↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/103

53

 ログアウトした私はベッドに腰掛けた状態である問題に直面していた。


「私がお姉ちゃんと一緒に寝るからシュティは下で寝て!」


「ルナはいつでも一緒に寝られるのですから、数日私が一緒に寝たって良いじゃないですか」


 そう、何故か私と一緒に寝ると言って2人に腕を取られているのだ。

 最初は遺跡の事とかで盛り上がってたんだけどね。

 寝る場所の話になったときに今の事態になってしまった。

 嫌じゃないんだけど、どうしてこうなってしまったんだろう。

 言い争ってる2人は次第に私の腕を引く力が強くなってる。

 私が3人で寝れば良いじゃないって言ったら、何故か2人に責められるという事態になって取り消した。

 部屋の天井を眺めながら早く終わらないかなぁと思っていると。

 私の部屋は扉がちょっと開いた状態にしてあるから二人の声が聞こえたのだろう。

 母さんが扉を開けて入ってくる。


「アンタ達うるさすぎ。何時だと思ってるの!」


 そう言われて二人がびっくりしたのが腕を通して伝わってくる。


「ち、違うんだよ…。お姉ちゃんと一緒にどっちが寝るかを話し合ってただけで…」


「うるさくしてすみませんでした。でも今三人で寝ようと…、そうですよね?」


「う、うん」


 母さんはそんな2人を怪訝そうにじろじろと見る。

 そして良い事思いついたとばかりに笑みを浮かべる。


「揉め事の原因は取り除いておいた方が良いわよね。楓さーん、ちょっと来てー」


 母さんが呼ぶとパタパタとスリッパを鳴らして楓さんが入り口まで来る。


「お呼びでしょうか?」


「私の部屋まで雪菜を運んで欲しいの」


「承知しました。失礼します」


 そう言うと楓さんはチョップで2人の手を剥がす。

 何でチョップ!?


「ぁ痛っ」


 那月は直撃したみたいだけど、蓮花ちゃんは手を放し避けたみたい。

 そして何もなかったかのように私を横抱きにして部屋を出る楓さん。

 後ろから2人の不満そうな声が聞こえる。

 しかしそれも母さんの声がしたかと思うと静かになった。

 母さんの部屋に敷かれた布団の上に寝かされる。

 身体を起こして部屋を見渡す。

 最後にこの部屋に来たのはいつだっただろうか。

 唯一の和室で畳敷きになっている。

 母さんは父さんと一緒に寝ていたから2人の私物がある。

 処分したモノもあるんだろうけど、父さんの私物が今もあって懐かしい気持ちになった。

 私が周りを見ていると母さんが戻ってきた。

 母さんは持ってきた布団を隣に敷いてから、背もたれ代わりのクッションを渡してくれる。


「ちょっと待ってなさい」


 そう言うとミニテーブルを取りだしてきて私の前に置く。

 そのまま部屋を出て行ってしまった。

 戻ってきた母さんは缶チューハイを2本持って戻ってきた。

 楓さんはつまみを運んできてくれたみたいで、ミニテーブルに置いて部屋を出て行った。


「飲みたがってたから、1本だけね」


「母さんありがとう!」


 お礼を言って早速開ける。

 同じく開けた母さんが缶をこっちに向けてきていたので乾杯をする。


「ん~、久しぶりだけど美味しい…」


 つまみを食べつつゆっくり飲んでいく。

 母さんは何も言わずに缶を傾ける。


「そういえば2人には何て言ったの?」


「ゲームでもやってればいいでしょって言ったら渋々と機器着けてたわよ」


「ふーん。じゃあ何で私を部屋に連れてきたの?」


「そりゃ決まってるじゃない。その方があの子達の反応が面白そうだったからよ」


 そう言った母さんは満面の笑みだった。

 そうだよね、何となくそんな気はしてたよ。

 しばらくして表情が戻ると部屋の奥を見ているようだ。

 視線を追うとそこには父さんの遺影があった。


「あの人はアンタとお酒飲むの楽しみにしてたからね。せっかくだし代わりに一緒に飲もうと思ったのよね」


 そう言って母さんは私の方を見て微笑んだ。

 私も釣られて笑い眠くなるまで話をして過ごした。





 朝起きると見慣れない天井があった。

 そういえば昨日は母さんの部屋で寝たんだった。

 そう思って身体を起こす。

 這って移動するのもどうかと思っていると襖が開いて母さんが顔を覗かせた。


「雪菜起きたの。楓さん、この子の面倒見て貰っても良い?」


「お任せください」


 私はまたも横抱きにされて運ばれた。

 もう抵抗が無駄なのがわかってるのでされるがままだ。

 顔を洗ったり朝の支度を手伝って貰い車椅子に乗せて貰った私はリビングで髪をとかれている。

 母さんは朝食の準備に戻っている。

 2人はまだ起きてくる様子はなさそうだった。

 朝食ができてもまだ起きて来なかったので母さんがメールを送ってみる。

 しばらくすると2人は起きてきた。

 那月は眠そうに目を擦りながら挨拶をする。

 蓮花ちゃんはそんなに眠そうには見えなかった。

 挨拶をすると2人は席について食事を始める。


「お姉ちゃんは母さんと何してたの?」


「普通に話をして寝ただけだよ」


 那月に聞かれてちょっと目をそらしながらそう答える。

 母さんは気にした素振りをみせず食事を進めている。

 お酒を飲んだのは何か言われそうなので黙っておく。


「そう言う2人はずっとゲームしてたの?」


「決まってるじゃない。メールしてくるまで起きてこなかったんだから」


 私が質問するも母さんが先に答える。

 那月は誤魔化すように笑っている。


「何か面白い事でもあった?」


 私が聞くと那月が嬉しそうに答えてくれる。


「1時ぐらいまでゲーム内で寝てそれから情報収集したんだよ」


「掃除やら駆除も飽きてきた人が多いんだと思いますけど。街はプレイヤーの露店が増えていましたね」


 2人はまだ薄暗い時間だったけど酒場に行ってみると多くのプレイヤーがいたそうだ。

 露店は行く途中にちょこっと見て回ったみたい。

 酒場で情報収集って言うとマスターに聞いたり聞き耳立てたりしたのかと思ったけど。


「いやー、気のいい人達が多くてねー」


 那月がそう言ったのは食事したり飲んでる人の所に行って一緒になって騒いでたんだって。

 こういう時は那月が凄いと思える。

 前に酒場に行ったときは好奇の目を向けられるから早く出たいという気持ちの方が強かったんだよね。

 食事は美味しかったけど自分から行く勇気は無いよ。

 そこで話題になってたのは職人ギルドの話だそうだ。

 私はギルドは冒険者ギルドしか行った事無かったけど島には商業ギルド、職人ギルドもあるんだそうだ。

 商業ギルドと職人ギルドがちょっとかぶってる気がしたけど物を売ったりするには職人ギルドにも登録する必要があるんだそうだ。

 職人ギルドは主に技術を習ったり磨いたりするのがメインになるんだそう。

 できたモノは売る事ができるけど職人ギルドに預けてそれを買って行った商人が客へ売るみたい。

 金額は職人ギルドと話し合って最低金額を決めて商人が買うとお金が入るんだそうだ。

 それが嫌な人は商人ギルドにも登録して直接自分で取引するんだそう。

 あくまで売ったりするのが面倒な人が利用するんだとか。

 その職人ギルドの話題というのが大掃除前までに武器や防具などのコンテストのようなモノがあったのだそう。

 そこで良い成績を収めた人達の話を聞いたらしくて、今やってる大掃除で貰えるポイントの景品に自分たちが作った装備が並ぶかもしれないんだって。


「そこで聞いた話だと、作品の中に魔道具が数点含まれていたそうなんです。それが小さな宝石のようなモノがついた指輪だったそうです」


「それって…」


 蓮花ちゃんの言った事を聞いたときに浮かべたのはサロユさんに頼まれて小さな魔石に刻印したモノだ。

 那月は肯定するかのように口をもごもごと動かしながらも首をこくこくと縦に振っている。

 その様子を母さんに怒られていた。


「魔法陣が中にある指輪と言っていたので雪菜さんが加工したモノだと思います」


 やっぱりあってたみたい。

 でもアレが景品かー。

 私は別に欲しくはないかなぁ…。

 そんな事を思っていると蓮花ちゃんが聞いてきてくれた他の景品を教えてくれた。

 武器や防具、魔道具以外にも服やアクセサリー。食べ物に苗まであるらしい。

 食べ物に関しては乾物が中心だったとか。

 苗は色々種類があったらしい。

 私が選ぶとすれば苗とか乾物かな。

 それからはラギさん達に誘われて戦闘をしに行ってたらしい。


「遺跡の奥がね。許可が下りてる人達に開放されたんだよ」


 那月が嬉しそうにそんな事を言う。

 遺跡の奥というと私達が見つけた通路の先のようだ。

 今はきちんと結界が作動しており敵が抜けてくる事はないのだそうだ。

 先に出てくる敵は金属の私達が戦ったゴーレムではなくてゲームとかでよく見かける石や土で出来た人型のゴーレムだったそうだ。

 一度だけアイアンゴーレムが出てきたという話も上がっていてそれを知ったプレイヤーがギルドに沢山来ているらしい。

 けれど事前に許可が下りていない人達は入れて貰えないようで抗議してるらしいけどコレは冒険者ギルドの貢献度が関わってくるらしい。

 あの趣味の悪い人が入れるならみんなは入れそうだと思ったんだけど、抜けた2人がしっかりしてたからだそうで今はあの人達は入れなくなってるとか。

 入っても良いという話はラギさん達が残って交渉した結果だそう。

 残ってたのはそれが目的だったのかなと思うと感心した。


「ラギさん達あの時いたお姉さん達に食事に誘われたらしいよ」


「へー、行ったか聞いた?」


「ラギさんは行かなかったらしいけどボルグさんとリグさんは行ったみたいだったよ」


「そうなんだ」


 てっきり私はラギさんが一番行きそうな気がしたとは言えない。


「ラギさんが真っ先に行きそうなのにねー」


 那月も同じ思いだったみたいでそんな事を言っていた。


「そういえば球体ゴーレムですが、スキルを使えば普通に叩くよりもダメージが入れれたみたいですよ」


 蓮花ちゃんが思い出したようでそんな事を言った。


「何でわかったの?」


「ルガードさんの所で異人に協力して貰って色々調べてたみたいです。今後出たときのため斬撃、打撃、刺突どれが効くかなど残骸を使って実験とかしてたみたいでした」


「金属自体は何かまだわかってないみたいだけど。ゲームオリジナルの金属なんじゃないかってあった人は言ってたよ」


 そんな話をしながら私達は食事を終えた。

 その後休憩をしながら掲示板を見たりしてどうするか話し合う。

 しかし那月はご飯を食べて、寝不足だったからかうとうとし始めて寝てしまった。

 那月を楓さんに部屋で寝かせて貰ってから、私と蓮花ちゃんは一緒にゲームを立ち上げログインをした。

 特にやる事を決めてなかったからファエリを連れて冒険者ギルドに行くとルガードさんに捕まってしまった。

 何の用かと思ったら壁を掃除した宿が思ったよりも評判がよくなったようで、ギルドの壁も掃除してくれと言う話だった。

 冒険者ギルドは宿よりも大きいから妖精を前より多く連れて掃除したんだけど結局一日かかってしまった。

 その分報酬は出たから良いんだけどね。

 妖精達のケーキ代は別料金で交渉したから丸っとプラスだよ。

 母さんからのメールはまだだったけど私達は拠点に戻ってログアウトした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。