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 宿の借りている部屋で保冷バッグの中だ。

 保冷バッグ内の氷を念力で操作して浮かす。

 それに合わせて上にいた私も浮き上がる。

 そのまま氷を水を入れておく桶の上に移動させる。

 ここなら氷が溶けても問題ない。


「シュティはログアウト中だね。ファエリは…」


 そう思ってシュティと契約した妖精を探し部屋を見渡す。

 シュティの枕元にファエリ用の寝床としての籠がありその中にいた。

 寝ているシュティとファエリが可愛いかったので思わず一枚。

 ルナの方を見る。

 何故か前はそんな事無かったのに寝ている周りに花があった。

 しかも胸の所で組んでいる。

 まるで亡くなった人みたいだという嫌な想像をして顔をしかめる。


「ふわぁ…。ぁ、ユキ様おはよー」


「おはよう…」


「あぁ、ルナの状態?何か寝る前に色々試してこれがネタになりそう!とか言ってたよ」


「そうなんだ…」


 ネタになるかもしれないけどちょっと質が悪い悪戯だよね。

 そういえば私達が動かない間ファエリは何してたんだろう。

 気になったので聞いてみる。


「シュティナがね、宿の女将さんに言って私が窓から自由に出入りして良いように交渉してくれたの。だから街を探検してたりしたんだよ」


 そう言って嬉しそうにしている。

 そういえば部屋の鍵って1つだよね。

 鍵は出かける前に女将さんに預けておくシステムになっている。

 部屋に誰かいたら他の人は出ても良いのかな?

 その辺わかんないなぁ…。

 ちょっと聞いてこようかな。


「ちょっと女将さんに確認したい事あるから行ってくるね」


「はーい。ぁ、窓から出ても大丈夫だって。後部屋の鍵は自動で掛かる様になってるから気にしなくて良いんだって。最後の人が出ようとした時は戸締まりの為に鍵を持ってないと出れない様になってるって言ってたよ!」


 説明を聞いてたらしいファエリが教えてくれた。

 氷生成を使おうとした私は固まってしまう。

 聞きに行こうとした事を全部言われてしまったからだ。

 でもそれならこのまま出かけてしまっても問題無さそう。


「そうなんだ、じゃ私はそのまま出かけてくるね」


「は~い、ユキ様お気を付けて~」


 氷生成で羽を広げた鳥の様な物を作る。

 小さめだけどそれを三体作って周りを飛ばせる。

 開いていた窓から外へ飛び出した。

 人の通行の邪魔にならない様屋根伝いに進んでいく。

 目的地は冒険者ギルドだ。

 扉は開けっ放しになっているので一人でも入る事が出来る。

 ただ人の出入りが多いから気をつけないとぶつかってしまいそう。

 入る人の後ろを飛んで中に入った。

 中に入ったらすぐに飛び上がって人とぶつからない高さに移動した。

 カウンターはまだ人が多くて空く気配がなかった。

 どうしようかな―。

 キョロキョロとギルド内を見回していると買い取りカウンターがある。

 ぁ、そういえば昨日の成果確認してないな。

 鑑定スキルを取ってアイテムも確認しておかないとだもんね。

 とりあえず休憩や作戦を立てたりすると思われるテーブルが置いてある方へ飛ぶ。

 ちょっと行儀が悪いけどテーブルの上に座ってメニューを表示する。

 まずはスキルから。


 スキル

 ・氷雪妖精→257

 ・氷属性魔法→131

 ・風属性魔法→32

 ・水属性魔法→0

 ・火属性魔法→0

 ・土属性魔法→32

 ・光属性魔法→0

 ・闇属性魔法→0

 ・付与魔法→0

 ・空きスロット

 控え

 なし

 パッシブスキル

 ・自動MP回復→142

 ・詠唱短縮→21

 ・魔力操作→0


 熟練度の上昇とボスを2種倒した初回報酬でポイントは20になっていた。

 とりあえず鑑定は欲しかったから取るとして…。

 鑑定スキルの必要ポイントは1かー、取得っと。

 余ってた空きスロットに鑑定をセット。


 スキル

 ・氷雪妖精

 ・氷属性魔法

 ・風属性魔法

 ・水属性魔法

 ・火属性魔法

 ・土属性魔法

 ・光属性魔法

 ・闇属性魔法

 ・付与魔法

 ・鑑定(new)

 控え

 なし

 パッシブスキル

 ・自動MP回復

 ・詠唱短縮

 ・魔力操作


 これでよしっと。

 とりあえず昨日手に入れた物から確認しないとね。

 スピアハニービーが持ち帰っていたオレンジ色の果実はオレモと言う様だ。

 匂いほど甘くは無いけど栄養価は高いみたい。

 他に取った果実は色々あるけど変わり種はベリー系かな?

 私達が取っただけでもブルーベリー、レッドベリー、イエローベリー、グリーンベリーの4種類。

 ブルーベリーは現実と同じと言う事がちょっと予想外だった。

 けど宿のメニューとかを見た感じ他の食材や調味料も名前は一緒のモノが結構あるらしい。

 宿で食べる時に私はメニューを見ていなかったから気づかなかったよ。

 と言っても調味料はないものが多いみたいだけどね。

 ゲーム産の他の3種は見た目こそブルーベリーと一緒だけど酸味や甘みの強弱が違うのは移動中に摘まんでたからわかってる。

 けど根本的な違いとして魔力を蓄えているみたい。

 私はベリー系以外の食べ物は一人で取るのが手間だったので必要分しか取ってきてなかったので残ってない。

 花もクエストで全部放出しちゃったんだよね。

 ちょっと失敗だったかな。

 

 ・アーマードセンチピードの甲殻

 ・アーマードセンチピードの毒

 ・スラッシュマンティスの鎌

 ・スラッシュマンティスの羽根

 ・☆魔動核

 ・操られた巨木の破片

 ・木人形のパーツ

 

 ドロップ品はこんな感じだった。

 鑑定して名前の前に☆が付いているのは希少品みたいでレア度が他の素材より1つ高い。

 確認のためにメープルベアの素材も鑑定して見た。

 ・メープルベアの毛皮

 ・メープルベアの肉

 ・メープルベアの掌

 ・メープルベアの鋼皮

 ・☆メープルベアヘッド

 うーん、やっぱりレア度が高いのは頭みたい。

 こうやって見ると初日にメープルベアからレア素材出てるのは運が良かったのかも。

 でも部位破壊って調さんは言ってたから頭部破壊が狙いにくいのかな?

 ゲーム内二日目のドロップのレア素材は魔動核だけみたいだ。

 落としたのは…んーと、順番的にウッドゥンビートルゴーレムかな。


 ・魔動核

 レアリティー:☆3

 特殊スキル:能力複製

 ウッドゥンビートルゴーレムに使用されていた核。

 今は機能を停止しており動き出す事はない。

 用途が非常に多く高値で取引されている。

 どうやって作られているかは不明。


 ・能力複製

 持ち主が取得しているスキルの能力を1つだけ複製する事が出来る。

 複製した効果の使用には魔力を消費する。


 落としたボスはあってたけど高く売れるんだ…。

 チームを作るのにお金が要るんだよね。

 でも特殊スキルは便利そう。

 試しに選択してみると今所持しているスキルが表示される。

 しかしパッシブスキルは表示されていなかったので対象外なんだと思う。

 氷雪妖精を選択すると白黒で表示されている。

 白で表示されているのは氷属性強化効果と氷や雪が溶けなくなるのと念力。

 一度戻って氷属性魔法を選択してみると氷生成と組んである魔法が表示された。

 氷雪妖精の効果はどれもパッシブスキルに思えるんだけど何で組み込めるんだろう?

 そもそもボスの時は何が複製されてたのかな。

 ゴーレムが動くために必要な能力だとは思うんだけど。

 うーん。

 わからない事悩んでても仕方ないか。

 カウンターの方に目を向けるがまだ混んでるみたい。

 しばらくは無理そうだなぁ。

 買い取りカウンターは相変わらず人がいない様だ。

 魔動核の事聞いてみたらわかるかな?

 前回来た時と同じドワーフのおじさんが椅子にもたれて目を瞑っている。


「すいませーん」


「あぁ?おぉ、嬢ちゃんじゃねーか。今回はどうした?」


「少し素材を売りたいのと聞きたい事があって」


「ふむ、ちょっと待ってろ」


 そう言うとドワーフのおじさんは離れていく。

 個室に入って何かを確認しているみたい。


「嬢ちゃんこっちきな」


 そう言って手招きをしている。

 ここにいても話が進まないだろうから個室に入る。


「失礼します」


「おう、適当に座ってくれ」


 そう言っておじさんは大きな音を立てて椅子に腰を下ろす。

 私はテーブルに座らせて貰う。


「この前は悪かったな。大声で言っちまったから悪目立ちさせちまった」


 そう言って頭を下げてくる。


「いえ、恥ずかしかっただけなので」


「俺も上に怒鳴られてな。物を見て話が必要だと思う時は個室で話す事になったんだ。嬢ちゃんの場合は前回の事があるし念のためだな」


「そうなんですね、わざわざすみません。ぁ、売りたい物はこれです」


 そう言って決めてあった物をリストに入れていく。


 ・アーマードセンチピードの毒

 ・スラッシュマンティスの鎌

 ・スラッシュマンティスの羽根

 ・操られた巨木の破片

 ・木人形のパーツ

 ・メープルベアの毛皮

 ・メープルベアの肉

 ・メープルベアの掌


「ここまでの素材を持ってきたのは片手で数えれるが嬢ちゃんが一番だな」


 そう言って髭を撫でながらリストを見ている。


「アーマードセンチピードの甲殻が無いのは防具か何かを作るのか?」


「わからないですけど今は取っておいた方が良いのかなぁと」


「それがいい。嬢ちゃんは使えないかもしれないが仲間の装備を調えるのに使えるかもしれないからな」


 ホントはシュティやルナにも聞いておきたかったんだけど忘れてたんだよね。


「物と量を見た感じこれぐらいだな」


 電卓の様な物を向けてくる。

 そこに表示されていた数字は9800G。

 単価はウサギやイノシシよりはやっぱり高いみたい。


「現状上手く資金繰りができて無くってな。これだけしか払えねぇんだ」


「ぇ、これで安いんですか?」


「あぁ、アーマードセンチピードの毒は武器に塗布して使ったり用途は多い。

 スラッシュマンティスの鎌だって打撃武器メインのヤツには有用な特殊スキルが付いてる。

 羽根はアクセサリーとかに加工されてたりするしベア素材は人気なんだがな。

 そういや嬢ちゃんは聞きたい事があるとか言ってなかったか?」


「ぁ、はい。魔動核の事を聞きたかったんですけど」


「あれか。倒したのはウッドゥンゴーレムか?」


「ウッドゥンビートルゴーレムでした。高価で売れるみたいですけど…」


「売るなよ?アレは用途がありすぎて数十万は堅いぞ」


「ふぇ!?」


 まさかそんなにするとは思ってなかったから変な声が出てしまった。


「アレは街の設備にも使えるし装備にも使える。ただ利用するのに安定した魔力供給が必要だから設備に使うのは難しいんだがな」


「安定した魔力供給ができれば設備に使えるんですか?」


「おぅ。冷凍庫やら船の原動機にも使われる事があるな」


「凄いですね。ゴーレムだった時にはどんな能力だったんでしょう」


「自動操作だな。元々は術者が操作する能力で嬢ちゃんが戦ったのは樹木を操作して身体を作ってたんだろう」


 なるほど。

 あれ?

 操るだけなら襲ってきたのはどうしてなんだろう?

 核には意志がなさそうなのに。


「疑問そうにしてるな?」


 ニヤリという笑い方が似合いそうな表情をしている。


「核の効果で樹木を操作しているのはわかったんですけど、どうして襲ってきたのかと動力源がわからなくて」


「良いところに気づいたな。正直言えばわかってねぇ。出没した辺りに攻撃対象の指示や補給をするための中継基地の様なのがあるんだろうって予想だな。この島は元々観光地として開発してるところで遺跡が見つかったのが切っ掛けで大規模調査をする事になったんだが進展がないのが現状だな」


 おぉー、こういう細かい設定もあるんだね。

 この場合遺跡で核を作り動力を供給して何かに反応して迎撃に来たって感じなのかな?

 もしくは通った相手を無差別とか?


「だがなぁ…。中継基地の場所に関してはどこにあるかわからんが森の中やら地下には無さそうと言われておるな」


「そうなんですか?」


「あぁ、最初に見つかった遺跡が街の地下にあるんだが機能の停止している転移装置も見つかってるからどこにあってもおかしくはないらしい。今は転移装置を解析して魔道具として使えるようにして販売もされとるがな、まぁ買うヤツなんていねぇ」


「便利そうなのに何でですか?」


「高すぎるんだよ。素材もここじゃ高価だしな」


「ちなみにいくらぐらいするんですか?」


「ぁー、確か現状素材費も考えて五百万ぐらいはするはずだ」


 た、高すぎる。

 森の中に拠点を作るならいずれは欲しいけど当分無理だよー。


「何だ、嬢ちゃん欲しかったのか?」


「拠点を森の中に作ろうと考えてまして…」


「なるほどなぁ…。そうなると魔動核は持っておいた方が良いな。転移の魔道具は素材に魔鉄って言う金属を使ってるんだが本土からの輸入品でな。採掘出来る場所でも見つかれば安くはなるんだろうが、当分は難しいだろうよ」


 そう言われて頷く。

 いずれ見つかるかもしれないしその時は値段交渉もできるかも。

 そんな期待をするしかないよね。


「他に何か用事はあったか?」


「カウンターで説明を聞きたかったんですけど混んでたのでまた今度にしようと思います」


「ギルドについてか?」


「はい、それと冒険者について聞いておきたいなと」


「ギルドは基本的にどこの国にも属さない組織だな。中でも冒険者ギルドは仕事の斡旋や持ち込まれる素材の売買や新人に対して訓練なんかもしてるな。冒険者は狩りをしたり採取して来るのがメインだろうが場合によっては捜し物やら子守なんて依頼もあるし何でも屋に近いな。基本的にはギルドの依頼をみて動くヤツばかりだが個人依頼なんか受けて専属になってるヤツもいる。冒険者はランク付けがされていてカード見るとS~Fまでのどれかが書いてあるはずだ。嬢ちゃんみたいな初心者は現状Fだろうがな」


「そうなんですね。…ホントだFって書いてあります!」


 おじさんが簡単に説明をしてくれた。

 言われたことを確認しようとギルドカードを出すと大きくFと書かれていた。


「ランクは種類に関係なく依頼を一定こなしていけば試験を受ける資格を得て合格すれば上がるな。上に行くほど難易度の高い依頼が受けれるがこの島じゃ何が危険かわかってねぇからあまり機能してねえな。クエストボードの依頼を受けて失敗しても金取られたりはしない。だが場合によるが評価は下がっていく事もある。それが原因でランクが下がる事もあるから気をつけな」


 おじさんの忠告をありがたく思い頷く。

 お礼を言おうと思ったが肝心なことを忘れていた。


「ぁ…、今更ですけど私スノーフェアリーのユキです。これからもよろしくお願いします」


「おう、俺はドワーフのルガードだ。よろしくな」


 今更ながらお互い自己紹介をしてから個室を後にする。

 買い取りカウンターを離れる前に聞いておきたいことが浮かんだので確認する。


「アイテムとか預けたりする事ってどこかでできますか?」


「ここで倉庫が使えるぞ?金は掛かるがな」


 ルガードさんはにやにや笑いながら様子を窺ってくる。

 この後は一人で森へ行こうと思っているので何かあって魔動核を失うのはキツいよね。

 保険のために利用しておいた方が良いと思う。


「使います、おいくらでしょう?」


「5000Gだ」


 た、高い…。

 さっき売ったアイテムのお金が半分以上なくなっちゃう。

 せっかく得たお金がこんなに早く無くなることにがっくりしながら支払いを済ませる。


「まぁ金が掛かるのは最初だけだ。嬢ちゃんの場合保険は大事だと思うぞ」


 そう言いながらギルドカードの読み取り機をこちらに向けてくる。

 ギルドカードを読み込むとお金を払うかの確認が出たのでYesを選択すると倉庫のメニューが表示された。

 と言っても預けると引き出すだけなんだけどね。

 預けるを選択してアイテムを選んでいく。


「嬢ちゃん達は現状森の進行がトップだ。貴重な素材だって手に入れてる。奪われたりしない様対策を取るのは当然だろ?」


 言われることに頷きながら確定してアイテムを預けた。

 倉庫は現在縦横10マスずつ計100種類預けられるみたいだ。

 お金も預けれる様だったので一応全部預けておく。


「それでは行ってきます」


「おう、素材の売却楽しみにしてる」


 思いつく限りの用事が終わったので出ようかと振り向くと結構な人がこちらを見ていた。

 まさかファンクラブの影響…?

 ちょっとこれは恥ずかしいと思いサッとギルドを出て北門に向かう事にした。


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