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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第一章「青春したいのに出来ない。」
7/44

7.安心していた俺が馬鹿だった。

「…………なぁ…」


「何かしら?」俺は式ノに話しかける。


「俺さ、青春したいんだ!」俺は清々しい顔で言う。


「青春してるじゃない?」式ノはキョトンとしながら言う。


「……はは…」俺は笑った。

そして俺はこのツッコミ所満載な状況に「ッ!!!!」ツッコんだ。


「ふざけんな!!屋上で手を縛られて一緒に弁当食う青春何てねぇだろうが!!そもそもこれじゃあ弁当食えねぇしな!!しかも何で俺女子の制服着せられてんの!?何でウィッグつけられてんの!?てかこのフィット感ムカつく!!!!」


クッソ…この女……。

この、1週間、何もないと思って安心した俺が馬鹿だった……。

では、一体どうしてこんな状況となったか、説明しよう。

一時間前の事だ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「ん~!!最っ高だ!!この1週間何もない!式ノにも何もされてない!ってダメだろ!!」


確かにこの1週間式ノに何もされてないのはいいけど…。


「肝心の青春する好きな相手いねぇえ!!」


このままじゃこの高校生活3年間を棒に振ることになるぞ泉彼方!!!!


「てか俺って…友達すらいないんだよな…はは…」


友達は獅子野くらいか…。

なら、まず、男友達から作ってみるか…よし!

四時間目の終わりのチャイムが鳴る。


「……」よし…ここでさりげなくあの台詞を言う……あの、お弁当一緒に食べていい?、を!!


まずは…。

俺はキョロキョロとクラス全体を見る。


「ッ…!」まずはあそこの男子二人組に話し掛けてみるか…が、頑張れ…泉彼方!!!!

さぁ脱コミュ障だぁ!!!!ここから、また、俺の理想の青春のレールから大幅に外れる事になる。


「よし!」俺が席から立ち上がる。

そして、二人組に近付こうとした瞬間。


「ガラリ!」と、勢いよく教室の扉が開いた。

「ん?」そして、俺がその開いた扉の先を見ると「ッ!!!!」神無月 式ノがいたのだ。


「クッ!!」


俺はすぐに自分の席に戻り扉から視線を逸らす。

頼む頼む頼む頼む!!

こっちにだけは来ないでくれぇぇえ!!


「ふふん♪」


式ノは何故か楽しそうだった。


「ねぇ君」


式ノは彼方のクラスメイトに話し掛けた。


「な、何でしょう?」


クラスメイトの男が不思議に思う。


「このクラスに、泉 彼方君っている?」


式ノはそう言いながら彼方の方に視線を向ける。


「え?泉ですか?えっと…」クラスメイトの男がクラスを見渡す。


「あ!」


「ギク!!」


「おーい!泉~呼んでるぞ~?」


馬鹿が鈴木クラスメイト!!

俺はてめぇを一生恨む!!

俺の名前を呼ぶな!!頼むから呼ぶなー!!


「おい泉?」


「クッ!!!!」


殺す!!鈴木殺す!!!!。

こうなったら……「ッ!!!!」逃げる!!!!


俺は席から立ち上がり、式ノが立っている扉とは真逆の扉から出て廊下を駆け抜ける。

俺の高校生活をあいつに潰されてたまるか!!


「彼方君」


「式ノ?!」


さっきまで俺の教室にいたはずの式ノが俺の前にいた。


「クソ!!何だそのイリュージョン!!」


俺は足を止める。


「ねぇ彼方君!私とお弁当一緒に食べよ?」


「嫌だよ!!」


「あら、どうして?」


「お前がただ弁当食べるだけですむ訳がないからだよ!!」


「よくわかったわね?」


「ほぉらぁ!!!!」


と、言いながら俺は式ノに指を差す。

こいつのこう言う所全然変わってねぇ!


「でも、彼方君…」


「ん…?」


俺は急に改まった声になった式ノを不思議に思う。


「彼方君に拒否権ないから!」


「へ…?ま、待って…?何このデジャブ…?」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「…………」


前回と変わんねぇ!!

あの後の記憶は勿論ない。

女子の制服をいつ着せられたかもわからない。

この黒髪のストレートのウィッグをいつ、つけられたのかすらわからない。

記憶がないって…怖いね。


「おい式ノマジでいい加減にしろ!?てか俺の制服は!?」


「捨てたわよ?」


「はぁ!?」


「まぁそう慌てないで、似合ってるわよ?」


「んな事どうでも言いわ!!どうすんだよ!?」


「いいじゃないそのままで、私が言うのも何だけど違和感ないわよ?」


「それは男としてあれだよ!!」


今の俺は他人から見たらどうなってんだ…


「とりあえず、口をあけて、彼方君」


「はい!?」


式ノは自分のお弁当からウィンナーをとり、彼方に食べさせようとする。


「ほら、あ~ん」


「へ?ちょ!」


「あ~ん!」


「わかった!わかった!だからウィンナーを押し付けんな!!」


「じゃあ、改めて、あ~ん」


「ん~…はん!」


俺は恥を捨ててウィンナーを食べた。


「あれね、彼方君がその姿でウィンナーを食べてると何て言うか、エロいわね。」


「感想いらないから…」


はぁ…もう嫌だ……


「もう俺…お婿にいけない…」


「私が彼方君を貰ってあげるから大丈夫よ!」


「お前と結婚とか死んでもしない」


はぁ…俺はいつになったら青春できんだ…この障害物神無月式ノさえいなけりゃ……。俺は今日も、青春を出来ないでいたのだった。

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