救世主
川口警察署取調室
モリモリが座っている机の周りを歩きまわるカズへー。
「盛田!いい加減白状しろ!犯人に協力したんだろ?分け前はいくらだ?」
「だからさっきから言ってるじゃないスか!嫁を人質に取られてて仕方なくやったって!」
カズへーはモリモリの顔を覗き込んで言った。
「奥さんもグルなんだろ?」
モリモリは立ち上がって言った!
「違うよ~!なんで信じてくれんのかな?」
捜査1課の部屋
ボッサンは歩き回りながら言った。
「本庁の奴らは何も分かっちゃいない!」
ラッキーデカ長はデスクに座って言った。
「これで犯人の手がかりは無くなったわけだ」
ユオは立ち上がって言った。
「手がかりならあるよ」
「何?」
ユオは続けた。
「廃虚の工場にいる時、僕、応援呼びにいったでしょ?そんで~ボッサンたちの所に戻る時、犯人たちの乗ってきたBMWを調べたんだ」
ボッサンは立ち止まって聞いた。
「調べたって?」
「犯人の手がかりがないかな~って思って車のドアに手をかけたら、カギが掛かってなかったのよ。そんで車の中調べたら、こんなのがあった」
ユオはポケットから紙切れを出して、ボッサンに渡した。
「スーパーのレシートか。場所は?春日部。え?2万?」
ホヘトが横から覗きこんで、
「なになに?神戸牛、ネギ、しらたき、白菜、春菊、豆腐、えのき‥ わかった!すきやきだ!」
ラッキーデカ長は言った。
「ホ~ヘト~」
ユオはボッサンに言った。
「それ、クレジットカードで払ってる」
「お、サインがしてある。安井盛子」
「犯罪歴があるか調べてみるか。」
ラッキーデカ長が、自分のパソコンを立ち上げる。
そして、パスワードを打ち込む手元を、ホヘトは後ろからコッソリ見ていた。
「え~と?安井‥盛子‥っと。・・・出た!万引きで一回捕まってるな」
ボッサンはラッキーデカ長に走り寄った!
「で?住所は?」
「春日部市中央1丁目・・・」
ボッサンはコートを取りながら言った。
「よし!行くぞ!」
ユオが聞き返す。
「吉幾三?」
ホヘトは言った。
「それ前言った」
「モリモリ、待ってろよ!疑いを晴らしてやるからな!」
ボッサン、ホヘト、ユオは、春日部に向かった。
春日部の安井のアパート
「このアパートの205号室だ」
ボッサン、ホヘト、ユオは車を降りて、2階に上がる。
205号室 安井
「ここだ!」
ボッサンはドアをノックする。
反応なし。鍵が掛かっている。
「ユオ、管理人を呼んでこい。開けてもらおう。」
ユオは管理人を呼んできた。
管理人がドアを開ける。
ボッサンたちは中に入って調べ始めた。
ユオが飾ってある写真を発見。
「この2人で写ってるカップル、BMWの2人だ」
ボッサンは覗き込んで言った。
「女が安井で男は誰だ?」
ホヘトが他の場所で写真を発見した。
「男だけの写真がある。写真にマジックで“拓也LOVE”って書いてあるぞ」
「他に何かないか~?」
ユオが机を探す。
引き出しに手帳があった。
「お、アドレス帳だ!」
ページをめくって“拓也”を探す。
「拓‥拓‥拓‥あった!名前は“安好拓也”住所は蕨市・・・」
「よし!次は蕨だ!」
市内のコンビニの駐車場。
車の中に人質を残して、車の外で相談するタク、ヤス、タカ。
タカは言った。
「金は手に入ったから、人質は解放しちゃう?」
タクはタカに言った。
「バーカ。俺らは顔見られてんだぞ。始末するっきゃねーだろ」
タクの隣でヤスは言った。
「このまま人質帰したら、私たち絶対捕まるわよ!」
タカは弱気になって言った。
「でも、総理の息子だよ?もう1人は刑事の奥さんだし。捕まったら死刑か終身刑だよ?」
「だから、捕まんない為に殺すんじゃん!」
「人質2人だから、もうちょっと金ふんだくっちゃう?」
「それもありだな」
BMWの中
手を縛られてる一馬とナオナオ。
一馬は、車の外で話してる犯人たちに気づかれない様に、助手席のシートに落ちてる携帯を取った。
「この携帯、あの女のポケットから落ちたんだ。これで助けを呼んで!」
「うん!」
縛られてる手が背中でなくて幸いだった。
ナオナオは、暗記しているもりもりの携帯の番号を押した。
川口警察署取調室
カズヘーは相変わらずモリモリを尋問していた。
「いい加減、仲間の居場所を白状しな!」
「・・・」
うつむいて黙っているモリモリ。
「まったく!強情な奴だ!」
和塀刑事は、席を立つと部屋の外に出ていった。
1人になるモリモリ。
突然、机に置いてあったモリモリの携帯がマナーで鳴りだした!
急いで携帯を見ると、知らない番号からかかってる。
恐る恐る携帯に出るモリモリ。
「もしもし、どちらさんですか?」
『私よ!ナオナオよ!今、犯人の隙を見て電話してるの!セブンイレブンの駐車場にいるわ。助けて!』
「どこのセブンイレブンだ!近くに目印かなんかないか?」
『目の前に『ジャパン亭』があるわ』
モリモリの頭の中のナビをフル回転させて検索した!
「場所が分かった!今行く!」
《モリモリの頭の中で何かがはじけた!》
モリモリは携帯を切って、ドアをゆっくり開ける。
辺りを見回して誰も居ない事を確認すると、
イーサンハント張りの身のこなしで(顔は違うが)警察署を脱出!(途中で2~3人の警官をやっつける!)
*BGM mission impossible
覆面パトカーを奪うと、ナオナオの元へ猛ダッシュした!
「ナオナオーーー!!」