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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

高校生英雄戦記〜愛する人にもう1度会うその時まで死ぬ訳にはいきません〜

作者: リリーム
掲載日:2025/12/07

「俺、昔からあなたのことが大好きでした。付き合ってください!」


俺はそう言いながら、震えている右手を彼女に向けて差し出した。

 俺は今、3歳のときに出会ってから12年間にわたって想いを寄せてきた幼馴染、「藤咲カエデ」に告白したのだ。

 俺は目を瞑りながら、カエデの返事を待つ。すると突然、急に彼女が泣き出したのだ。


(おいおい、カエデ泣き出したぞ。もしかして俺みたいな気持ち悪い輩に告白されたせいか?)


 俺はカエデを傷つけてしまったのではないかと不安になった。


「ご、ごめんな。俺みたいな気持ち悪い奴に告白されて、嫌だったよな。やっぱ今のは聞かなかったことに…」

 

 俺がカエデに謝ろうとした時、カエデが俺の言葉を遮った。


「ケイちゃんは気持ち悪くなんかないよ!

それに、私もケイちゃんの事が昔からずっと好きだったの!」


そう言いながら、俺の右手を掴んでくれた。

俺はこの時、自分の人生で一番幸せを感じた。こんな幸せな時間が一生続いてくれれば良いのに…と、そう思った時だった。


「転移準備完了。転移を開始します。」

 

 謎の声が聞こえた瞬間、俺たちの立っている地面に、謎の魔法陣のようなものが浮かび上がってきた。

 何が起きているのかは分からなかったが、何かまずいことが起こっているということは直感で何となく分かった。


「カエデ、今すぐここから離れろ!」

 そう言った瞬間、俺は突然意識を失ってしまった。







「おい、大丈夫か!しっかりするんだ!」

 

 誰かの大きな声によって目を覚ますと、

そこには金髪で赤眼のハンサムな青年がいた。


「おぉ、良かった。意識はあるみたいだ。」

 

 カエデがどこに行ったのか分からず不安だったが、彼が俺を助けてくれたようなので、とりあえずお礼をした。


「あ、ありがとう。ところでお前は誰なんだ?」


「おっと、自己紹介が遅れてしまってすまない。私はルシウス・フェルディナントという者だ。良ければ、君の名も教えてくれるかい?」


「そういえば俺も、まだ名前を言ってなかったな。俺の名前は山西圭吾だ。改めて、助けてくれてありがとうな!」


「ヤマニシ・ケイゴと言うのか、少し変わっているが良い名前だな。」


(変わっている?山西圭吾という名前は、そこまで珍しいものでもないと思うんだが…)

 

 俺は少し違和感を覚えたが、続いてまた質問をした。


「ところで、ここら辺一体は何て名前の場所なんだ?」


「ここか?ここはグレイン帝国東にあるケイムという町だ。ちなみに俺は、ケイムを収めている領主の息子なんだ。」


(グレイン帝国なんて国、地球上のどこにも存在しないはず。まさかここは…)

 

 ここで俺は気が付いてしまった。元々住んでいた世界とは違う世界。いわゆる「異世界」という奴に迷い込んでしまったことに…







 俺がこの世界に来てから3ヶ月、俺はルシウスの護衛係として働いている。どうやらルシウスは以前から父親に、出かける際は誰でも良いから護衛を付けるよう言われていたそうで、これからどうするか悩んでいた俺を誘って、護衛係として雇ったそうだ。

 ただ、雇って貰っている俺が言うのもアレだが、道端に倒れていた得体のしれない奴を護衛係として雇うのは、はっきり言って馬鹿である。どうやら彼には人を疑うという考えがないようだ。


 そしてある日、ルシウスの父であるトーマスから部屋に呼び出された。


「ルシウスは来月からグレイン帝国最西端の町ベリクスにあるスフォルティア士官学校に通うことを知っているかね?」


「はい、もちろんです。」


「そこで突然なんだが、君にはルシウスと共に士官学校に入学して、ルシウスのことを見守って欲しいと考えているんだ。ほら、ルシウスって色々と抜けているところがあるだろう…」


(どうしてこうもこの家の奴らはすぐに人を信用してしまうんだ…)

 

 そう感じながら、俺はトーマスに逆質問をした。


「お言葉ですが領主様、私は3ヶ月前に道端で倒れていた男です。そんな怪しい奴に、大切な息子様をお預けしてよろしいのですか?」


すると、トーマスはこう返事をした。


「確かに私も、最初は怪しい奴だと思っていたよ。だけどこの3ヶ月、君と関わっていく内に、君は悪い奴ではないと分かったんだ。それに、ルシウスにとって君は初めて出来た友達なんだ。だから、君にはルシウスの良い友達として一緒について行ってあげてほしいと思っているんだ。」


 俺は素直に嬉しかった。トーマスが俺のことをここまでしっかりと見ていてくれていたとは思っていなかったからだ。そして俺は、


「先ほどは失礼いたしました。ぜひ、私も士官学校について行かせてください!」

 

 そう言って、俺は士官学校について行くことに決めた。ただ、ついて行く理由はもう1つあった。それは、都市の方に行けばカエデに関する情報が見つかるかもしれないと考えたからだ。







あれから1ヶ月、ついにスフォルティア士官学校の入学式が始まった。


「このたびは、ご入学誠におめでとうございま…」

 校長のラウギルが挨拶をしている。どうやら、校長の話が長いというのは異世界でも共通のようだ。

 

 校長の長い話が終わり、入学式も終わったので、俺たちは今日からお世話になる寮を見に行った。


「どうやら、ケイゴと僕は同じ部屋のようだね。」


「これからよろしく頼むぜ!」


 こうして、俺たちの楽しい学園生活が始まったのだ。







2人が士官学校に入学してから半年、グレイン帝国史に名を刻むこととなる戦いが、このスフォルティア士官学校を舞台に始まろうとしていた。


「皆さん、今すぐ大講堂の中に入ってください!」

 先生たちが何かに対してとても焦っているようだ。 


 大講堂に集まると、校長のラウギルが深刻な顔で生徒たちに話始めた。


「皆さん落ち着いて聞いてくださいね。実は現在、我が国と長年対立しているファーロン王国の軍勢2万がこちらに向かって来ているとの情報が入りました。」


 校長の話が進んで行くに連れて、生徒たちの表情が曇り始める。

 そりゃあそうだ。相手は2万人の戦いのプロ集団で、こちらはと言うとほとんどの者がまだ未熟な1000人も満たない集団である。どう考えても俺たちに勝ち目はない。

 

校長は続けて話す。


「敵は2日後には到着する予定だそうです。そして、我らの援軍が到着するのは最低でも4日かかるそうです。つまり、最低でも2日は耐えなければなりません。」

 校長がそう言った後、ある生徒が声をあげた。


「敵が来そうだから俺たちに足止めをしろっていうのかよ!俺たちはまだ学生で、相手は戦いのプロ。しかも、兵力差は20倍もある。

こんな、死ぬことが確定した戦いに参加できる訳無いだろ!俺はこの学校を退学になってでも、校舎から抜け出して、戦いから離脱するぜ!」


 その生徒の声に多くの生徒が賛同し、大講堂から次々と人が消えていった。


「ルシウス、お前はどうしたい?」

 俺はルシウスに戦うか、学校から抜け出すかを聞いた。するとルシウスは、


「別にこの学校に特別思い入れがあるわけではないけど、ここで逃げたら騎士として失格だからね。私はここに残るよ。」


「なら、俺もここに残るとしよう。」


 そして、最終的に学校に残ったのは、俺とルシウスを合わせて78人だった。




 俺たちは残った生徒たちと共にファーロン王国軍からの攻撃を持ちこたえるための準備をしていた。そして、あっという間に時間は立ち、戦いが始まる前、最後の夜になった。


「ケイゴ、手が震えているぞ。大丈夫か?」


「あぁ、大丈夫。少し緊張しているだけさ。」


 本当は嘘である。俺は全然大丈夫じゃなかった。俺にはまだ、戦いで命を奪うことへの覚悟ができていなかったのだ。


「緊張か…じゃあ、緊張をほぐすために何かしないかい?」


「何かって、何をだよ。」


「そうだな、じゃあ例えばお互いに誰にも言ってなかった秘密を打ち明けるってのはどうだい?私の場合はそうだな…。実は私、泳ぐのが苦手でな、恥ずかしいから人前で泳いだことがないんだよ。」


「ハッハッハ、何だよそれ笑」

 

 この話に、俺は思わず声を出して笑いだしてしまった。


「あっ、笑ったな?よし、じゃあ次はケイゴの番だ。」


「そうだな、俺の秘密か…。実は俺、この世界で生まれた訳じゃないんだよ。」

 

 俺はこの時、初めて誰かに前の世界のことを話した。どうせ信じてくれないと思っていたが、ルシウスは真剣に話を聞いてくれた。


「へぇ~、ケイゴにも恋人がいたんだね。意外だよ。」


「おい、それはどういうことだ。」


こんな冗談を言い合っていると、少しだけ気持ちが楽になった気がした。




 翌朝、ついにファーロン王国軍が到着した。緊迫した空気の中、相手の将軍がこちらに向かって要求をしてきた。


「我が名は高潔なるファーロン王国のノルマンである。今降伏すれば命だけは助けてやろう。」


「我が名は誇り高きグレイン帝国のルシウスだ。我らはグレイン帝国の誇りをかけて戦う降伏するつもりはない。」

 

 そう言ってルシウスが要求を拒否した瞬間、ノルマンの目の色が変わった。


「ほぅ、どうやらそちらには愚かな者しか居らんようだな。良いだろう、全軍突撃!」


そうして、戦いの火蓋が切って落とされたのだ。




「ルシウス君、剣部隊はどうすれば?」


「ルシウスちゃん、火薬部隊準備完了よ!」


「ルシウスさん、槍部隊待機完了です。」


 ルシウスは軍の総大将として的確な指示を出し、敵を迎え撃つ用意を進めていた。


「ルシウス、そろそろ門がこじ開けられそうだが、まずはどうする気だ?」


「うーん、そうだな。まぁ、見てみるのが1番良いよ。よし、それじゃあ早速だ。火薬部隊は門の爆破をお願いします!」


「OKよ!任せときなさい!」

 

 そう火薬部隊の先輩が言った瞬間、目の前で大爆発が起こった。この爆発で、門どころか校舎の一部まで崩壊し、より一層防御は手薄になった。

 しかしその分、相手への被害も凄まじかったようで、かなりの人数が戦闘不能の状態になった。


「中々凄い事をしたな。だが次はどうするんだ?」


「大丈夫、まだ策はあるよ。よし、今の内に槍部隊と剣部隊は準備を始めてください。」


「了解!」


「ほぅ、次はどんな事をするんだ?」


「ふっ、まぁこれも見てればわかるさ。」


 一方で敵総大将のノルマンは怒りに駆られて、我を見失っていた。


「おのれ、ガキ共めが!その生意気なヅラを吹き飛ばしてやる!全軍突撃!」

 

 そして怒りに駆られたノルマンは、全軍突撃を命令した。しかし、それはシリウスの思う壺だった。


「今です。槍部隊と剣部隊はそれぞらの武器を敵に向かって投げてください!投げた後はすぐに撤退するように!」

 

 しかし、武器を投げただけではほとんど効果がなかった。


「ルシウス、武器を投げさせてどうする気だ?」


「まぁ見てなって、火薬部隊は連撃爆発をお願いします!」


「任せといて!」


 また、あの先輩の声だ。そう思った瞬間、次はあちこちで小さな爆発が起こり始めた。


(さっきよりショボくなってる…。)


そう思った時、あることに気付いた。

 剣部隊と槍部隊が投げた武器が爆発によって、吹き飛ばされていたのだ。そして、その吹き飛ばされた武器が敵兵に次々と突き刺さっていった。


「凄いな!もう残った敵兵は1500人もいないぞ!次は一体どんな策で行くんだ?」

 

俺は期待を込めて、質問した。すると、


「策ね、ゴメンなんだけどもう無いんだ。」


「えっ、無いのか?」


「うん、もう無い。ただ、まだやるべき事は残ってるよ。」


そう言ってルシウスは命令を下した。


「全部隊への命令です。我々の限界はここまでです。全員持ち場を離れて、校舎から脱出して安全な場所まで撤退してください。」


そして、ルシウスはケイゴにある物を渡した。

「この笛を吹くと、校舎に設置した全ての爆弾が爆発する。もし私が殺されそうになったらこのボタンを押して私ごと敵を焼き払うんだ。」


「そんなこと出来るわけ無いだろ!大体、何で死ぬ想定なんだ!」


「すまない、だがこれは1番信用している君にしか任せられない仕事だ。受け取ってくれ。それでは、行ってくる。」 


そう言ってルシウスは敵に投降した。





「ほぅ、投降するということは、それなりの覚悟はできているんだろうな?」


「はい、覚悟はできています。」


「フン、最後まで気に食わん奴だな。よし、さっさと処刑の準備を始めろ!」


ついにルシウスの処刑が始まってしまった。


「最後に何か言いたい事でもあるかね?」


「いいえ、ありません。」


「そうか、ならば死ぬがいい!」


 そう言って斧を振り下ろした瞬間、鈍い金属音が響いた。


「ルシウスの首をはねるなど俺が許さん!」


「ケイゴ、なぜきてしまったんだ!」


「親友が死にそうな時に助けに来ないやつなど、騎士どころか人間すら失格だからな!

ほら、これでお前も戦え!」


そう言ってケイゴは剣をルシウスに渡した。


 しかし、いくらケイゴとルシウスでも人数差には抗えず、2人共倒れこんでしまった。


「どうやら、ここまでのようだね、ケイゴ。」


「悔しいが、そうみたいだな。」


 2人が諦めかけていたその時、「パカラ、パカラ」という馬が走る音が聞こえてきた。


「我が名はトーマス・フェルディナント!スフォルティア士官学校を守るため参った!」


 その後、ノルマンたちはトーマスの軍によって、一瞬にして制圧され、グレイン帝国の勝利となった。


「2人共無事で良かった。良くここまで耐えてくれた!」

 

 そう言って、トーマスは俺とルシウスの頭を撫でた。ルシウスだけではなく、俺にも父親のように接してくれたのだ。元々の世界での父親がこんなことするのはあり得なかったからか、余計に嬉しかった。


 これから数週間後、僅かな兵でファーロン王国軍に勝利した功績が認められ、戦いに参加した78人全員に「英雄」の称号が与えられた。







 ファーロン王国軍との戦いから5年が立ち、俺たちは士官学校卒業後、グレイン帝国軍の火薬部隊に所属していた。ルシウスは隊長、俺は副隊長として帝国に忠誠を誓っていた。



「ケイゴ、良い知らせと悪い知らせがあるんだけど、どっちから聞きたい?」


「じゃあ、まず良い知らせから。」


「ケイゴの恋人のカエデさんの特徴と一致している女性が、キリーム教連合国のアルファス修道院で多数目撃されているそうだ。」


「本当か!?それは良かった。そして、悪い知らせというのは何なんだ?」


「そのキリーム教連合国は、あのファーロン王国と戦争中でな。アルファス修道院が狙われているらしい。」


「そうか…。では、我が国はどう動くつもり何だ?」


「ファーロン王国という同じ敵を持った国だからね。恐らく援軍を送るんじゃないかな?」


「そうか…。ならば問題無い。俺たちがまた前みたいに守り抜けば良いだけだ。」


「私もそうしたいところなんだが、今回は前回と話が違う。まず、敵軍にはファーロン王国だけでなく、その周辺の国のサダエル共和国やラスブルク民主同盟国なども含まれるらしい。後、前みたいに人がいなくてスカスカな訳じゃないから、無闇矢鱈に爆発できないんだ。」


「そうかなのか…これは、中々厳しい戦いになりそうだな。」






 アルファス修道院の知らせが届いて1週間が立ち、ついに帝国の援軍がアルファス修道院に向けて出発し始めた。この軍にはルシウスの父、トーマスも参加していた。


「隊長のルシウスは他の重要な任務を進行しているため、援軍には参加できない。そのため、現時点を持って隊の指揮権は副隊長の俺に移った。それではアルファス修道院に向けて出発するぞ!」


 

 その頃ルシウスは、ファーロン王国の首都ファリラスにてある計画を進行していた。


(ファーロン王国軍はこれからアルファス修道院に向けて出発するはず。ファリラスから軍が居なくなった隙をついて革命を起こせば、きっとアルファス修道院での戦闘は避けられるはずだ。)


こうしたルシウスは革命を起こすための準備を進めて行った。



 翌日、ついに軍がファリラスから出発した。ルシウスは出発から2時間ほどだった頃ファリラス1大きい広場で、演説をし始めた。


「我々は愚かな王によって自由を奪われています。今こそ革命を起こして、自由を掴み取りましょう!」


 最初は冷たい目で見られていたルシウスだったが、次第に多くの人が耳を傾け始めた。 


「皆さん、今こそ武器を手に取って宮殿に集まる時です。」


 こうして、ルシウスの発言によって革命軍が発足し、宮殿は包囲された。



 革命軍が宮殿を包囲したと知った国王、ピューマ2世は怒り狂っていた。


「民衆共が革命軍を発足しただと!あのような野蛮なもの共が我に刃向かうとは…!ええい、アルファス修道院に向かった軍を呼び戻せ!」


こうして、アルファス修道院にはサダエル共和国とラスブルク民主同盟国が残された。





取り残された2つの国の間では今後どうするかの会議がされていた。


「急用で軍を送れなくなったとは、一体どういうことなのだ…!」


「このまま敵が、大人しく我らを見逃してくれるとは思えません。」


 軍の上層部による会議が激化する中、ある報告が入った。


「報告致します!帝国軍の将軍、トーマスの使者がやって来ました!」


「そうか…、通したまえ。」


「お初にお目にかかる、私の名はケイゴと申します。この度はトーマス様より預かった伝言を伝えに参りました。」


 なんと、使者とはケイゴだったのである。


「そうかね、トーマス殿はなんとおっしゃっていたのだ?」


「申しあげます、『そなたらがファーロン王国によって、無理やりこの戦いに参加させられたのは分かっている。現在、ファーロン王国は革命軍が発足し、混乱状態となっている。この隙をついて共にファーロン王国を打ち倒そうではないか!』とのことです。」


「なるほど革命軍が発足していたのか…。分かった、私たちもファーロン王国にはウンザリしていたのだ。ぜひ、協力させてくれと伝えてくれ。」


 こうして、グレイン帝国、キリーム教連合国、サダエル共和国、ラスブルク民主同盟国の4国が、ファーロン王国の首都ファリラスに向かって進軍し始めた。




 4国が進軍を開始した1時間程後、ついにファリラスにファーロン王国軍が到着した。


「革命軍が武器を持って宮殿を包囲しているようです。ノルマン将軍、どうしましょうか?」 


「あのバカ国王ならいつかこうなるとは思っていたが、ついに起こってしまったか…。」


 この将軍の名はノルマン。5年前に戦ったあのノルマンである。右目を失う怪我を負ったものの、スフォルティア士官学校での戦いから生き伸びていたのだ。


「最初に警告をして、従わなければ見せしめとして何人か殺した後、全員拘束しろ。」


 そう言って、ノルマンは広場へ向かった。




 広場に着いたノルマンは民衆に警告した。 


「今降参すれば、命まではとらん。」


「ノルマン将軍、私たちは自由のために戦います。降参など出来ません。」


「そうか…、なら仕方あるまい。」


 ノルマンがそう言って弓兵の矢を構えさせたその時、「ドッカーン」というものすごい音がした。そう、これは士官学校の例の先輩が得意の爆弾の爆発である。これを皮切りに、あちこちで爆発が起こり始めた。


「この派手な爆発…、まさか!」


 この時、ノルマンは気づいたのだ。この都市のどこかに5年前の戦いで敗北した相手、ルシウスが居ることに!





 爆発によって、ファリラスは大混乱に陥った。ノルマンの軍も統率が上手くとれていなかった。


(もうこの軍は制御のしようがない、それよりも今は、ルシウスを見つけ出し、あのバカ国王の安全を確保することが大切だ。)


「皆の者、今から私は国王の元へ向かう!私が戻るまで革命軍を何としても食い止めるのだ!」


そうして、ノルマンは国王の元へと向かった。





 その頃、ルシウスも国王の元へと向かっていた。国王を仕留めれば、ファーロン王国軍の士気も大きく下がるからだ。


「国王は一体どこだ!」


 必死になって探していると、ついにルシウスは国王の寝室らしき部屋を見つけた。


「国王よ、覚悟して貰おう!」


 そう言いながら中へ入ると、そこには国王に加えてもう一人、ある男の姿があった。


「待っていたぞ。ルシウス!」


「あなたは…、まさかノルマンか!?」


「そうだ、5年前の屈辱をここで晴らさせて貰おう!」


そう言って、ノルマンは大剣を握った。


 決闘が始まり、ルシウスは剣を振り下ろした。しかし、それは簡単に避けられ、ノルマンに思い切り蹴飛ばされてしまった。

 ルシウスとノルマンでは、剣の力と技術は完全にノルマンのほうが上だったのだ。


「良いぞノルマン。やってしまえ!」

 

 先ほどまで恐怖で固まっていた国王も、急に威勢が良くなってきた。


「フン、どうやらここまでのようだな、ルシウス。」


 そう言って、ノルマンが大剣を振り下ろした時、「カキーン」と金属がぶつかり合う音がした。


「前にも言ったよな?『ルシウスの首をはねるなど俺が許さん。』ってな。」


 ノルマンは思わず下がってしまった。


「貴様は、ケイゴか!」


そう、ついに4国連合軍が到着したのだ。


「現在、ファーロン王国を討伐するために結成された4国連合軍が到着した。もうお前たちに勝ち目は無い大人しく投降しろ。」


「断る。私は何としてでも国王を守り抜かなければならない。」


「なぜですか!?あのような国王のためになぜそこまで戦うんです!?」


「違う、私はこのバカ国王のために戦っているのでは無い。私は先代国王にこの国を任されたのだ。この国を存続させるにはこのバカ国王に生き延びて貰うしか無いから、こうして戦っている。」


 ノルマンの思いを聞いた2人は、降参する気が無い事を理解し、武器を構えた。


「2人同時か…、面白い!受けてやろうではないか!さぁ来い!」


 2人はノルマンの思いを背負い、剣を振り下ろした。ノルマンは新しい世代に未来を託すつもりで、渾身の一撃を放った。そして…、


 2人はノルマンの一撃で吹き飛ばされた、ノルマンは2人の攻撃を受けてもまだ立っていた。国王は確信した。ノルマンが勝ったということを。しかし、それは間違っていた。ノルマンはもう息をしておらず、心臓も動いていなかったのだ。つまりノルマンは、立ったまま死んでいたのだ。


 戦いはついに終わった。将軍ノルマンが倒され、王国の勝ち目は完全に無くなった。

この日、500年以上続いたファーロン王国がついに滅亡したのである。







 ファーロン王国との戦いから3週間が立ち、アルファス修道院では、4国の兵士たちが集まる大宴会がおこなわれていた。


「そういえば、結局王国の跡地はどうなったんだ?」


「どうやら、体制が整うまでは帝国が治めて、体制が整いしだい共和国として独立するようだよ。」


 ケイゴとルシウスが食事をしながら話をしていた。2人共奇跡的に後遺症なく、元気に復帰することが出来たのだ。


「ところで、君の恋人のカエデさんには会うことが出来たのかい?」


「いいや、会えなかった。まぁ、戦いで忙しかったからな、人を探している余裕なんて無かったよ。」


そう話している時、声をかけられた。


「良かったらお皿お下げしましょうか?」


「おぉ、ありがとう。」


 そうお礼をしながら相手の顔を見た時、俺の体にまるでイナズマが落ちたかのような衝撃が走った。なんと、その女性の顔がカエデそっくりだったのである。


「も、もしかしてだけどお前カエデか?」


俺は緊張して震えた声で質問した。


 そして彼女は涙を浮かべながら震えた声で言った。


「もしかして、ケイちゃん?」


 俺の事をケイちゃん呼びする奴は1人しかいないはずだ。つまり目の前のこの子が…。






 もう1度会うために何年も探し続けた、俺の愛する人カエデだったのだ。


































 

























 













































 

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