感情のない殺し屋が猫に話しかける
俺は感情のない殺し屋リカルド。
人を殺しても何とも思わない氷の男。
今日も依頼のメールが来た。
黒装束に黒手袋。俺の仕事着だ。
「……俺には感情がない」
俺はソファでくつろいでいる。俺の唯一の家族。黒猫のラスカルに話しかけた。
ふっ。ラスカルは俺並に感情のないクールな猫だ。
話しかけても仕方がな……
「お前は優しい男だよ。リカルド」
おや?今日のラスカルは機嫌がいいようだな。いつもは撫でようが風呂に容れようが鳴きもしないくせに。
「知ってるぜ。お前は悪人しか殺さない。それに報酬は全て施設に寄付しているだろ」
「……」
ラスカルには全部バレていたか。その通りだ。
「自分と同じような孤独な思いを子供たちにさせたくないんだろう?俺には隠すな相棒。お前は感情のないロボットじゃない。優しくて暖かい男さ」
ラスカルはそう言って目を閉じて腰を落とした。
もう何も話すことは無いって感じだ。
暫くすると寝息が聴こえてきた。
ラスカルは鼻ちょうちんを膨らませたりしぼませながら寝ている。
「……行ってくる」
拳銃を隠したアタッシュケースを持って玄関から外に出た。
そして泣きながらおしっこを漏らした。
・
「猫が喋ったーー!」
俺は感情のない男。リカルド。