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戦常論  作者: 天生テンネ
転生・学園入学編
9/9

崩壊

ようやく本筋に入ります。

取り敢えず、俺と有空が戦うことになった。

「よぉ~い、ふぁいっ」という瑠姫の気の抜ける掛け声で戦闘開始。

初めに動いたのは有空の方だった。

しかし有空の攻撃は主に直線。アイツの性格のように真っ直ぐだ。

だからとても対処が楽なのだ。

()()()()()()()()()()()、抜き打ちテストでの瑠姫戦よりかは楽だ。

……まぁアレは偽物だったんだが。それでも俺よりも強かった。


「はぁぁぁぁあ!」

「……絶対防(ロス・ヴィ)――」


あの時のように防御壁を張ろうと右手を掲げるが、それを有空の右手で抑えられる。


「させないわよ!」

「……へぇ?」

「これで……終わりよ!」


有空はそのまま左手で俺の体に触れてくる。勝ちを確信して口角を上げる有空。


「そこが弱点だな。」

「――ッ!?」


有空が近付いたのでそのまま足を上げて鳩尾に膝を入れる。

そのまま倒れてのたうち回る有空を見て、思ったことをそのまま口にする。


「……弱くね?」

「……弱い。」


「うっさい!わかってたことでしょーがぁ!?」


瑠姫も思ったようだが、想像以上に弱くて驚いた。

時間にして20秒だろうか?もう少しは耐えると思ってたんだがな……


「声に出てるからね!?」

「本心だが」

「だからって言わなくてもいいでしょう!?」


同学年になってから思ったがやっぱりコイツは反応が面白い。

形容するなら音の出る玩具だ。

……ただこれくらいにしとかないと、天罰が下りそうだ。


「さて、どうする瑠姫。お前もやるか?……俺としちゃ、あんまやりたくないんだが」

「……いや、いい。なんか飽きちゃったし。」

「散々ボコしてくれたくせによく言うわね!!」


……そういや、提案したの俺だっけか……

傍から見たらチンピラじゃね?

ま、まぁこいつら以外見てないからいいか。



すると突然、視界の端、体育館の出入り口の辺りに光が見えた。

それをよく見ると、浮かぶ光球のようなものだった。

不思議に思い瑠姫の方を見るが、瑠姫も怪訝そうな顔をしていた。


「……瑠姫、どうだ?」

「……なんか、変。」


目で瑠姫とアイコンタクトを取る。

伸びている有空をそのまま放置して、光のあった方へ近づく。


「ちょっと!?何処行くの!?」


何か騒いでいるが気にしない。

不思議な光はドアを通って逃げていく。


「戦闘準備しとけよ、瑠姫。」

「……当然。」


指向性のある光。当然自然現象では在り得ない。

だから、きっと能力者が誘っているのだろう。

だから周囲への警戒を怠らない。それは瑠姫も同じだろう……


光は明らかに俺達の歩行ペースに合わせている。

その行動に俺は心底イラつく。何故なら、その行動には"合わせてやってる"という雰囲気が溢れ出ている。


「……紫遠、落ち着いて。顔に、出てる。」


……表情(かお)に出ていたのだろう。瑠姫が肘で横腹辺りを突いてくる。

身長差の問題で腰にダイレクトで当たって痛いのだが?

すると、学園の校庭の中心あたりで光が地面に向かって下がっていく。

……えぇ。


「……紫遠。」

「わーってるよ。だが、地面ごと壊した方が早いだろ?だから、お前の番だ。」


すると瑠姫は渋々と言った態度を隠さず前に出る。


「……≪外界への乖離(イマジナリー・ダンス)≫」


抜き打ちテストの頃に対峙した瑠姫もどきの比にならない大きさの一つの斧が空中に出現する。

アイツは振り回せるサイズの武器を大量に射出してきたが、流石本人と言ったところだ。

詠唱内容が違ったということは、こっちの方が正しい瑠姫の異能詠唱なのだろう。

しかし、召喚した斧があまりに大きかった為、振りかざされるまでに時間がかかるようだった。

その間に今後の行動について考えていた時の事だった。

瞬間、瑠姫の後ろ辺りから気配が出てきたのと同時に――


――背中がぞわりとする程の殺意を感じた。


「避けろ!!!」


驚いたのか目を見開く瑠姫。

これだから、奇襲の対応は面倒なんだ。

閃光のような光が周囲を満たす。間一髪のところで瑠姫を退かす。

凄まじい轟音が鳴り響く。目の前の砂埃が捌けると、瑠姫の居たところには大穴が出来ていた。


「……避けるか。流石は七伝論、断罪者(ジャッジメント)ということか。」


黒いローブで顔を隠した集団が現れる。

あの中に、七伝論でさえ気付かない程のステルス異能持ちが居るのか……?

だとしたら不味い。俺の異能は戦闘向きとは言えど、集団戦には向かないと自負してしまっている。

瑠姫ならば別なのかもしれないが……今は俺の腕の中で目を見開いて、耳や頬を赤くしている。きっとどこか痛めたのだろう。

ならば戦闘なんて出来ない。

なんて考えていると、目の前の集団の中からリーダー格だと思われる大柄の男が出てきた。


「……何故、ここを訪れた?」

「……言わなかったら、どうなる?」


俺が少し挑発すると、男の眼光が鋭くなる。

言わないのなら殺す、と思っているのだと悟った。

だから俺は正直に言った。


「……奇妙な光に誘われてな。なんとなく来てみただけだ。」


集団がざわつく。なにか不味いことを言ったのか?

急に、目の前のリーダー格は口角を上げる。その笑顔は誰が見ても作っているということが分かるものだった。


「知らねぇなら良い……とっとと去れ。今なら見逃してやるよ。」

「……お前たちの目的はなんだ?」


俺はそう問いた。目の前の男は気持ち悪い笑顔のまま、その衝撃的な一言を告げた。


「――神を、召喚する。」


と。

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