逃避行
誘拐犯のタカ、ヤスは逮捕された。そして人質になっていたナオナオは保護され、モリモリの疑いは晴れた。
残るは、主犯格のタク。
人質の一馬を連れて逃走中。
ボッサンたちは一端署に戻った。
モリモリも帰って来た。
ラッキーデカ長はモリモリの顔を見るなり言った。
「モリモリ、危なく撃ち殺されるところだったな」
「ほんとッスよ。気分は、“逃亡者”のハリソン・フォードでしたよ」
「でも、パトカー修理代は給料から引いとくからな」
「え~、ラッキーさんまじっスか」
「当たり前だろ?モリモリが壊したんだから」
ホヘトは腕を組みながら言った。
「しかしタクの野郎、どこへ行きやがった!」
ユオも腕組みをして言った。
「検問にも引っかからないし」
ボッサンも腕を組んで言った。
「どこかに身を隠してんだな」
「もうすぐ日が暮れる。潜伏してそうな所を片っ端からあたってくれ」
「了解」
「ウッシャー!」
「はい~」
「ドスコイ」
一方タクは、車を乗り捨てて、2億円の入ったバッグを抱え、一馬を連れて徒歩で逃走していた。
「腹減ったな。飯食い損なったからな。なんか食うか」
「うん」
目の前のさびれたラーメン屋『感四季』に入る。
客は誰もいない。
店のオヤジが暇そうに新聞を読んでいる。
ブラウン管のテレビが1人で喋っている。
「らっしゃい」
「チャーシュー麺2つ」
「あいよ」
オヤジがラーメンを作り出す。
タクが一馬の耳元でささやく。
「おい小僧」
「なに」
「オヤジに変な事言うんじゃねーぞ」
「分かってる」
しばらくして
「へい、チャーシュー麺2丁お待ち」
2人は割り箸を割って食べ始める。
オヤジはタクと一馬を見比べて、
「あんたの子供かい?」
「親子に見えるか?」
「いや」
「なら聞くな」
「坊やはいくつだい?」
「12才です」
「なんだかうちの息子にそっくりだ」
テレビがニュース番組になる。
『内閣総理大臣の御子息を誘拐した犯人、安好拓也は、一馬くん(12才)を連れて以前逃走中、懸命な捜索が行われています』
「まったく可哀想だよな。まだ子供なのによ~。あれ?坊やも12才?なんか似てるな~」
「ご馳走さん。つりはいらねー。いくぞ」
1万円札を置いて逃げる様に出ていった。
「!今の2人って!まさか!」
川口署に一般市民から目撃情報が入った。
全署員にラーメン屋一帯の捜索が命じられた。
「ラーメン屋のオヤジ、気づいたな。車をさがさねーと」
一馬の手を引っ張って、足早に歩くタク。
「お、車めーっけ」
中古車販売
『LUCKY』
タクは、すぐ出せそうな車に目をつけておいた。
2人で事務所に入る。
「いらっしゃい。気に入った車あった?」
「オヤジさん1人?」
「そうだよ」
タクは一馬の耳元で
「大人しくしてろよ。逃げたりしたら、このジジイ殺すぞ!」
一馬は黙ってうなずいた。
「表にある240ZG、エンジン音聞きたいんだけど、いい?」
「いいよ~あれは。L28のフルチューンで、アクセル、ガボッて踏んだらガーって加速して
あっという間に200キロさ~。乗って見るかい?この辺グル~ってまわって来たらいいさ~。キーはこれね」
店のオヤジが振り向いたと同時に、タクはジャックナイフを目の前に出した。
「声をたてるな。大人しくしてれば何もしやしねー。ガムテープあるか」
タクは車のキーを取る。
オヤジが机の引き出しからガムテープを出した。
タクは、オヤジの手足をガムテープで巻いていく。
一馬はその場に立っていたが、目の前の机に店のオヤジの携帯があるのに気がついた!
タクは机の影で、オヤジを縛ってる。
一馬はその携帯を取ると、サイレントマナーにしてから110にダイヤルした。
その携帯をゴミ箱に入れた。
タクはオヤジを縛り終わると
「よっしゃ、ドライブ行こうぜ!」
タクはリアのハッチを開けてバッグを放り込み、一馬を助手席に乗せて
走り出した‥




