~正直に 素直に~
ぱちっ
「あ・・・れえ・・・?」
また夢を見ていたみたい。でも夢の人はなおも絶えずあたしに話しかけてくる。
一体だれなの?どうして教えてくれないんだろう?
しかも記憶とかなんちゃらかんちゃら言ってたな~。
う~~~~ん。あんま思い出せないよお。
あれこれ考えているうちにもう学校に行く時間だ。
「あわわっ。遅刻しちゃうよおお。」
あわてて支度をする。
「いってきまーーーす!!」
パンを加えて家を出た。家の前に楓子がいた。
「真麻・・・。遅すぎ・・・。」
なんかご機嫌ななめな楓子。
「うわーん。ごめんね!」
謝ってから楓子とあたしは歩き始めた。
なんか昨日のこともありなんだか気まずい空気。
「あのさ・・・。真麻。」
いきなり楓子が口を開く。どうしたんだろう?
「ん?なに?」
「また・・・あの夢・・・見た??」
あの夢の話か。
「あ~あ。今日も見たよ。今日は正直だけじゃなくて記憶とか素直ーとかなんか言ってたなー。」
あたしが思い返して話していると楓子また驚いたように聞き返してきた。
「き・・・おく!?」
「うん。そうなのー。なんか意味がわかんないけどねー。」
あはは~。と話すあたしと反面に楓子はなんだか暗い表情。
「ふ、ふ~ん。そっかー。」
「そうなんだよ~。」
やっぱ楓子はなんか隠してる!絶対!!
「真麻。このごろ発作は大丈夫なの?」
ドキッ 心臓病のはなしか・・・。
「あ・・・。うん。大丈夫・・・ ・・・。」
「そっか・・・。」
でもはっきり言うと悪化してきている。
はじめから20歳にはなれないって言われてたけど正直次の誕生日を迎えられるのかも危うくなってきている。
16歳のハッピーバースディ。家族や友達からお祝いしてもらう!絶対生きてやる!!
かたく心に誓った。
「じゃね・・・。真麻。」
教室の前で楓子と別れる。あたしが教室にはいろうとしたとき楓子からいきなりよばれた。
「真麻!あたしはいつまでもあんたの親友だかんね!!」
いきなり教室の前で叫ばれてすごくびっくりした。
「う・・うん!!」
「ただ・・・それだけ・・・。」
そう言って楓子は教室に歩いて行った。
へんなの楓子。このごろ様子おかしいよなー。まあ楓子も楓子なりの悩みがあんのか。
そう自分の中で片づけて教室にあたしは入って行った・・・ ・・・。
昼休み。
今度こそ海里にあたしの気持ちを伝えるんだ!
正直に・・・素直に・・・ね。
ちょうどそのとき海里が教室に入ってきた。
「海里!!」
大きい声で海里を呼ぶ。海里はかなりびっくりしたような顔。
「ちょっと来て!!!」
と言い無理やり海里の腕をひっぱる。
「おっ・・・!ちょい、ま・・・あさ!?」
男たちの束のなかからひっぱりだして教室から海里と一緒にでる。
後ろから男子のひやかしが聞こえる。海里があたしの名前を呼んでいる。
あたしはそれを無視して学習室に連れ込む。鍵をしっかりかけて海里に向き直る。
「真麻・・・?どうした・・・んだ?」
「海里・・・。あたし・・・海里ときまずいままじゃやだよ。」
「・・・ ・・・。」
「あたし・・・海里と話さなくなってすっごくさみしかった・・・。すっごく悲しかった・・・。」
「真麻・・・ ・・・。」
「海里・・・あたし・・・。」
あたしが言い終わらないうちに海里があたしを抱きしめる。
「か・・・いり!?」
海里はあたしの肩に顔をうずめている。海里の心臓の音が伝わってくる。トクン・・・トクン・・・
「それ以上ゆうな。」
はい?それ以上ゆうなだと?あたしは恥ずかしいのに一生懸命言葉見つけて言ったのに・・・。
「それ以上ゆうな。理性がきかなくなる。」
「へ?」
理性がきかなくなるって・・・でえええええええ!?なんで!?あたしへんなこと言ったかなぁ・・・。
「お前・・・そんなことゆうとさ・・・。勘違いしちまうだろ?」
「勘違いじゃないもん。」
「え!?」
「ん・・・?はわあああ!!」
なんてこと言っちゃったんだろあたし。そんなことゆうと海里のこと「好き」って言ってるのと同じじゃん!
でも・・・これがあたしの正直で素直な気持ち・・・。
「ま・・・あさ・・・?」
「海里・・・。あたし海里のことが好きだよ・・・。」
海里が病室からいなくなったときとてもさみしかった。話さなくなって悲しかった。
放課後あの日・・・。あたしは海里を見てキスをしようと思っていた。
素直に好きって思えた・・・ ・・・。
「海里・・・ごめんね。いきなり・・・。」
すると唇にとても柔らかい感覚がした。海里の顔が目の前に・・・。
「んん!?」
軽く触れるキスなのにめちゃくちゃびっくりしてるあたしに海里は柔らかい笑みをみせた。
「俺もだ・・・。」
俺もだ・・・って・・・えええええええ!?うそ・・・。
「なんちゅー顔してんだよ。」
ははっと笑う海里。
「だってぇ~。海里がああ。安心・・・っしちゃ・・・ヒック。」
なんか涙がでてきた。安心して素直に正直に想いを伝えられたから。
すると海里はあたしのおでこにキスを落としてあたしをぎゅっと抱きしめた。
「く・・・苦しいょお・・・海里ぃー。」
「いいんだ。じゃないとおめー逃げっちまうかもしんないから。」
「え?」
「夢みたいだ・・・。好きだ・・・好きだ・・・真麻・・・。」
あたしたちはずっと抱きしめあっていた・・・ ・・・。