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サメ・ファンタジー~混沌異世界サメVS混沌生物! 建築物も、クトゥルフも、ペンライトも、彼の前では全てサメになる!~  作者: リリーキッチン
第三章三節 アリゲーター・オブ・ザ・カジノ〜イン・ザ・シャーク〜
112/129

第99鮫 鮫國無双

***

SIDE:螃蟹飯炒(カニ ハンチャン)

***


 翌朝、皆でホテルの外に集まり、それぞれチームを分けて街の探索を始めた。

 まず、ガレオス・サメオスの3人と鯱崎三兄弟は王城へ向かい女王が本当に黒幕なのかを突き止めに。


「キャビアが待っておる、楽しみじゃな」

「お前、本当にすげぇよ」

「でも、私もサメの卵の塩漬けってのは食べてみたいのよね」

「はいはい、そうですか」

「鮫沢と組むのは気に食わんが、今は街ごとワニで支配してしまう黒幕が許せんシャチ、背に腹はかえらないシャチね」

「黒幕を倒したら速攻で喧嘩を売ってやるからなオルカ!」

「いやぁ、ガレオス・サメオスの皆さんと遠慮のない殺し合いをする日が楽しみですね」


 ……仲良くしているが、昨日は鮫沢が鯱崎兄弟の2人と同室だったせいで結局喧嘩が発生し、それを止めに入るので本当に大変だった。あまり思い出したくはない。

 アノマーノは、元々の過労具合から考えて最適な立ち位置につけたような気がする。

 そして、残った〈螃蟹勇者団カニ・ヨンジェアトゥアン〉とアノマーノのチームにより、富裕層区の探索を行うことになった。

 といっても、レールとタイラーは2人でオルカ・クラブの警護に向かい、他の組織員も何かしら王都中で動いている。

 実質的に、ついてこれるのはよりにもよってショウコー・エビデンスキーだけのようだ。


「やっぱりお前と一緒デスカー」

「釣れないなぁマスター」

「よくわからぬ3人での行動となるが、よろしく頼むぞ」



***


 大所帯だったサメバカシャチバカなどの集まりはそれぞれ自分達の進路を歩み散開した。

 現在、〈螃蟹勇者団カニ・ヨンジェアトゥアン〉&魔王チームは一般市民区と富裕層区の境界線にいる。


「で、ここから先に何があるかとか伝達は来てるんデスカー?」

「そうだな、例えば」

「例えば、なんなのだ?」


 ここへ来てみれば、ショウコーはいきなり含みのある言い方を始める。

 なんというか、嫌な予感だけが脳裏をよぎる。


「ワニの質が一般市民区より高く、駆除が全然進んでないってことは間違いない」


 その言葉と共に、街の到る施設のドアがガチャンと空いた。

 すると、そこからは有象無象の長い鉤爪を光らすアメリカワニ! 背中の鱗が刃のように伸びるハリネズミ型のキューバワニ! 昆虫のような羽根を生やし空を舞うミシシッピワニ! 全長5mはある超大型のナイルワニ!

 それぞれ10匹ずつ、合計40匹の数をなして襲いかかってきたのだ!


「この街に呼んだ組織員が半数はワニになったと聞いていたが、もしやあれが原因なのだ?」

「そういうことだ。正直戻りたくなかったよ」

「フ〇ッキ〇グアリゲーター!」


 しかし、襲いかかられたのなら反撃するしかない。


「しかし、1割程度しか実力を出せない余でどうにかなるものか」


 未だ魔法を使えず本調子ではないアノマーノがどこまで戦えるかも不安だ。いや、それでも1割であのレベルなのか、その上で手加減無しなのだろうが、サラムトロスの英雄は桁違いすぎる。


「それに、制空権まで取られると飛行魔法を失った余としては不利であるが、ダメだったらダメだったでその時なのだ!」


 サメを象った2つの斧を握り、彼女は敵の前に飛び込んでいった。


「ええいマッマー! 今のショウコーはそこまで強くないので1人じゃ不安デスシー、あれをやったるデース!」


 ならこちらも負けてはいられない。

 今不安なのはショウコーで、組織員になった日からシャコ武器を全て廃棄したことで特に攻撃面が他より劣る。

 だが、戦力として切り捨てるのはもったいない。

 なので、この手段に出るまで。


「ドッキングシステム発動!」

「な、なんだ!?」


 体が1度ヒト種等身大の丸っこいサワガニへと変形! そして全身が光り輝く!

 そうすると、次は体がバラバラに分解され、浮遊しながらショウコーの両腕に全身のパーツが密集!

 ぐちゃぐちゃと形を整えながらその姿を現す!


「カニグローブデース!」


 そう、サワガニの右半身がそのまま右腕を覆い、同時左半身は左腕を覆う!

 それこそまるでカニそのままなグローブ! ボクサースタイルのショウコーにとってこれ以上にない武器だ!


「なるほど、マスターが武器になってくれる訳か!」

「そういうこった! 人格も武侠モードにしておいだぜ!」

「OK、なんとなくこの方が息を合わせやすい!」


 襲いかかるは飛翔するミシシッピワニ! B級映画のテンションで制空権を奪い1匹1匹高度を落としながら噛み付こうとする姿はまるでサメのようだが、こちらはカニだ。応戦するまで。

 肉薄された瞬間、ショウコーはしゃがんだ。

 それにより噛みつきも回避したが、当然それだけではない。


「思ったより馴染むねぇ!」


 しゃがみにより背中に潜り込んだショウコーは、立ち上がると同時に飛び上がり、飛翔するミシシッピワニの腹部に向かってアッパーカットを炸裂させる!


「ギャオオオオン!」

「まずは1匹! これが後39匹もいるのは骨が折れる」

「ああん? じゃあ俺という拳を使いこなしやがれ」

「そういうことか、了解だマスター!」


 アッパーカットの炸裂により、死亡と同時に中に浮き上がっているミシシッピワニを壁にしながら、空中に向けて両腕を前に伸ばすショウコー。

 彼は両腕のサワガニを連結し、その姿を完璧なものへと完成させた。


「ミサイルパーティークラブ!」

「そういう技名なのか」


 そのサワガニの甲羅がパカッと開くと、その中には大量のミサイルが内蔵されていた。

 ハンチャンサイドで操作権を持つソレは、飛翔するミシシッピワニ4匹、鉤爪を構えこちらへ飛び上がってきたアメリカワニ5匹に向けて発射される!


「綺麗な花火だねぇ」

「感心してる場合か! これはリチャージに52秒かかるんだぞ」

「ヘイヘイ、コツは掴んだから、あとはショウコー無双と行かせてもらうぜ!」


 着弾したワニは全て体ごと吹き飛び死したが。まだまだ敵は残る。

 アノマーノに半分任されているとしても20匹はいる、ショウコーもまた噛まれれば即死な状況でどう立ち回るのか見ものだ。


「はっ! せっ! てやぁ!」


 そこで彼が見せたのは、圧倒的脚力でワニ軍団を踏んずけながら飛び上がる行動だった。

 正直ひやひやするが、確実に背中が刃になっているハリネズミ型キューバワニを避けて行っている。

 そのまま勢いづけて5mは飛び上がっているショウコーは、奥に3匹で固まったナイルワニに狙いをつける。


「あるだろ、必殺のパンチ技ってのも」

「あいよ、5秒で決めろよ。ツメデケンカ!」


 これは、パンチと同時に大きなエネルギーを一定時間打ち付ける必殺機能だ。

 そして、そのうちの1匹に向けて落下と共に右ストレートが放たれる。


「1!」


 吹き飛びながら全身が四散していく巨大ナイルワニ!


「2!」


 更に、地面に着地すると同時に左フックを目玉に向けて放つ! ワニなので縦の大きさは2m程、182cmの背を持つショウコーの拳は少し伸ばした程度でもしっかり狙い通り命中するのだ!

 目を抉られたナイルワニは内蔵にまで拳の衝撃が伝わり内蔵が破裂していき即死!


「3、4、5!」


 だが、ショウコーの攻撃は終わらない。

 最後は、即死したナイルワニを両足で蹴ってスピードをつけながら最後の1匹の横腹を狙った拳をぶつける!


「丁度5秒だ。あとは数匹、勢いでやれるな」

「中々の実力……というより身体能力なら組織員最強かもしれないな、お前」

「お褒めに預かり光栄だマスター」


 一方アノマーノはというと。


「この手を使う時は追い詰められている証拠、得策でこそあるが、プライドは傷つくのだぞ!」


 斧を握る両手を広げながら、足を捻り始める。


「魔神覇者斧技・扇風斬!」


 そして、巧みな素早き足さばきで全身を回転させ始めると、それは人柱による竜巻となった!

 それは、一斉に畳み掛けてくる鉤爪のアメリカワニにバク転しながら突撃するキューバワニと飛翔しながら落下攻撃を狙うミシシッピワニ達による集中砲火状態に対して、全てを斧と竜巻の勢いで引き裂いてミンチへと変えていくのだ!


「やはり目が回り滑稽な姿になるが、こればかりは仕方ない、ワニにはなりたくないからな」


 一瞬にして飛び込んだ先のワニの軍団を殲滅すると、その奥にいた巨大ナイルワニが5匹同時に襲いかかる!

 が、その動きを読んだアノマーノは回転を止めて背中に背負っていた突撃槍に装備を切り替えると、それをあえて地面に突きつけながら回転機能を作動し、ドリルを持つモグラのように地中へと一瞬で潜った。

 相手も素早く飛び込んで行ったが、触れる直前には既に移動が完了しており、回避に成功。

 そして、地面を上へと掘り進めて飛び上がると、腹の下から心臓を確実に狙いまずは1匹に刺突する!

 その一撃は、巨大ナイルワニを即死させるに十分なモノ!


「よし、アドリブだけで行動しているが、この技も行けるのだ!」


 そこから先は、まさに蹂躙だ。

 また潜っては1匹の心臓を確実に狙って飛び上がっては刺突、そしてまた潜っては飛び上がって刺突を繰り返す。

 その姿は、逆モグラ叩きともいえる何か!

 彼女を狙った巨大ナイルワニ5匹は一瞬にして全滅したのだ!

 しかも、この快進撃は終わらない。


「うおおおお、待ってくれええええ!」


 残りの敵はあと巨大ナイルワニ2匹のみ、そんな中で、後ろからある人物がこちらへ向かって走っていた。

 彼こそはボブ、ハンバーガー屋のコックだ。

 おそらくは寝過ごしてあとからつい来たのだろう。


「ハッハァー! ワニ共、料理してやるよ!」


 彼はそう言いながら包丁を投擲すると、距離の離れた場所にいる1匹の鼻穴に突き刺した。


「ボブクッキング・加熱!」


 すると、包丁は大きく燃え上がり、巨大ナイルワニは悶えた。


「まだまだ、ボブクッキング・ミンチ!」


 ボブの攻撃はまだまだ続く。

 両手にフライパンを装備すると、その場からもう1匹のナイルワニに向かって飛び上がると、2つの鼻穴を叩きつける!


「ギャオオオオン!!!」

「怯ませたぜ、トドメは任せた!」

「お、おう!」


 なるほど、やはり彼はただのコック、火力不足ではあるか。

 だが、今は安全に攻撃できることも重要だ、その活躍に免じよう。


「せー、の!」


 ショウコーはふたつの拳を同時に振るい、鼻に受けたダメージにより密接していた2匹の巨大ナイルワニを同時に吹き飛ばした。

 その一撃で完全に粉砕だ!


「小賢しい奴らめ、消えるのだ!」


 残った小粒のワニ達も、アノマーノが殲滅してくれた。

 つまり、目の前の火の粉は振り払われたのだ。

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