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ログアウトして目を覚ます。
身体が変わる違和感にも慣れたモノで機器を外していく。
外してから伸びをしたりしていると那月もログアウトしたようでのろのろと起き上がる。
伸びをしてヘッドセットを取り外すと私と目が合う。
まぁ、私は那月を見ていたからそれに気づいた感じだね。
口をもごもごと動かし何か言おうとするも言葉にできないようだった。
やっぱりまだ気にしてるみたい。
なので手を取り引っ張ると抵抗する事なく私の方に倒れてくる。
「あっ…」
胸に顔を埋める様にもたれかかる那月を抱きしめる。
驚いたようだけどおずおずと私の背中に手を回して抱きついてくる。
片手で那月の髪をといていく。
前にやってあげた時に嬉しそうにしていたからね。
しばらく無言でそうしていると顔を埋めたまま聞いてくる。
「今日も一緒に寝て良い?」
「良いよ」
そう言うと抱き付く力がちょっと弱くなる。
安心して力が抜けたのかな?
「那月、私がルガードさんに世界樹の話を聞いてた。それに写真の事を伝えて判断を仰ごうと行動したのも私。那月が反応しなくてもルガードさんには相談していたよ」
「うん…」
グリグリと顔を押しつけながら返事をしてくる。
頭を撫でながらどう言えば良いか迷う。
「だからさ、那月には気にしないで笑って一緒にいて欲しいな」
那月は笑ってると可愛いから笑っていて欲しいと思う。
それに落ち込んでると私まで気落ちしちゃうから何とかしてあげたい。
今回に関しては私に原因があると思うしね。
「迷惑じゃない…?」
「そんな事ないよ」
そう言ってぎゅっと抱きしめる。
「えへへ…」
顔を上げた那月は笑っていて安心する。
もう大丈夫かな?
「お姉ちゃん大好き」
「私も那月の事好きだよ」
そう言って頭を撫でてあげる。
すると私の方を見たまま固まっていた。
「那月…?おーい」
ペチペチと頬を叩いてみる。
するとがばっと抱きついてくる。
急だったので倒れそうになったけど私を引っ張りすぐに離れてくれた。
「トイレ」
トイレに行きたくなったようだ。
元気は出たみたいだし、良かったかな。
車椅子に移動するのだけ手伝ってくれるとすぐに部屋を出て行った。
リビングの方に行くと母さんがまだ起きていた。
「那月が嬉しそうに、トイレ駆け込んでたみたいだけど何かあったの?」
そう言いながらお酒を飲んでいた。
「私が好きって言ったからかな?」
「間違いなくそれね」
楽しそうに笑ってからコップの中身を飲む母さん。
テーブルにあるのは果実酒がベースのリキュールで時々飲んでたモノだ。
久しぶりに見ると飲みたくなった。
「珍しく飲んでるんだね。私にも頂戴」
「ダメ」
母さんが飲んでるのを殆ど見た事ない。
私が部屋に籠もってた時期が長かったかもしれないけどね。
「飲むと那月が寄ってこなくなるわよ」
「そうなの?」
「匂いがイヤなんだって」
那月の話していると洗面所から那月が出てくる。
「うわ、飲んでる」
「飲みたい?」
「いらない!」「飲みたい」
私と那月がそれぞれ別の返事をする。
すると私が言ったことに対して2人で却下された。
「ダメ!」「雪菜は白湯でも飲んでなさい」
むー、貰えそうにない。
那月がテーブルの所から放そうと車椅子引っ張るし諦めるかなぁ…。
この様子だと蜂蜜酒の存在はバレないようにしてこっそり飲んだ方がよさそう。
どんな味なのか楽しみだから早く飲みたいんだけどなぁ。
「アンタ達、明日はわかってるんでしょ?早く寝なさいよ」
「イベントだった!お姉ちゃん楽しみだね」
「イベントは楽しみだけど母さんが言ってるのは別のことだよ?」
「大掃除なんて忘れて朝からゲームやりたい」
「早く終わらせてやれば良いのよ」
そう言われて那月も諦めたのかやることやって寝ることにする。
ベッドに横になると那月が抱きついてくる。
「お姉ちゃんおやすみ」
「おやすみ」
挨拶をしてから、チラッと時計を見る。
落ちたのは22時半頃だったけど1時間ぐらいは経っていた。
時間も時間だからかすぐに眠気が強くなって眠りに落ちた。
カーテンから差し込む光で目を覚ます。
起き上がり見渡すけど那月の姿はなかった。
先に起きて部屋を出たみたい。
起こしてくれれば良いのに、なんて思いながら車椅子に乗る。
気づいたようで那月が扉から顔を出す。
「ぁ、お姉ちゃんおはよう!」
「おはよう、起こしてくれれば良かったのに」
「気持ちよさそうに寝てたんだもん」
そう言われてしまうと強く言えないな。
部屋に入ると私の後ろに回って押してくれる。
洗顔などを済ませてリビングに移動する。
朝食の準備は終わってたので3人で食事を取る。
「「「いただきます」」」
食べながらどこを掃除するか話している。
私は自分の部屋だけと言われた。
掃除と言うより私の場合使う物を手の届く位置に移動させておくという意味合いの方が強いかな。
ゲームを始めるまで気が向いたときに部屋の掃除をやったりしてたしね。
もう使わないのをこの際処分してしまっても良いかな。
そんな事を考えながら朝食をパクつく。
ちなみに2人はトイレと風呂場をどっちが掃除するか押しつけ合っていた。
私がやろうか聞いたら揃って却下された。
確かにお風呂は危ないかな。
最終的にはじゃんけんで決めることになり母さんが勝利していた。
「那月よろしくね」
「後で文句言わないでよ!?」
「何言ってるの。汚れてたら言うに決まってるじゃない」
「くそぅ…。ゲームの時間が!」
那月の大事なのはそこなんだね。
私は丁度決着が付いたときに食べ終わった。
「ごちそうさまでした」
ちなみに朝食だけど母さんだけ昨日の残りのお好み焼きを食べていた。
おつまみにして食べたのかと思ったけど取っておいたみたい。
私達はご飯と味噌汁にウインナーとスクランブルエッグ、納豆にサラダとお漬け物。
美味しいから食べてるけど退院したときよりお肉が付いてるのは気になるところ。
もうちょっと動いた方が良いんだろうなぁ…。
食事が終わったので部屋に戻って着替える。
出掛けれないからこういう所がちょっとルーズになってるし気をつけた方が良いんだけどね。
ちょっとだよ、うん。
さーて、片付けを始めますか。
とりあえず使ってないもの使わないだろう物を分けていく。
思ったよりも学生時代の服が残ってたけどサイズが合わなくなっていた。
破れてたりするわけじゃないから洋服は母さんに相談するかな?
掃除をする上で一番厄介なのは本だと思うんだよね。
何故なら気になってついつい読んでしまうから!
部屋にあるマンガは父さんがくれた物ばかりで影響があったかというとかなりあったと思う。
懐かしくてついつい読み始めてしまった。
とりあえず読み終わったら掃除の続きはやる。
と言うわけで次の巻っと…。
勉強机の本棚に置いてあるんだけど思ったより奥に置いてある。
ん~。
取ろうとするのに夢中で前のめりになっていく。
手が触れたと思ったその時だった。
ストッパー等はしてなかった為に車椅子が後ろに下がってしまった。
「あっ」
まずいと思ったときには手遅れで前のめりに転倒してしまう。
バタバタと廊下を走る音がする。
「雪菜!」「お姉ちゃん大丈夫!?」
「ちょっと転けちゃっただけだよ。心配かけてごめんなさい」
私がそう言うと母さんが近づいてくる。
怒られると思って座ったまま身を固くする。
しかしそうはならなかった。
「ホントにどこも打ってない?ほら手を出す」
そう言って私の手を取って確認する母さん。
「ごめんなさい」
「何を謝ってるの。雪菜が怪我してなければ良いのよ。それで何でそうなったの?」
そう言われて目をそらす。
だってマンガを読んでて取ろうとして転けましたなんて。
「多分だけどマンガ読んでて取ろうとしたんじゃないかな」
那月ー!
多分読んだのを積んであるのと机に残ってて取ろうとした痕跡があるマンガを見てそう言ったんだろう。
母さんの方をチラッと見ると冷たい視線が刺さる。
「那月」
「は、はい」
母さんが怒ってるのを声で察した那月はすぐに返事をする。
「アンタ、自分の部屋は終わってるのよね?」
「はい、終わってます!」
「よろしい、アンタはこのあんぽんたんとゲームやってなさい」
「え、でもトイレとお風呂まだだよ」
「やっておくわ。お昼できたら連絡するからそれまで戻ってこなくて良いから」
「わかった!」
母さんにそう言われて嬉しそうに部屋に機器をとりに行く那月。
「とりあえずこれは処分しちゃって良いのね?」
「はい…」
「他気になるところは?」
「手の届かない位置にあるのを何とかしたかったかなと…」
「わかったわ。やっといてあげるから那月と遊んでなさい」
「でも!」
前にいた母さんは私が言いかけると抱きしめてきた。
驚いて言葉を飲み込んでしまう。
「片付けなんて私でもできるから良いのよ。それよりも雪菜が怪我するかもしれないのが怖いのよ」
そう言ってぽんぽんと背中を叩かれる。
「お待たせ!」
「丁度良いわ。アンタ脚持ちなさい」
「はーい」
2人に運ばれてベッド移動させられる。
いつもは那月が奥に寝転がるけど今日は私が奥の窓側。
起きても降りられないようにだね。
「母さんごめん。お願いします」
そう言うとてをひらひらと振ってから部屋を出て行った。
「お姉ちゃんナイス」
「そう言う事言わないで…」
那月の言葉で精神的にダメージを受けた。
でも那月からしたらゲームをやれるようになって嬉しいのだろう。
諦めて機器を着けてゲームを立ち上げる。
「お姉ちゃんゲームで!」
「うん」
返事をしてログイン操作をした。




