1. 私、異世界に来た?
「これは私の初めての小説です。不足している点がありましたら、ぜひご指摘ください。よろしくお願いします。」
意識が徐々に戻るにつれ、アイガアは周囲の環境を感じ始めた。
自宅とは違う柔らかなベッド、空気に漂う心地よい香り。少女はゆっくりと目を開け、目に映ったのは見知らぬ天井だった。華麗な天蓋、そして薄いカーテンを通して差し込む柔らかな日差しが彼女の顔を照らしていた。
「んん……」
少女はベッドから体を起こし、伸びをしながら目をこすった。そして部屋を見回し始めた。
(この見知らぬ部屋……まるで西洋風の装飾ね。天井には豪華なレリーフ、壁には美しい彫刻、家具も精巧で……しかも部屋が広い!私の家全体より大きいじゃない!)
アイガアは豪華で広々とした寝室を見渡し、感嘆の声を漏らした。
彼女は窓の外に目を向けた。外は灰色がかった空に大雪が降りしきり、時折、ゲームやアニメで見たようなドラゴンが窓の前を飛び交っていた。
(待って、この展開……異世界転生じゃない?私がよく読んでいたライトノベルやアニメみたいに、すごくお馴染みの展開だわ!異世界に来た以上、まずやるべきことは、自分の記憶を整理して、何が起こったのかを確認することよね。)
そう考えたアイガアは顎に手を当て、まるで学者のように考え込む仕草をした。
(まず、私は日本の東京に住む中学三年生、星名アイガア(星名愛歌亜)。夏休み前日、学校から帰る途中で、居眠り運転のトラックに赤信号を無視して突っ込まれて……)
「ギィーッ」
突然の扉の開く音に、アイガアの思考は遮られた。
「こんにちは、お姫様。」
扉の外から現れたのは金髪のツインテールをした若いメイドだった。彼女は恭しくアイガアに挨拶した。
「お姫様のご体調はいかがですか?頭痛やめまいはございませんか?」
メイドは心配そうに尋ねた。
「えっと、大丈夫だよ。でも、あなた誰だっけ?」
アイガアはそう聞きながら、メイド服を着た金髪の美少女をじっと見つめた。どこかで見覚えがあるような気がするが、どこで見たのか思い出せなかった。
メイドは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに自己紹介を始めた。
「私はお姫様専属の侍女、ユタです。お姫様の日常生活をお手伝いさせていただいております。」
「あ、そうなんだ。じゃあこれからよろしくね、ユタさん!」
アイガアは明るい笑顔で答えた。
「それでは、私が身支度をお手伝いした後、食堂へご案内します。陛下と王妃様が食堂でお待ちです。」
「え、ええ。」
状況がよく分からないまま、他人の指示に従うのが賢明だとアイガアは考えた。
アイガアはユタに連れられ、姿見の前へ向かった。鏡に映ったのは、一人の可愛らしい美少女だった。陶器の人形のような小さな顔、細部まで整った美しい顔立ち、紫の星空のように輝く大きな瞳、桜色の唇、真珠のように艶めくグレープフルーツ色の髪。そして、均整の取れた体型に細い手足、同年代の子より少し豊かな胸部。
(これ、母親譲りの遺伝子って罪深いわ~。)
鏡を見ながらアイガアは自分の姿に呆然とした。
「こんな美少女に求婚できないなんて、人生最大の後悔だわ!なんでって?だって、この超越した天使のような美貌を持つ美少女、それが私だからよ!あっはっはっはっはっ!」
アイガアは鏡に向かって自惚れた言葉を口にした。
ユタはアイガアに可愛らしい西洋風のドレスを着せ、髪を整えた後、彼女を食堂へと案内した。
(どうやら、私は「前世」と同じ顔をしたお姫様の身体に憑依したみたいね~。へへへ~。)
アイガアはぼんやりと笑った。
食堂の扉にたどり着くまで、ユタはアイガアを長い廊下や迷路のようなゴシック様式の城内へと連れて行った。
「ここ、大きいしちょっと怖い……まるで中世ヨーロッパを舞台にしたホラーゲームみたい……。」
アイガアは小声で呟いた。
大きな扉が自動的に開き、目の前に広がったのは明るく広々とした食堂だった。高い天井にはクリスタルのシャンデリアが輝き、部屋全体を照らしていた。
中央にある長テーブルには温かい料理が並べられていたが、見た目はどこか和風の家庭料理に近いようだった。
そして、アイガアはテーブルに座る二人に目を向けた。テーブルの端、家主の座に座っていたのは、黒髪で角を持つ若い男性だった。
「小アイ、お前の具合もだいぶ良くなったようだな。料理が冷めないうちに席について食べなさい。」
親しげな口調で話しかけたのは、その隣に座っていた優しげで美しい女性だった。桜色の大きなウェーブのかかった髪、白く透き通った肌、紫水晶のように輝く目、そして真っ白な巨乳を持つ女性。
「え?お母さん?なんでここにいるの?」
アイガアは驚いて声を上げた。目の前の女性は、「前世」の母親と瓜二つだった。
女性は驚いた様子で問いかけた。
「え?私がここにいるのがそんなにおかしい?それに“前世”ってどういう意味?もしかして、水土不良の症状に精神的な問題も含まれているのかしら?」
「で……ここはどこ?私たちはどうしてここにいるの?」
アイガアは信じられないという表情で問いかけた。
「ここは私たちの新しい家よ。昨日、日本の東京からここに引っ越してきたばかりなの。でも、その前に、まずは座ってしっかり食事をして、頭をはっきりさせたらどう?」
アイガアの母親は穏やかに答えた。
アイガアは椅子を引いて座ったが、テーブルが彼女には少し高かった。そのため、ユタは厚いクッションをアイガアの座る椅子に敷いた。
「粥を作っておいたから、消化に良いものを食べて水土不良を早く治しましょう。」
アイガアはスプーンを手に取り、湯気を立てる粥を少しずつ口に運びながら、数日前に何が起こったのかを思い返し始めた。