)ペイン‼︎軍を引かせろ‼︎俺も、この多人数を守りながらの戦闘は無理だ‼︎だから、早く引かせろ‼︎」
すると、バイク状態であるペインはそれを聞き取りロボットへと変形をし、タイヤを変形させ銃にした。そして、道に円のように穴を開け始め、その円がに穴を開けると足で叩いた。すると、地下の抜け穴を作って、
「ここから逃げろ‼︎急げ。」
そして、ロープなどを使い、下に降りて行った。その時、俺は風の力を使い、ロボットと押し合いをしていた。
「おいおい…これは、なかなか、ハードだな!だが、止める事が出来ないわけでは…ない‼︎」
そう言い一瞬だが全力で能力を使用した。
その瞬間、まるで体内全てのエネルギーというエネルギーを持っていかれたかのような激しい倦怠感に全身が包まれ、そのまま意識を失いそうになった。
だが、まだ倒れるわけにはいかない。脳に靄がかかり、視界がぼやけている状態の中、俺は意識を保つために敢えて残った力全てを歯に込め口の中を思いっきり歯を食いしばった。
「 _______ッ!?」
鋭い痛みが口の中から脳を突き抜け神経を刺激する。同時に口の中が鉄の味一色に染まる。だが、その甲斐あってかどうにか意識を保つことはできた。
「どうしたものかな?このままじゃ、ヤバいんじゃねえの?《しょうがねえから助けてやるよ。》」
と、耳のヘッドセットから声が聞こえた。それは聞き覚えのある声であった。何故ここに居るか問いただそうとした瞬間、空気を切り裂く音がし、ある物がロボットに直撃した。流石のロボットも慣性の法則には勝てなかったのかそのままの勢いで倒れた。
《ナイスヒット‼︎助けてやったんだ。春間、感謝しろよ?》
と、この声の主は言った。自分としてはとても感謝だけはしたくないのだが、それは今言うべきことではない。俺は先ほど聞き逃したことを問い詰めた。
「おい。なんで俺の所に来ているんだよ。緑瀬奈。」
と、言うと彼は、かかかと笑いながら俺にこう言った。
《まあまあ、そんな事言いなさんなよ。それに、俺以外にも来てる奴はいっぱいいるぜ。》
「は?その話を置いとくがテメエ。なんで、俺がいつお前用に作った砲弾型ライフルを使って良いって言ったんだよ‼︎ったく、一体どこの誰が認可したってんだよ…ん?」
何か大きな物音が聞こえた。恐る恐る後ろを振り返るとロボットは俺たちの話を遮るように立ち上がっていた。よく見ると緑瀬奈が当てた傷も消えていた。
「おいおい、そんなのありかよ‼︎」
現代科学に色々と疑問を持ってしまう程に、ぶっ飛んだ事すぎる。すると、ペインから
「全員の退避を終わった‼︎思う存分やって良いぞ‼︎」
その言葉を聞いた俺は子供のように笑った顔をした。
「緑瀬奈。今ここにいる奴らを見える範囲でいいから伝えろ…」
《全員いる。場所はいいか?》
「ああ、十分だ。それじゃ、俺たちの戦い(ケンカ)を始めるぜ。紫山聞いているか?」
そう言うと、チャンネルが自動的に変わり、声が聞こえた。
《はいよ。リーダー。》
「状況は把握できているか?把握できているのでれば命令を頼む。」
カチャカチャと、パソコンの叩く音が聞こえながら、
《情報の取得を確認…終了。それにしてもリーダー。アレは、どうあっても倒せない。分かっているんだろう。》
俺は、言い返せなかった。それは正しいだけでなく、身をもって俺たちが分かっている事であるからだ。けれど、分かっているからこそやるしかないんだ。
《まあ、けど。俺はあんたの命令に従うだけだ。だから、俺は俺の仕事をする。よーし、みんな聞こえるか?そんじゃ、04は01の防御。01はそのまま、ロボットの足止めを行う事。03は出来るだけ、とにかく手を狙い、特に同じ所を撃ってくれ。そして、02。お前はロボットの足を潰せ。つべこべ言わずに潰せ。作戦の変更は随時連絡する。作戦開始。》
そう言うと、一瞬にして、色違えの黄色いジャケットの男が俺の目の前に現れた。
「お前は何時も早いな。冬亜。」
彼はやっぱり喋らず、紙を出して俺に見せた。
〈こんなの楽勝だね。〉
「こんなの楽勝?なら楽勝なんだろうな。じゃあ、始めるぜ。ウォォォォォォォォォォーーーー‼︎」
俺はもう一度、風の力を収束させ、一時的ではあるがロボットを止めた。そして…
「今だ‼︎緑瀬奈、簗瀬。やれーーー‼︎」
そう言うと、二方向から銃弾や斬撃が雨霰のように降り注いだ。それらは全て、単純な威力だけでいうなら戦車が相手であろうとも一撃で木っ端微塵にできるであろう、そんな出鱈目な攻撃だった。ましてやそれが何十、何百と降り注いでいるのだ。常識的に考えればどんな物であろうともそのような地獄を具現化したような攻撃に耐えられるはずがない。
_______だが、あのロボット相手ではそのような常識は一切通用しなかった。
《春間!?決定打どころかに傷一つ入りゃしねぞ‼︎》
「いいから‼︎お前は目先の物を撃て‼︎」
《春間。力の消耗がとても激しい。》
「泣き言を言うな。簗瀬‼︎」
奴には俺たちの攻撃が全くというほど効かない。対して奴の攻撃は全てこちらに対してダメージを与えうるものである。
既にこれは俺たちがどの程度耐えられるかという消耗戦となっていた。
だがロボットは不思議な動きをし始めた。そして、紫山が叫んだ
《リーダー、ヤバい。あのロボットから高エネルギー反応が出始めてる。今すぐそこから急いで離れろ‼︎》
急いで離れろって言ったって無茶な話である。だが、ロボットはそんな事はお構えなしにエネルギーを貯めていた。
「ペイン‼︎来い‼︎」
そう言うと、ペインはバイク状態になり俺の近くに止まった。そして、冬亜を乗せて
「行け‼︎ペイン‼︎フルスロットルだ‼︎緑瀬奈、簗瀬、お前らも逃げろ‼︎」
そうして、俺たちは走り始めた。だが、同時に高エネルギー体は発射された。この状況で俺のアブソリュートコネクトを使って全員を救う事は出来ない。そして、あの高エネルギー体はまさに無の光だ。どれほどの被害が出るかは分からないが、あの光が直撃した場合は二度とその光から生きて出ることはないであろう。それほどまでに絶望的なエネルギー量だった。そして、頭を巡らせて出した判断は、
「冬亜…簗瀬…緑瀬奈…。お別れだ…」
そうして、アブソリュートコネクトを使い奴らを逃がし、俺は光の中に消えて行った、はずだった…
「うぁぁぁぁぁぁーー‼︎落ちてる‼︎『ぐっは…‼︎』いってえな‼︎なんだよこは⁈」
そう、俺はどこかに落とされた。そして、
「化石化したコクピット?しかも、二人席?」
どうやら、しまいには誰かの陰謀でコクピットにいた。
「あぁっもう、なんだこの状況?まるで意味がわからねえ…」
俺は若干自棄気味にそう呟いた。