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唐突すぎる生徒会とうさ耳さん

…続きました!

1話目からさっそく見てくださった方がいたようです!本当にありがとうございます!

1話目が少し重かったので、今回は少しながら明るめにいこうかと思います。

それでは、2話をどうぞ。



「廃部…ですか?」

「そう、廃部だ」

昨日の出来事からわずか一夜。

顧問から告げられたのは、部活存続の危機だった。


「えっと、廃部になるかもっていうのはどういうことですか?」

「理由の一つとしては人数不足だ。お前一人しかいないんじゃ、部費も全部自分でやりくりしなきゃいかんから大変じゃないかってな」

八重野九十九の所属している新聞部は3月に先輩が卒業。一つ上の先輩は一人もいなかった。そのため、結果的に一人、そして部長になったのである。

…だが、この問題に対して廃部の可能性が出てくるのは少しおかしいものがあった。

「先生、確かに人数は一人ですが他にも同じようなところはそこそこありますよね?」

この高校にある部活動の数は120種。人数が足りてない部活があっても仕方がない、というよりかは当たり前のことだ。しかし、部活動を押しているこの学校はたとえ一人であっても本人が卒業するまで存続は可能というルールがある。…にも関わらず。

「ルールがあるのに、なぜ新聞部だけそんな話が舞い込んでくるんですか」

九十九は真剣な表情で先生を見つめる。それに驚き、先生は少し呆然としていたが、難しい顔をして九十九に向き直った。

「これはあまりいいたくなかったんだかな…」

「なんでもどうぞ」

「多分お前生徒会やらに嫌われてるぞ…」

「あ、それなら百も承知です」

「ここで即答するのもどうかと思うんだがな…」

九十九は一年生の頃からとても熱心に部活動に励んでいた。そのため、一年生ながらに学校新聞を任されていたのだ。そして彼は俄然やる気を出し、学校で起きた重要な出来事を包み隠さず真実を暴露し続けたのである。

彼の記事により、多くの生徒が学校に興味を持つようになった。

もちろん、その成功によって彼を恨む人間もいるわけである。

「自分たちの内部事情を暴露され続けたから…。まあわかりきっているなら説明は不要か」

「承知はしてたんですが…。まさか廃部までいかれるとは…」

「すまないな。俺がもう少し記事に注意をしとけばよかったんだが」

「いえ、先生は悪くありません。むしろそこで嘘書いてって言われても僕はやってませんでしたから」

「わかってるさ。だからこそ自由にやらせたんだ」

九十九は真実を伝えるということを第一においている。そのために、去年評判の悪かった生徒会の実態を洗い出してしまったのだ。

「それでだな、存続のために課せられた条件があるんだが…」

「はい」

「新入部員の確保。その人数は」

「その人数は…?」

「最低一人」

「最低一人…はぇ?」

アホ丸出しになる九十九。さっきまでの緊張感漂う空気は何処へやら。

「完全に舐められてるな…。たった一人とは」

「それもうほとんど存続確定ですよね!?わざわざ廃部の危機を通達する理由!?」

「もっとも、お前の人間性があれば簡単だな」

「なんか褒められたありがとうございます!!」

生徒会は何を考えてるんだ。もはや恨んでいるのかも怪しくなってくる。もしかすると他のところにも届いているのかもしれない。

「よし!そうとなればさっそく勧誘始めます!先生、ありがとうございました」

「あぁ、お前が前向きに捉えてくれてよかった。これで安心だ」

「はい!頑張ります」

九十九はやる気を見せると、少し早足で職員室を出ていこうとする。

その時、先生から嘘のような言葉が飛び出してきた。


「期限は明日までなんだが、お前のそのやる気なら大丈夫だな」


やりやがったなあいつら。

「失礼しましたぁぁぁぁぁぁ!」

九十九は今までの人生史上、一番早く走ったそうだ。


「あああ〜。どうしよう〜〜!」

部室に帰ってきた九十九は床に座り込み、頭を抱えていた。

「期限は明日!?そんなん放課後に通達することじゃないでしょ!?恨みめっさあるじゃん!」

もはや独り言であろうと大声で叫んで構わない。こんな理不尽聞いたことない。

外では昨日と同じように部活動の勧誘が行われている。

「ええええとえとえと、いや!迷ってる時間はない!とにかく今やってる勧誘の波に乗り込もう!」

九十九はB4の紙にマーカーで『新聞部』とだけ書いた。あとは口頭でなんとかしよう。

「ぃよしっ!準備完了!いざ出陣!」

その勢いに乗ってドアノブに触ろうとしたその時、

トントン

ドアをノックする音が聞こえた。

「うぅ…。こんな時に誰だろ」

あまり気がすすまない気持ちでドアを開ける。その扉の向こうには、昨日プリントを探していた女子生徒が立っていた。

「あ、こんにちは」

彼女は慌ててお辞儀をかえす。昨日と相変わらず、体は少し震えており、お辞儀をする時に少し見えたひたいにも汗がたまっていた。

「今日はどうしたの?」

九十九は自分の気持ちを抑え、彼女に話しかける。彼女は口をパクパクさせ始める。なにか話すことがあるのだろう。昨日よりはスムーズに話が進行しそうだ。

しかし、彼女は何かに気づいたような身振りをすると、口を開かなくなってしまった。

「…?大丈夫だよ。なんでもいって」

九十九は少しだけ耐えきれなくなり、ついせかすようにいってしまった。と、そのとたん


ぴょこっ


昨日もはえたあのうさ耳がご登場。


「あ、えと、ご、ごめん!別にそんなせかしたいわけじゃなかったんだ!」

彼女はまた耳を押さえつける。その動作も妙に慌ててるように見えた。彼女に悪いことをしてしまった。そう思った九十九は彼女にしっかりと向き直る。

「あの、本当にごめんなさい。僕の気分だけで君をせかすようなこといっちゃって、本当にごめん。…だからっていうわけじゃないけど、もう大丈夫。ゆっくりでいいよ」

それを聞いた彼女は耳から手を離し、スカート裾を握りしめた。


やっぱりあの人なんだ。

間違ってなんかいない。

やっと、会えたんだ。

あの人が私の話を聞いてくださるのなら、私もちゃんとしないと…!


ふと、彼女はスカート裾から手を離す。

少し間が空くと、彼女は九十九と目を合わせる。

その瞳は今にも涙がこぼれ落ちそうで、だけど何か見つめていたくなる真剣な目。そして顔を真っ赤に染めて、彼女は口を開いた。


「私を、私を、新聞部に入部させてください」


ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は前回よりは明るいかな…。と思いたいです。

女の子の名前が未だ登場していませんが、次回登場予定です。

それでは、よろしければまた次回!

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