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Dragon Riese(ドラゴンリーゼン)  作者: 桜原 恵斗
第一章 神話の始まり
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第5話 夢と決意

『春間、お前は一つでもいい、たとえそれが、どんなに些細なことでも構わない。お前が好きになれる事を探せ。見つけたらきっと、パパも手伝ってやるから』


『うん!!わかったよパパ!!』


これは俺の中で唯一残ってる親父の記憶であり、そして俺にとって最も心に響いた記憶でもある。

俺の親父は何かにつけてはこれを言っていた。俺は親父が好きだし、親父のよく言っていたこの言葉も好きだ。だからこそ自分が好きになれた事を今でもずっと続けられているのだと思う…。



「がっかりだ。唯のこけ脅しだったなんて、今の君程度では僕の上司どころか僕の足元にすら届かないよ。」


待て…。


「待たないよ。それと、君が倒した彼女はちゃんと守っておいた方がいい。僕が言えるのはここまでだよ。そうそうあと一つだけ、ある人からの伝言があったんだ。

『僕は悪く無い』だってさ。

この伝言がなんなのか僕にはまるで意味がわからないけどね。じゃ、僕の要件はここまでだよ。

まあ取り敢えず頑張れよ。赤九人春間くんと春十くん。」


俺は、またしても倒され気絶した。



「春間の何処がいいの。日名香ちゃん。」


それは突然の事であった。私は、春のお母さんの車で春の家に行っている時の事であった。


「な、何を言っているんですか?」


私は顔を上げ、春のお母さんの顔を見てみるとこの人は私をからかうように笑っていた。


「本当に、何でも無いんですて。本当に‼︎」


そう、私は言っていたがすごく顔が赤くなっている事が分かる。


「あの日名香ちゃん?大丈夫?日名香ちゃん?」


「うぁ、あ、すみません。取り乱してしまいました。」


そうして、私は訳も分からずにあたふたをしていると、


「日名香ちゃん。春間の事が好きなんでしょう。別に、良いわよ言わなくても。それに、貴方なら春間の事を頼めそうだし。」


何だか、変な感じがした。


「あの、春間くんは昔からあんな、人付き合いが下手そうな、性格だったんですか?」


と、聞いてみると頭を横に振った。


「春間は機械オタクではあったけど、極普通の、どこにでもいる元気な子供だったわ。」


「だった?それは一体どういうことですか?」


まぶたを落とじ、静かに話し始めた。


「春間は昔から父親…まあ私の夫なのだけど、が一つの事で良いから好きになれる物を探せって教えてこんでいたのよ。そして、春間はロボットが大好きで父親がやっている事を自分もしたいっていつも駄々をこねていたわ。それに将来はロボット学者になりたいともよく言っていたわね…。

けど、あの子の不幸は父親が不慮の事故で重傷を負ってしまったところから始まったわ。父親は重症を負ってしばらく後にガンで死んでしまったのよ。さらに、父親が亡くなってすぐにあの子は自分の尊敬していた兄をも失い、挙げ句の果てに家族一員である冬亜の姉、実里も目の前で突然消えてしまったのよ。」


彼の送って来た人生は子供ながらに壮絶な出来事である。と考え込んでいると、


「あなたにだけ教えるわ…春間はロボットに乗って私たちを守った時があって、その時二体のロボットがあったわ。一つは春間の乗ったロボット。もう一つは…春間の双子の兄が乗ったロボット。」


「それで、どうしたんですか?」


「その二つのロボットは戦い、結果兄の方のロボットは大破し乗っていた兄は死んだ。それのせいで春間はロボットと兄の記憶は無くし、春間のロボットは化石化し動かなくなってしまった。」


双子の兄が居るとは聞いた事が無かった。そして私はある事を聞いた。


「その、その兄の名前は何で名前ですか。」


「…春十(はると)赤九人(せきくり) 春十(はると)。破壊の力を司るギアノーマル能力者よ。」



負けたの。

倒れている俺に言う言い草かよ。

負け惜しみ?

いいや、ただ…屁理屈が言いたいだけだ。


「それこそ、ただの負け惜しみだ。」


その時、目を開けるとそこには一面何にもただ白いだけの空間に椅子と机が置いてあるだけのシンプルな所であった。

俺は起き上がり机の方がを見上げると、


「久しぶりだね。君がこの空間に来たという事は、また何かの犠牲を払い、何かの知識を得たいという事だね?」


と、淡々と喋る、雰囲気は大人びているのに姿はどこか子供っぽさが残っている赤色の長髪にメガネを掛けた、男がいた。


「久しぶりって、俺はここに初めて来たはずだ。そもそもここはどこなんだよ。」


俺は何が何だかよく分からないでいた。すると、彼は飽き飽きした顔で言った。


「本当にその君の能力には、飽き飽きするよ。いちいち、説明する面倒くさいのに。けど、まあいいや。ここは、君の力と僕の力が、ぶつかり合う中で出来た、君と僕だけの空間だ。そして、僕の名前は春十。ここに存在する。もう一人の君だ。」


と、俺にはよく分からない事であったので、流しで聞いていたが…まあ分かりやすく言えば、もう一人の俺が話しかけていると言う事であるのか…?


「本当にどうでもいい事は分からないようにする癖は健在なんだなね。じゃ、もっと分かりやすく言ってあげる。君はどうして、感動しないんだい?」


…こいつは何を言っているんだ?感動なんてしょっちゅうはしないがちゃんと…いや待て、言われてみれば俺は兄貴が死んでから大衆が美しいと思うであろう物を見ても、みんながとても美味しいと勧めるものを食べたとしても、感動なんてしなくなっていた…。特に何も考えていなかったけど、まさか…


「まさか。俺は兄貴が死んだ時にここに来たというのか?」


すると、彼は笑顔でこう言った。


「『俺に人を救える力をくれ。』君が言った事だ。そして、その代償として、僕は君の感情を貰った。そして、君はその代償としてアブソリュートコネクトと言う力を与えた。」


絶句していた。それは昔の自分はそれほど追い詰められて、今の自分と言う存在を形成された事に…けれど俺は、笑っていた。


「どうしたの、壊れちゃた?仕方ないよこんな事を知れば。壊れるのは当たり前だよ。」


「別に、俺は何とも動揺するつもりはない。それに俺は並大抵では終わらないから。『それと、俺を余り見くびるな。』」


「…ならば、お前の態度と行動、生きかたを僕に見せてみろ‼︎そして、神への頂へ登らさんと‼︎

…そして、君が……を知る時を…しみにして………。…で………間。」


…最後の方は、俺の意識が朦朧としていた所為でうまく聞き取れなかったが、奴が確かに何かを呟いたところで俺の意識は途絶えた。



暗い。暗い。誰か僕に…

その時、俺は全てを受け入れられなかった。そして、生きたい。生きたい。ただただ、思った。そして、


『私が、助けてあげる。』


と、闇から一筋の光と、小さくも力強い手を差し伸べられた。


『約束です。貴方は私を幸せにしてください。』


ああ、忘れるか。あの時の約束を。なあ、ユーヒィ。

さあ、『俺』はどうするんだ…



「ま…はる…春間…春間‼︎」


聞き覚えのある声だ。しかも泣いていやがる。本当に過保護なんだからな。


「ペイン?」


「そうだよ…。良かった本当に良かった‼︎」


俺は力強くペインに抱かれていた、これはこれで悪くないと思えた。

それから、周囲を見渡すと、工具道具や本棚、少し臭い油臭さ、落ち着く柔らかさの布団の柔らかさ、自分の部屋だと分かった。そして、近くにはペイン、真帆香がいたが、冬亜はいなかった。


「ペイン。俺が帰ってきたから、どれだけたった?」


「三時間程度だが。」


三時間ぐらいか…。なら、今は大体朝の9時過ぎぐらいか。なら、あのニセモノはどうなったんだろ。


「ペイン。あのニセモノをどうした。」


「どうしてそんな事を聞くんだ?」


と、ペインは俺に聞き返した。確かに俺が迷い烈を打ち込んだのにどうして、聞くのかと疑問に思うだろな。だが、俺にはどうにも気がかりであった。それは、あのニセモノに依頼したガキの言った言葉だ。『君が倒した彼女はちゃんと守っておいた方がいい。』だ。どういう事だ?と考えていた。しかし、分かるわけがなかったので、後の事を知るペインに後にあった出来事を聞く事にしたのである。


「そうだな。あのニセモノは警察に厳重に護送され、厳重な所に監視、聞き取りが執り行われるそうだ。」


聞いた限りでは、何もおかしな所は見当たらなかった。俺の気のせいだったのかもしれない。それで良ければいいが…

すると、携帯に誰からのメールが届いた。メール内容を確認すると、


「緊急コール…」



「それでは、お願いします。」


ペインは、警察にニセモノの身柄を預けた。その後ニセモノの身柄は警察病院に護送された。その間彼女は気を失っているが、目を覚ましたら元も子もないので彼女の身体を固定し動かす事を出来ないようにした。

しかし、目が覚めた時に誰も居なかったら危ないので警護兼監視で警察官の先輩後輩のコンビの2人が入った。


「これで、大丈夫なんですか?先輩‼︎」


「俺が知るか‼︎だが、今の所は奴は起きる事はないと言う事だ。それは確実だ。」


そう、普通はこういう仕事は誰もがやりたがらない。それもそうだ。ギアの力で自分が殺されるのでは無いかと恐怖を感じてしまうからだ。


「だが、この仕事は誰もやら無いからこそ‼︎自分達がやらなくては、ならないんだぞ‼︎」


「と言われても…怖いものは怖いですよ‼︎」


「泣き言いうな‼︎それに、こいつは一週間以上は、起きる事が出来ないらしい。だから安心しろ。」


と、言っているもの。それでも、犯罪者は怖いと思える。そうしているうちに護送車は止まった。僕たちは着いたのだと思い、緊張を解いた次の瞬間、知らない男が入って来たのである。施設の人だと思い僕はこんな事を言った。


「あの…後の事はお任せしてよろしいですか…」


その男は、ニコニコしながら僕たちの方を向き、


「ええ、お疲れ様でした。よく、俺の同士をここまで連れて来てくれました。そのお礼とはなりませんが、死んでください。」


その気配をいち早く気づいていた先輩警官が僕も一緒に勢いよく外に飛ばした。


「ああ、逃げたら苦しみながら死にますよ。それと、ドライバーの方は先に死にましたよ。」


僕ら息を呑んだ。それは殺されるという事に対して恐怖やどうすればいいのかという事などの死を覚悟した。


「では、さよなら…」


『ブァンーーーーーーーーーーー‼︎』


「あれ、攻撃が届いていない?先輩…」


前を見ると、刀を持った。学生ぐらいの男が立っていた。そして、周りを見ると攻撃を真っ二つにされた後のように、道路に亀裂などが出来ていた。


「おい。何をしているんだ。」


彼は覇気の無い声でありながら、怒り口調で言った。


「え、通らなかったの?まあ、良いんだけどね。それより、君誰だ?」


すると、刀を柄に戻しため息をつきながら、


「俺は、0Zwei(ゼロツヴァイ)特務部隊。特務大尉。蒼馬簗瀬(あおはやなせ)。」


すると殺そうしたした男は驚いた顔をし、


「驚いた。ツヴァイ部隊に会うとはそれに部隊の中ではナンバー2に合うとは、運がいい。」


「俺は、別に運が良くない…それに、荷物がいるから戦うのは難しいな。」


と、どういう事を言っているのかはさっぱりだが、荷物と言うのは自分達だという事は分かっていた。それは先輩も。そうしていると、


「それに俺は、お前と戦う義理がないから。逃げる事にするよ。」


そう言うと、彼は道路に亀裂を付け、土煙を上げて僕たちを急いでを持ち上げ逃げた。


「はあ、逃げられたのか。まあいいや。彼とはまた戦う気がするから。デザートはまた今度でいい…」



「緊急コール…」


俺はこの指令を見た時に全てを予見されていたような気がした。


「春間…どうするつもりだ。」


「どうするってね…本当。どうしょうかね。」


緊急コールはある一定の条件により成立されている部隊の出場のコールであり、そして、出場する団員の番号が書いてある。そこに書いてあったのは俺であった。


「俺に緊急出動とは…。余程の事なんだろうな…それに俺は辞めたと思ったが、無理だったか…。悪いけど、テレビ点けてくれないか。」


そう言って、テレビを点けて画面を見ると


「速報です。現在、東京。丸の内で、巨大ロボットが暴れているとの情報が入りました。それで、現場にいる、佐藤さん。」


中継の画像に変わるとそこには、爆撃や大砲の音、ビルの中からの火災など、見え聞こえた。


「現在、柳瀬内閣総理大臣及び西防衛大臣より世界防衛軍に防衛命令が出ており、戦車、戦闘機、駆逐艦母艦の投入がされていると言う情報です。

現在、その巨大ロボットを動かしている犯人は犯行声明として、

『今の世界は人々の悪意に(さら)され続け、既に腐りきっている。我らの自由と秩序の為にこのような(けがわ)らわしい世界は何者かの手によって一度滅ぼし、そして新たに創り直すべきなのだ。今日をもって私達、Freedom angel(フリーダムビーツ)はこの尊き理想を成し遂げるため、この世界に宣戦布告をする』

と、述べており。今…」


それを聞いた俺はただただ笑った顔で独り言のようにこう言った。


「無駄だ。どんな兵器であろうとあれは。あれでしか倒せる筈がない。」


俺も気付き始めていた。ロボットの事を。自分がやらなくてはいけない事を…


『それに決まっていた《運命》だったんだよ。』


運命。今、俺の頭の中から出た言葉だった。それは、これが決まっていた事、これが納得…幸せな事だと。

ふざけるな‼︎

俺は、この為に生まれ変わった訳じゃない‼︎


「そうだ‼︎お前は、まだ歯向かう事が出来るだろう‼︎」


俺の目の前に俺と同じ顔をし、紅い髪をした男が俺の目の前に立っていた。


「お前は、昔、運命によって家族を失った。けども今は歯向かう事が出来るはずだ。そうだろ。……」


そうだ。俺は失った分だけ力を貰った。だから俺は失うと言う運命を。この言葉を今なら否定する事が出来る。


「俺は、運命を。この言葉を否定する。だから俺は、力を持たない人の為に自分の為に戦う。」


そう言うと、ペインが改まってこう言った。


「春間。俺にはしてやれる事なんてたかが知れてる。だから、俺は何があっても全力でお前を守る。」


そう言うと、ペインはあるアタッシュケースを渡した。それは、見覚えのあるものであった。その中を開けると、01と番号の付いた赤いジャケット、ドッグタグなどが入っていた。俺はそれを手に取り、


「もう一度、俺はやり直す。そして、人を守る。」


ジャケットを着、サバイバルポーチを付け、銃をホルスターに入れ、ブーツを履き、最後にヘッドセットを付けた。そして、俺は部隊に通信した。


《現時刻をもって、特殊保安維持特務部隊(とくしゅほあんいじとくむぶたい)。0Zwei特務部隊は活動凍結の解除を言い渡す。異議、反論などは一切受け付けない。そして各員、人に害をなす者を倒せ。倒し方は各員の自由とする。しかし、誰一人として殺すな。以上だ。》


と、演説を終えると。俺は、外に出た。


「さあ、俺たちも仕事をしょう。ペイン。」


ペインは無言で頷いた。そして俺たちはこの物語の第一歩を踏み出した。



「さあ、出てこい。赤九人春間。貴様はこの私様が直々に殺してやるから。」


そう呟いた彼女の瞳は、怪しげでいながらもどこか蠱惑的(こわくてき)な輝きを放っていた。

だが、その瞳の動きは何やら哀しいものを見たときのように絶えず揺れ動いてもいた。

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