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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第六章「二人の青春は文化祭実行委員会から」
44/44

44.お?

家に帰った後、俺は姫川会長から言われたあの言葉が気掛かりで仕方がなかった。

強くて、弱い子、どういう意味だろう。

余計に悩み事が増えたんだが…。


「聞き上手じゃなくて悩み事を増やすのが上手の間違いだろ…ヒメヒメ」


そんな台詞が苦い笑いと共に出た。


翌日。

放課後の空き教室で、俺はもう慣れた女装姿で獅子野といた。


すると、獅子野から大事な話があると、前置きをされる。


「明日からは、文化祭実行委員の仕事で忙しいと思うので、相談は文化祭が終わるまではなしでお願いします」


「うん、わかった」


むしろそっちの方が有り難い。

流石に授業が終わった後に女装は精神的にキツかったからな…。


「文化祭には是非彼子さんも来てください!」


「う、うん…用事がなかったら行くね」


俺も文化祭実行委員だから無理だけど。

てことで、放課後恋愛相談は中止になった訳である。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

俺は女装という呪縛から解放され、制服に身を寄せる。

やっと帰ってきた、俺の性別。

保健室で先生にニヤニヤされながら、俺は保健室を後にした。


はぁ…早く帰って寝よう。


そんな事を決意して校門に向かっていると、見覚えのある人影が一つ。


靡く黒い髪が夕陽に照らされながらそこに凛々しく立っていたのは、式ノだった。


「あ!彼方くん」


「よっ!どうしたんだそんな所で?」


「一緒に帰ろうと思って待ってたの」


「そ、それはどうも…それじゃ行くか」


「うん!」


まだ慣れない会話、間もテンポも取れてないけど、俺達は着実と、仲を深めている。


そんな俺達は他愛もない会話をしながら帰っていると


「彼方くん!彼方くん!」


「ん?」


式ノが俺の袖を引っ張ってきた。


「あれ見て!」


そう言われて、俺は式ノの視線の先を見た。

そこには、小さな公園があり、そのベンチに何故か花菜がいた。

隣を見ると見たことのない男だ。


「ん?男の方急に走ってどっか行ったな」


「なんだろうねあれ!彼方くん!気になるね!」


「なんでお前はそんなに嬉しそうなんだよ」


「だって面白そうじゃん!

彼方くん家帰ったら花菜ちゃんにさっきのこと聞いてみてよ!」


「断る、こういうのは触れない方がいいんだ」


「え~つまんないのぉ~…」


こいつ、本当にこう言う所は変わらないな。

でも…確かに気になるな…。


最後に花菜が落ち込んでいたのも少し気掛かりだな。

帰ったら…当たり障りない程度に聞いてみるか。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

俺が部屋でのんびりとしていると「ただいま~」と、玄関の方から花菜の声が聞こえた。


さっきのこと…気になる…。

妹の友人関係にツッコムつもりはないが、やはりここは兄として出来ることがあるならしてやりたいしな。


よし。


俺は下に下りて玄関に顔を出す。


「おかえり花菜、遅かったじゃん。

何かあったのか?」


と、俺が聞くと花菜は、ゆっくりと俺の方に近付き、ガバッと抱きつかれる。


「え?!か、花菜?」


俺は慌てながらも、その花菜の行動の意図を探る。


すると


「お…」


「お?」


「おにいちぁあああああん!うあああ!」


「えぇ!?」


大泣きされた。

読んでくださりありがとうございます!

サブタイトル考えに考えた結果、こうなりました。

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