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戦常論  作者: 故に我等人間もどきであり。
ありふれている異世界について
2/8

異世界転生

そうして……俺は目を覚ます。

確かに、知っている文明、及び建造物が無くなっていた。

……いや、これは進みすぎてるな。

空は車のようなものが飛んでいるし、海には変な大きな機械が水を汲んでは捨てるという一見意味の無い行為₍どうやらソレで電気を作っているらしい₎をしているものがあった。


……一旦、俺の新たな家族₍意味深₎を紹介しよう。

何が₍意味深₎だ。変な意味に見えるだろうが。

まぁ良い。俺には一人、妹に『紅芽(くれは)』がいる。関係は、兄と妹。ただ、それだけだ。

親は母に父が敷かれている感じが近い関係性だ。だが互いに相手を悪く思ってない、いわばWIN×WINの関係なのだ。

そして俺にはもう一人、家族のようなモノが居る。


〔……ねぇ、紫遠。これって何?〕


手に俺も知らない変な魔道具を持ちながらそう聞くのは『クロ』。

この世界に転生してきた時に憑いてきた変な奴だ。

ずーっと幽霊のように浮遊しながら付いてくる。

そのせいで変に目立つと思っていたのだが、どうやら憑いている本人にしか姿も声も見えないし聞こえないらしい。

『クロ』という名前については、確実に本名じゃないが呼びやすい且つわかりやすいので俺は許容した。


「知らねぇ。俺がわかるわけないだろ。」


前述の通り、俺は魔道具には疎い。

俺が使えるのはナイフと「異能」だけだ。


すると、クロは明らかに不満そうな顔をしながら


〔……紫遠なら分解して確認できると思ったのに〕

「生憎だが、僕の異能は分解じゃない。諦めて捨ててこい。というか何処から持ってきた、ソレ。」


どう見ても禁忌系だ。まさか、とは思うがあの『禁物庫』から出すわけが――


〔……禁物庫から、ちょーっとだけ……〕

「今すぐに返してこい!」


と、俺は腹の底、いや心の底から叫ぶのだった。





今、俺は庭に移動している。何故なら我が妹、紅芽に呼ばれたからだ。


〔ねぇねぇ、これから何が起こるの?〕


そう、クロに問われるが俺自身、何で呼ばれたのかすらわからなかった。

そうして庭に辿り着く。

そして、紅芽は開口一番に、


「……おっそい。」


……と普通に悪態をついた。


「これでも全力で来たんだがな……」

「でも、走ってきてすらない。」


うん、それはそうだ。わざわざ庭に来るのにダッシュで来る奴なんていないだろう。


「……それで?何の用だ?」


わざわざ俺を呼んだ理由を答えて貰おうか。


「あのね……実はね……」


そう言い、隠していた銃を取り出し、俺に照準を合わせる紅芽。

そうして、紅芽は迷わずその引き金を引いて――


バン、と大きな音が鳴り響いた。






俺は12の夏、あっちで使ってた能力――こっちでは『異能』と呼ぶらしい――を取り戻した。

でもどうやら俺は異質なようだ。言うには、


「後から異能を得た人間には絶対に起きないことが起きてる」


だ、そうだ。

事実、俺は前世で産まれたときからこの力は持っていた。

だから力を引き継ぐのは当然であって、何も不思議なことではないのだが。

そんなことを知る由もない人間達は慌てふためいている。


見てて実に滑稽で面白い。



閑話休題。


周りはよく言う。俺の異能は汎用性がありすぎる、と。


基本的にこの世界には『異能』と呼ばれる非現実的な力が存在している。

産まれた時、またはその人の人生に足りない何かを補う様に世界が補助する物、という認識らしい。


その中でも、異能力者達は『先天型能力者』と『後天型能力者』に分けられる。


先天型能力者は能力は簡素な物が多いが、その代わり既に場馴れしている場合が多い。理由なら簡単だ。後天型能力者よりも異能を手にするのが早いからだ。

逆に後天型能力者は能力が複雑かつ制限が厳しい。だが莫大な力を得ることが出来るものが多い。これに関しては理由がわからないが、そういうものなのだ。


……と、ここまでつらつらと言い並べてきたがそういうことだ。

つまりは、後天型能力者は派手な攻撃の代わりにそれ一点しか出来ないパターンが多いのだ。


その点、俺は無限に手段が増やせる。後天型能力者なのに、先天型能力者にも匹敵するほど手数を増やせる。


……ここまで俺の異能について言ったが、俺は今能力を発動しちゃいない。

じゃあ、何故今話せているかって?

安心してほしい。今回のこれは走馬灯ではなく――






目の前でその弾丸が止まる。

その時、鈍い音が響く。こういう時はキン、という擬音が定番のような感覚がするが、今はグチャ、という擬音の方が正しい気がした。


「……本当に、何なの。その異能。」


「……さぁ?」


今、俺の目の前には黒く淀んだ泥のような何かで作られたバリアがあった。

勿論、これは俺自身の力じゃなく――


〔殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺〕


上で物凄い死怨を漂わせているクロの方だ。

大丈夫だ、クロ。落ち着いてくれ。俺は怪我一つしちゃいない。


心の中でそう呟く。俺に憑いているクロにはこれで伝わるのだ。


〔フーッ…フー…ハァ、君がそう言うなら。〕


そう。恐らくだが……クロの異能は『影呪(ヘカーテ)』。

言葉通り、影を操作したり呪ったりする力……な気がする。


「……ハァ。折角不意打ちしたのに……」


そう少し頬を膨らませる紅芽に鼻で笑い飛ばし、


「不意打ち程度じゃ、俺は殺せないぞ?」


10割クロの力だけどな。

自分で言っといてなんだが、少し傷心してしまう。

と言うよりも、だ。


「なんやかんやで曖昧なままにしてたが…実際問題、何で俺を呼んだんだ?」


紅芽は少し顔を俯かせて、


「……そろそろ、学園に行かなきゃいけない年齢でしょ?アンタ。」

「!……そうだな。」


そうなのだ。俺はそろそろ15。この世界ではこの年齢から能力学園へ行かなくてはいけない。

でも、それがどうしたというのだろう。


「あの…その……」


急に目の前でモジモジし始める。そうして一息ついて、


「…ちょっとだけ、寂しくなっちゃった…なんて」


と、超小声で言った。そのせいでその声が俺に届くことが無く――


「え?なんだって?」


と聞き直すと、元々赤くなっていた顔を更に真っ赤にして、


「うっさい!サッサと出かける準備をして出てけバカ兄貴ーーー!」

「グハァッ!?」


と、俺の心臓目掛けてパンチを繰り出して何処かに逃げて行ってしまった。


「俺…何かしちゃったのか……?」


〔……〕


クロもなぜか紅芽を憐れむ目をしていた。


……本当に、何をしてしまったのだろうか。


俺は一日中考えても答えは出ず、徹夜してしまったのだった。

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