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連絡を待ちわびて

 ~♫♩ ♫♩ ♫♩~


 「な~んだ隼人からの連絡じゃないのか…」


 グループチャットアプリの着信音を疎ましく思いながら志織はスマホの画面を見た。


 「ちょっと着信がうるさい… ああ、今のはカトリからの返事ね… さっきはエマからだったし、もう遅い時間だけど今晩中に返事があるなんて女の子は返信が早くてありがたいわ」


 自分の部屋に一人でいる志織が口では助かると言いながら、面倒くさそうな態度を遠慮なくとっていた。


 「エマのは全部お任せするわ、って感じの返事だったわね。全部私と隼人に押し付けているから当たり前よ。さてカトリは… 土曜日か日曜日を教えて欲しいのね… それ以外の条件はOKね… このことを隼人に連絡する必要は、ないのよね…」


 なんとかして隼人と連絡を取るきっかけが欲しかった志織だったが、全員が見られるグループ用のアプリではその必要がないので、自分の部屋で残念そうな顔をしているしかなかった。


 「本当は別の人からの連絡が欲しいのにな 私は…」


 そうつぶやくと志織は学園で隼人の前から逃げ出した自分の行動を思い返していた。


 「あの時まではスゴく雰囲気が良くなっていったのに… 急に隼人が黙っちゃうんだもん… ホントに冷や汗をかいちゃった…」


 隼人の考え込むように黙った顔を思い出すと、志織はつい余計なことを考えてしまった。


 「あの顔はやっぱり二人だけで連絡先を交換するのが早すぎるってことだったのかな…」


 黙ってはいたが隼人には拒絶するようなそぶりもなく、嫌々応じているような様子はなかった。


 「じゃあ、私はなんで隼人が黙ったことに、なんであんなに焦ったんだろう… それに隼人に腹立たしくなっちゃったんだろう… あれじゃ私が一人で怒っておいて話も聞かずに飛び出してしまっただけじゃない…」


 志織はその時の自分の思いを思い出していた。


 「あの時の私って自信過剰だったかもしれない… それに隼人の方も私に好意をもっているって思い違いしていたかもしれない… だから隼人が黙った時に自分が舞い上がっていたと気づいたし、勘違いしてはしゃいだ自分が恥ずかしくなった… それであの場から逃げ出したくなったのかも…」


 両手で持ったスマホを額にあてて志織はある結論に達していた。


 「…私って今まで誰にも認めてもらったことがなかったから、人に認めてもらったり好きになってもらえるっていう自信がないのかな…」



 ~♩♪♪ ♩♪♪ ♩♪♪~


 「エッ! エェ~ッ!」


 心待ちにしていた人からの電話の呼び出し音が耳に入ってきて志織は嬉しそうな声をあげた。


 「すぐに出ちゃうと待ち構えていたのが見え見えよね」


 志織はいつでもボタンを押せる状態でスマホを握りしめ5,6コールしてから受信ボタンを押すつもりだったが、意外にあっけなく呼び出し音は終了した。


 「エッ! エェ~ッ!」


 画面を見つめてスマホを握りしめたまま、志織は信じられない気持ちになって目に涙をためた。


 ~♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪~


 その直後に隼人からのメールの着信音が目の前で鳴り響いて、志織はスマホを手からとり落としそうになった。慌てながらもなんとか志織はスマホを手に取り、メールの発信者を確かめると電話モードに切り替えて隼人への発信ボタンを押した。


 ”早く出なさいよ、隼人ったら!”


 すぐにも隼人につながらないかとイラ立っていた詩織はスマホから聞こえるコール音が永遠に続くように感じていた。 


 『もしもし、東条?』


 「もしもし、隼…赤城? 今わたしに電話してくれた?」


 志織はそれまでの一人芝居を表に出さずに何事もなかったように隼人に話しかけた。


 『最初に電話したけど、出ないようだからメールを送ったところだったんだ。もしかして忙しかったか? メールは見た?』


 「部屋にいなかっただけで別に忙しかった訳じゃないの。戻ったらスマホが鳴っていたけど間に合わなかったんだ。ええ、メールなら見たわ。それで直ぐに話をしようと思って電話したの」


 『でも、ちょうど電話で話ができて良かったよ』


 “ちょうど電話で私と話ができて良かったの?”


 隼人の言葉に志織は色めき立った。

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