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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第五章「泉彼方と君月獅子野は友達である。」
39/44

39.思考停止中。

学校に到着。


「で、先生。

何処に俺の制服置いたんですか?」


「泉の教室だ」


「何故に!?」


「わかりやすいと思って」


「逆にわかりにくいですよ…」


クソ…この先生は余計なことに余計なことを重ねるのが上手すぎる…。

仕方ない…この格好で行くしかないか。


「泉、私は少し保健室による。

制服を取りに行ったら帰れよ?」


「わかってます」


俺が先生にそう返事をすると、先生はそのまま学校の中へと入っていった。

勿論、俺は先生の後ろをコソコソと着いて行く。

何かこの格好だとすごく入りずらい…まぁ女装で学校を彷徨いた事は一回あるけど。


そして、俺は先生と別れ、二回にあがり、自分の教室へと足を運ぶ。


「うぅ…この格好で教室に入る事になろうとは…まぁいいや、さっさと制服持ち帰って、着替えるか」


てか何処に制服置いたのか聞いてねぇ…。

まぁ、机かロッカーかのどっちか。

俺はそんな疑問を残しながら、ガラリ、と教室の扉を開ける。


「…は?」


俺が何故、この一言を発したのか。

その理由を簡単に説明しよう。

俺の机に、椅子に、女の子が突っ伏して寝ていたのだ。

さぁ皆さん!気を取り直してもう一度!


「…は?」


いや、待ってこの状況の整理が追い付かないんだけど、脳の処理班頑張って。

俺は、脳の処理が追い付かないまま、その眠っている少女の近くによる。


廻はこの時の行動を、後悔することになる。

その後悔が何処に繋がるのか。

それは、この劇が語ってくれる。


「獅子野…!?」


「ん…?」


そう、そこに座っていたのは、君月獅子野だった。

俺の友達であり、俺の恩人であり、切っても切れない、腐れ縁である。


「え…?なんで?」


俺は疑問が頭に何個も浮かぶ。

だが、答えに辿り着く気はしない。

いくら思考回路を巡らせ、頭を回したところでこの状況の説明などつけようがない。


そして、獅子野は、眠そうな目でこちらを向く、その顔にはよだれが垂れている。


「ッ!?」


どうやらこちらの存在に気付いたらしい。

すると、みるみると顔が赤くなる。

そして慌てて獅子野は立ち上がり、ビシッ!っと俺に指を差す。


「誰だお前!?」


え?誰って…そうだった!

今の俺の格好…女装だった。

てか急いで誤魔化さねぇと!


「えっと!私は…」


俺は練習した女声で誤魔化そうと頑張る。

てかどう誤魔化せば…そうだ!


「私はこの学校の卒業生なの!

それで、少し笹塚先生に用があって」


と、俺は急いで弁解。

この学校では、卒業生の出入りは珍しくないからな。

先生に用事があったり、文化祭の手伝いとかで来たりする事があるらしい。

まぁ見たことはないけど…。


「そう…だったんですか。

失礼な事を言ってしまってすみません」


「いえいえ、いいんです。

それより、よだれが…」


俺は自分の口を指差して教える。

すると、獅子野は急いでよだれをふく。


「うぅ…みっともない所を見せてしまいすみません…」


「いや、いいんです。

えっと…そんな事より、ここって貴女の席じゃないですよね…?」


「ッ!?」


君月は、ビクリ、と体を震わせる。


「何で、この席で寝ていたんですか?」


いや、これに関しては本当に疑問でしかない。

獅子野が何で俺の席で幸せな顔してよだれを垂らしていたのか。

正直に言おう、俺の脳みそでは理解出来ない領域なのだ。


「えっと…それは…その…」


獅子野は、両手の人差指をぐるぐるさせ、もじもじしている。

そして、覚悟を拳を握りしめて小さく、よし、と呟いて言った。


「この席は、私の『好きな人』の席なんです」


「え…?」


獅子野は頬を染める。

夕日に照らされた獅子野の笑顔は、見たことのない、乙女の顔をしていた。

それに対しての彼方、思考停止中。

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