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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大好きなお兄ちゃんはとおいの?

作者: 重り騎士

幼児表現のため平仮名の多用にご注意!





大好きなお兄ちゃんがいないの。




お兄ちゃんはおべんきょうをしに

”かいがいりゅうがく”に行くんだって笑って言ってた。


すごくうれしそうだったけど、すこし会えなくなるってかなしい顔もしてた。


わたしがお兄ちゃんに会いにいけばいいんだって言ったら、”かいがい”はすごく遠くて会いにいけないんだってお母さんが教えてくれたの。


お兄ちゃんはすぐもどるよって言ってたけど


でも、でも……そんなのさびしくて、がまんできなくて…。いかないでって泣いたらつかれていつのまにか寝ちゃってた。


おきたらおふとんにいて、いそいでお兄ちゃんをさがしたらお家にいなかったの。


わたしがいたらお兄ちゃんもわたしも

かなしくてお家を出れなくなっちゃうから、わたしが寝てるあいだにいっちゃったんだってお父さんにいわれたの。


わたし、お兄ちゃんにいってらっしゃいも、なんにも言えなかったのにいっちゃった。

わたしなんにも言ってない。

……………なんにも、いってないよ


こんなことになっちゃうなら、ワガママなんか言わなきゃよかった。


悲しくて、悲しくて、お兄ちゃんをいかせちゃったお父さんなんてキライって言っちゃった。

お父さん凄くかなしい顔してたけど、まだゆるしてあげない。




***




夜、でんわの音がしてお母さんがでんわにでた。そしたらお母さんがお兄ちゃんの名前をよんでた。


きっとお兄ちゃんからだ!


わたしも声がききたくて近くにいったらお母さん急に泣き出しちゃった。

きっとお母さんもさびしかったんだね。

泣き出しちゃったお母さんの代わりににお父さんがでんわに出たけど、


お父さん変な顔してたの。


はやく代わってほしかったけど、またきのうみたいにお話しできないのはイヤだから、いい子でまってたの。


そしたらお母さんがわたしにぎゅーってしてくれた。泣きながらお母さんがなにかお話ししてたけどよくわからなかった。

きっとわたしがお兄ちゃんにワガママ言っちゃうっておもってるのかな。


大丈夫だよお母さん、わたしもうお兄ちゃんにワガママ言わないよ。


しんぱいしなくても大丈夫だよ。



…………だから





はやくお兄ちゃんの声がききたいな。





***




お兄ちゃんが海外に行って三年がたった、

お兄ちゃんはまだ帰って来ない。


すぐに戻って来るって言ったのに。


海外はすごく遠くて簡単には行けない所。

だけど電話やお手紙なら会いに行くより簡単に出来るって先生に教えてもらった。


だからお兄ちゃんの電話番号を聞いたのに、

お父さんもお母さんも教えてくれなかった。


お兄ちゃんのお勉強の邪魔にならないようにちょっとだけにするって言っても、



「お兄ちゃんは死んじゃったんだよ」



ってごまかしてばっかりで住所も教えてくれないの。


仕方ないからお兄ちゃんから来るのを待ってるのに全然来ないの。


お手紙をお母さんが先に取っちゃうんだと思って、苦手な朝を毎日早起きして一番にポストを見てるのに。

電話の前はお母さんの席だったのに、今ではわたしの定位置になっちゃったんだよ。


………もしかしたらお兄ちゃんはお勉強が忙しくてわたしの事忘れちゃったのかもしれない………。


わたしも色んな事があって沢山変わったんだって、いっぱいお話ししたいのに。


そう思ってるのはわたしだけかもしれない。


そんなのひどい!


帰ってきたらいっぱい怒らなくちゃ。

そのあとにいっぱいお話しするの。






その夜、お兄ちゃんが帰ってきた。





いつのまにかわたしの部屋にいて、びっくりした。


けど大好きなお兄ちゃんに会えて嬉しくて、

会ったらいっぱい怒らなきゃいけないって思ってた事も忘れちゃった。


「お兄ちゃん!!」

「…まい………」


お兄ちゃんは屈んで目線をあわせて、わたしの名前を呼んでくれた。

わたしは両手じゃ足りないくらい変わったけど、お兄ちゃんは優しいお兄ちゃんのまま

なんにも変わっていなかった。


「あのねあのね、わたし鉄棒も跳び箱も出来るようになったんだよ!!」

「うん……うん……。」

「お兄ちゃん?」

「うん……」


お兄ちゃんに教えてもらった事、ちゃんと出来るようになったんだよって教えたのに、なんだかお兄ちゃんは変だった。


「あっ!そうだった!帰ってきたら言わなきゃいけないんだった!」

「?」

「おかえりお兄ちゃん!」

「っ…!」


ちゃんとお出迎えしてなかったのを思い出して言ったら、前のお母さんみたいにお兄ちゃんの目から大きな雫が沢山こぼれ始めた。


泣いてる


どうしよう、わたし大好きなお兄ちゃんを泣かしちゃった!!!


何か間違えちゃったんだ!もしかしたらお兄ちゃんのお話を聴かなかったせいかもしれない!


「あわわ!お兄ちゃんごめんね、ごめんね。お兄ちゃんのお話も聞くよ!だから泣かないで、お兄ちゃん…」

「ごめん、…っ…ごめん……」

「なんでお兄ちゃんがあやまるの?わたしが悪いのに」

「違うんだ、僕が悪いんだ……」


お兄ちゃんはあの時のお母さんみたいに泣きながらわたしを抱きしめた。




イヤなふんいきだ。ききたくない。




ききたくないけど、大好きなお兄ちゃんのお話、ちゃんときかなくちゃ。





「ごめん……お兄ちゃん死んじゃったんだ…。

だから…もうずっと一緒にはいてあげられないんだ……っ」









………こんなことになっちゃうなら、ワガママなんか言わなきゃよかった。










閲覧ありがとうございました。

続きは多分、恐らく、書きます。

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