土俵際
誘拐犯のタク、ヤス、タカは、人質の一馬、ナオナオを乗せて、
再び、廃虚の工場に入っていった。
その後をつけて来たボッサンたち3人。
ボッサンは車を止めて言った。
「またここに来るとはな」
ユオは言った。
「やるな~」
ホヘトはユオをこづいて言った。
「誉めてどうすんだよ」
無線が入る。
{盛田刑事を見失いました。}
{まだその辺にいるはずだ。くまなく探せ!}
「がんばれ、モリモリ!」
ボッサンたちは車を置いて中に入った。そして、工場の入り口に来た。
ボッサンは中を覗いて言った。
「またあの部屋にいるな」
ユオは言った。
「工場の裏から入れないか?」
「よし、行ってみよう」
壁に沿って裏にまわる。壁に、人が1人通れる位の穴があった。
「ここから入ってみよう」
四つん這いになって穴から入る。
犯人たちがいる部屋の裏に出た。部屋には窓がないので、中の様子は分からない。
ボッサンたちが部屋の裏に潜んでいると、ドアが開いて、タカとヤスが出て来た。
「なんであたしが食料取りに行かなきゃいけないの?しかもアンタと!」
「まあまあ、そんなに毛嫌いしないでよ。元カレもたまにはいいんじゃない?」
「絶対無理!」
2人は車に食料を取りに行った。
ボッサン2人の後ろ姿を見送って言った。
「チャンスだ。2人やっちまおう!」
ボッサンは部屋の裏に残って、ホヘトとユオが2人の後を追ってゆく。
「タカ、トランクから食料出して。爪が割れちゃったわよ。まったく!」
「へいへい」
タカは車の運転席のドアを開けて、トランクのロックを外す。
そして、トランクに頭を突っ込むタカ。ヤスは爪のお手入れ。
「ヤス、プリン買ってくれた?1日1個食べないと死んでしまう」
「じゃあ死ぬしかないわね。あーよかった」
まずホヘトが、後ろからヤスの口を塞ぎ、頭に銃を突きつけて黙らせた。
次にユオが、トランクに頭を突っ込んでるタカの後ろにまわって、トランクを思いっ切り閉めた!
ひるんだところでホールドアップ。
2人を覆面パトカーに監禁した。あとはタクだけだ。
ボッサンは部屋のドアの横で、タクが出て来るのを待ち構えていた。
しびれを切らしたタクが、部屋から出て来た!
ドアの裏に隠れるボッサン。
「ったく、何やってんだよ!」
ボッサンは後ろから近づき、銃を背中に突きつける。
「動くな!」
「誰だ!」
「天下御免の桜田門だ!」
タクはゆっくり両手を上げながらいきなり振り向き、肘で銃を弾いた!
続けざまに回し蹴りでボッサンをぶっ飛ばした!
吹っ飛ばされながらも銃をタクに向けるが、次の蹴りで銃も吹っ飛ばされた!
すぐに立ち上がるボッサン。
タクはジャックナイフを出してボッサンに切りかかる!
ナイフをギリギリでかわしていくボッサン!
かわしながらタクの脇腹にボディブロー!
たまらずうずくまるタク。
そして腹に蹴り!
ひざまずくタク!
最後に両手を組んで後頭部に振り下ろした!
タクは倒れた。
ボッサンは銃を取りに行く。
銃を拾って振り向くとタクがいない!
「しまった!」
部屋の中に駆け込むと、タクが一馬の首にナイフを突き立てていた!
「下がれ!」
タクは一馬と2億円を持って部屋を出た。
そこへホヘトとユオが戻って来た。
ボッサンは2人を制した!
「手を出すな!」
タクと一馬は工場を出た。
「ホヘト、部屋に行ってナオナオを連れて来てくれ」
タクは振り返って言った。
「ついてくんじゃねーぞ!」
タクは2億円の入ったバッグを後部座席に放り込むと、一馬とBMWに乗り込んで走り去った。
「くっそー!あと一息だったのに!」
もう一発蹴りを入れときゃよかったと後悔するボッサンであった‥




