テスト
なるべく自分のペースでやります。
七伝論とは――
基本的に戦常論とは個人の活躍が綴られる。だが戦闘など実力を見せつけるときに、他人の戦常論に自分が記される時がある。
つまり、だ。様々な故人の戦常論に記されている名前が多い方がその分人を助けた、ということだ。
その中でも特出して多い頻度で書かれている七人の事を七伝論、というらしい。
瑠姫はそれに近いということ。
いや、本来ならば一部の七伝論よりも強いのかもしれない。
でも七伝論よりは噂されていない。それには訳がある。
「アンタはどれくらいバッチを持ってるのかしら……?」
この性格である。悪い噂が絶えない俺よりも悪い噂が多い。だが俺よりも多くを救っている。
故にこういう状況なのだ。
「……戦いたくねぇ」
「あら?もしかしてアンタって、呪影の?」
やっと気付いたか。
それはクロの異能の見た目のせいでそうなっているだけで、実際の俺の異能は別にあるのだが……契約をしているなら俺の力でもあるのかな?
「……そうだ。俺が呪影だ。」
「まさかこんなところで有名人と対峙できるなんてね。」
「そういうアンタも有名人だろ?断罪者さん。」
「ふふ……お世辞が上手なのね?そんなことをしても貴方のバッチを頂くことは変わらないというのに……」
ちぇっ……上手く誤魔化せると思ったのに。
先に動き出したのは瑠姫の方だった。
「……≪外界への拝跪≫」
俺の頭上に剣やらナイフやら様々な鋭利な物が出現する。
……これが本当な意味の「剣幕」かな。
特筆すべきは昔のフランスで斬首刑の執行装置として使われていたギロチンの刃。
アレこそ、『断罪者』なんて呼ばれている証。
「穿て。」
出現した全てを俺に向けて放たれる。
俺は体を傾けたりなど、最小限の動きでそれを避ける。
しかしその動きは悪手だった。
「!……これが目的か。」
瑠姫の手には2つのバッチ。
ナイフがバッチに当たる。そうして弾かれたバッチが瑠姫のもとに飛んで行ったのだろう。
――やられた。
「……あの剣幕を受けてこれしか……噂と違うわね?無能だって聞いていたのに」
「……間違い無ぇよ。俺は無能だ。それは変わんねぇ。」
だがそれはそれ。もし本当に噂通りの実力で、あの程度の攻撃が飛んで来たら死んでるだろ。ジ・エンドだわ。
それに忘れがちだが俺は転生者だ。前世ではここよりももっと酷い。
そんな程度の実力じゃ前世の世界でとっくに死んでいる。
「ふぅん、にしては随分と動きが良いのね。」
「さぁ、何故でしょうかね?」
「……≪外界への拝跪≫」
また₍物理的な₎剣幕が展開される。
それを俺は≪絶対防御≫を展開する。
黒く淀んだ泥のようなモノ。『影呪』を応用したモノだ。毎回見る度に少し吐き気がする。
どうしても俺の脳が拒絶する。
目の前へ飛来するソイツの攻撃をすべて防ぐ。
「……めんどくさい。何で貴方はこれでも倒れないの?」
「当たってないからな。」
「何というか、ムカつくわね貴方!」
次の瞬間、瑠姫は接近してきた。
そうして剣を振りかぶる。それは今までの攻撃と違い、すぐさま飛び退き、俺のいたところに小さなクレーターが出来ていた。
「……っぶねぇ……」
「あら?それは悪手よ?」
また俺に向けて剣幕₍物理₎が展開される。
――違和感。
そう、違和感を感じている。さっきからずっと。
その違和感を晴らす為に、瑠姫に問う。
「なぁ、一ついいか?」
「……何?命乞いならもう聞かないけど?」
「お前、俺の顔を知らないのか?」
もし、知っているのだというのならそれはそれでいい。だが、もし知らないのだというのなら――
「?知るわけないでしょ。それに、覚えてないってことはその程度だったということよ。」
予感が確信に変わる。
やっぱり……こいつは……
霧の森は広い。数百人を入れ、更にそこから全員が個々で行動できるサイズ感。
だからそのまま逃げるという選択肢は存在しない。
アイツはずっと剣を飛ばしてきているだけ。
棒立ちで、片手をポケットの中に入れている。
ならば、その足元を掬ってやろうじゃないか。
そう思った俺はそこら辺の木に刺さっているナイフを持ち瑠姫に向ける。
「……はぁ?そのナイフ一つで何が出来るの?」
「お前を倒せる」
「……怒らせるのが本当に上手ね、貴方。」
今度は俺の頭上のみならず、真後ろや左右……
つまりは全方位囲まれたのである。
絶体絶命……だからこそ、違いがわかる
俺は、目の前で高飛車な態度を取っている瑠姫にこう告げた。
「瑠姫じゃないな?」
「…………は?」
顔から笑顔が消えていく瑠姫の顔を見て、してやったぜ。という気持ちが湧いてきた。




